37.やられ直し

軍事都市ゲヌア、ホテルの一室。
嬌声を漏らす少年と、それを促す魔物娘。

「んぁっ・・・あぁっ・・・
hearts;」
「我慢しねぇで、声出しちまえって」
「そんな、恥ずかしいです・・・」
「アタシとシロの仲だろ? 今更何気にしてんだよ」

優しく、かつしっかりと撫でられ、血液の通りが良くなっていく。
震える声は、確実に快楽の色みを帯びてきた。

「こんな気持ちいいの・・・耐えられません・・・
hearts;」
「んじゃ耐えなきゃいいんだよ。シロはただ気持ちよくなってりゃいい」
「僕、もう・・・
hearts;」

やわやわと揉み解す動きが激しくなり、止めと言わんばかりに襲い掛かる。
そして・・・



「ほい終わり。どうだ、調子?」
「疲れどころか、力も抜けちゃいましたよ・・・」

今回の騒動で溜まった疲れを癒す、エトナのマッサージ。
その気持ちよさに、シロは完全に骨抜きとなった。

「しばらく、立てません・・・」
「そっか。・・・まぁこっちは勃ってるが」
「・・・その、疲れは抜けたんですけど」
「皆まで言うな。こっちも抜いてやる」
「・・・おっぱいと口で、お願いします」
「分かった。マッサージ特別コース、楽しめよ?」

なお、当然のように前戯のみで終わるはずも無く、
両者共に別の疲れを溜めることになったことを付記しておく。



教団襲撃から三日後の朝。
二人は王都の地図を広げ、どこに何があるかをまとめる作業を行っていた。
次の目的地は決まったが、それはこの大陸最大の都市。
都市自体がかなりの広さである為、行く前に色々と絞り込む必要がある。

「ここにあるのがアイリスさんの言ってた、僕の両親がいるマンションですね。
 まぁ、これはいつでも行けるんで、他の物を見てみますか。
 ところで、エトナさんって王都に行ったことあります?」
「何回か。お祭りやってる時に行ったな。生憎、この時期はやってねぇけど」
「お祭り・・・あぁ、建国記念日にあるんでしたっけ」
「そうそれ。めちゃくちゃ楽しいぜ? 夜店にイベントに盛りだくさん。
 時期が近かったらその時に合わせて連れてきたかったけど、仕方ねぇ」
「いずれ参加してみたいですね」
「次の祭りで行けるだろ。今ならどこにでも行けるんだしさ」
「そうですね・・・」

少し前まで、考えもしなかった。
魔物娘と共に、旅をすること。

エトナは、色々なことを教えてくれた。
この世界には、自分の知らないことが山ほどある。
『おいしい』『楽しい』『面白い』・・・『気持ちいい』。

辺境の地に逃げ、そこで一生を終えることになるんだろうと思っていた。
それでも、それなりに幸せだったから、それでいいと思っていた。
でも・・・今は違う。 

「エトナさん」
「ん? どうした?」
「いいんですかね、こんなに幸せで」
「・・・まだ、そう思うか?」
「・・・その、怖いんです。
 こんなに幸せだと、この幸せを失った時、もう二度と立ち上がれなくなりそうで」

紛れも無く、幸せな『今』。それが『未来』にも続くかどうかなど、誰にも分からない。

・・・だが。

「失わせてたまるかよ。もし失っても、またアタシが幸せにしてやる。
 安心しろ。幸せもアタシも無くならない。アタシが保証する」

それだけあれば、十分。

「・・・大好きです、エトナさん」
「アタシも。大好きだ、シロ」

幸せは、尽きない。
隣にエトナがいるだけで、そう思えるシロであった。

「それじゃ、続けますか」
「おう!」



「町長さん、お世話になりました」
「何言ってんだ。世話になったのはこっちだっての。
 今回の件はお前の指揮と、エトナの力あってこその勝利だ。
 兄貴の言ってた通りだったな。本当に、ありがとな」
「どうってことねぇよ。それよりさ、今度来た時サシで勝負しねぇか?」
「ほほーっ、言うじゃんよ。いつでも来いや、相手してやるよ!」
「あはは・・・」

拳で分かり合えることもある。
この二人の場合、それが一番手っ取り早い方法かもしれない。

「で、王都行くんだろ? 何かいるものあるか?
 報奨金は言い値で構わねぇし、用意できるものはくれてやるぜ?」
「いえ、特には。既に結構な額のお金も頂きましたし、これ以上を望むなんて」
「アタシも。旅に必要なのはこの馬車とちょっとの路銀、後はシロだけだし」
「欲ねぇなお前ら。ま、それならお言葉に甘えさせてもらうよ。
 ・・・本当、ありがとな。何かあったらいつでも来い。力になるぜ」

ギュッと、握手を交わす。
武骨な手の熱が、二人に更なる力を与えるかのようにして伝わった。

「町長さんも、お達者で!」
「その内また来るから、鍛えとけよー!」
「おう! お前らも、道中気をつけて行けなー!」

腕を肩からブンブンと振り、二
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