「ふぅ。とりあえずこんなもんか。後は勝手にやられてくれるでしょ」
軍事都市ゲヌア、指令室。
そこにいるのは、床に倒れ臥したシロと、ヴァンパイアの情報屋のイリス。
気を失ってからしばらく。イリスが偽情報を流し終えたところで、シロが目を覚ます。
「ん・・・んぅ・・・?」
「おはよう、破魔蜜くん。気分はどうかしら?」
「・・・どういう、つもりですか?」
「何のこと?」
「惚けないで下さい。どうして、教団に加担したんですか!?」
怒りを露にしながらも、シロは内心、疑念を抱いていた。
「もらうものもらったから、としか言い様ないわね。
私はあんまり依頼者選んでないし」
この回答も、予想できた。
だが、問題はそこではない。
「イリスさん」
「何?」
「・・・僕の記憶が確かなら、イリスさんは釣り合わない仕事はしないんですよね?
何でこの仕事、引き受けたんですか?」
彼女の性格上、魔物娘である彼女が教団と手を組むことは考えにくい。
どうしたって、リスクが高すぎる。
その答えは、非常にシンプルなものだった。
「リスクは確かにある。なら、それ以上の報酬をもらうだけよ」
長時間に渡る、激しい戦闘。その耐性はゲヌア軍の方が高い。
数で勝るといえども、ほぼ烏合の衆と変わらぬ教団軍は、ジリ貧の様相を呈してきた。
「一時撤退だ! 引き上げるぞ!」
「逃がすか!」
北方へと逃げる教団軍に追い討ちを仕掛けるエトナ。
しかし、その瞬間に連絡が来た。
『エトナさん、深追いは禁物です。一旦指令室に戻ってもらえますか?
伏兵の迎撃をお願いします』
エトナの行動原理は、基本的にシロ優先。
この指示に背く理由は無い。
「分かった。今すぐ行く」
『お願いします』
踵を返し、街中心部へ。
シロを守るため、駆けてゆく。
(・・・これで、いいんだよな?)
胸騒ぎは、未だ止まない。
底知れぬ不安感を拭う為、風を切るように走った。
「早馬を送りました。道中、襲撃に遭ったりしなければ、10分程度で着くかと」
「よし。・・・くそっ、まさかこういう所攻めて来るとはな。どこで漏れた?
信じたかねぇが、内通者がいるって線が濃厚だろうな」
デュークは、悩んでいた。
通信が乗っ取られたとなると、前衛・後衛の部隊の状況確認は、目視でしかできない。
加えて、この戦争における重要人物の一人、シロからの指示が通らない。
次の一手をどうするか。
悩みに悩みぬいた結果。
「指令室に行くか。幸い、向こうは軍を引き上げた。
本当ならここを叩くべきだが、まずは通信の回復が先だ。
それに、もしかしたらシロ自身がヤバイことになってることもあり得る」
「分かりました。兵はどの程度連れて行きますか?」
「2割でいい。何かいたとしてもそう激しい戦闘にはならねぇだろ。
それじゃ、急ぐぞ」
「はっ!」
状況確認及び、通信の回復。
それらを最優先事項とし、一度引き上げることにした。
「殆どの兵が街の中央部に行くわ。少ししたら、正門と後門から同時に攻め込んで。
全方向から囲うように攻めれば、相手がどんなに強くてもどうしようもないもの。
・・・えぇ。それじゃ。また何かあったら」
教団との通信を終え、椅子に腰掛ける。
足を組むと、視線をシロに向けた。
(ここには日光も、真水も、ニンニクもない。下手に動けば、また気絶させられる。
・・・どうすることも、できない)
インキュバスとはいえ、幼い少年と、ヴァンパイア。
戦闘能力の差は、言うまでもない。
「ねぇ、破魔蜜くん」
シロに、声をかける。
応答はない。
(・・・ふーん、それなら)
スッと立ち上がり、一瞬にして側に移動する。
「っ!」
「知ってるかしら?」
思わず身じろぎをしたシロの耳元に、唇を寄せて。
「精液って、血液から造られるのよ?」
僅かに震えるシロの耳たぶに、牙を立てた。
「あぁぁぁぁぁ・・・・・・」
首筋、太股、脇腹と、敏感な部位を溶かすように血液を吸われ、
意識を保つことすらギリギリの中、イリスは更にシロの乳首に舌を這わせた。
「んー・・・ちゅぱっ。ちゅちゅっ」
「ひゃあっ!? あっ、あぁ・・・」
「あむ・・・んんっ・・・ちゅーっ」
そのまま、薄い胸板に牙を立て、血を貪る。
心臓から直飲みされているかのような感覚がスパイスとなり、精神を侵す。
生物は生命の危機を感じると、自分の子孫を残そうという本能に基づき、生殖機能が活発になる。
非日常極まった極限状態、下がる血量に逆らうようにして血が集まったシロの逸物は、下着に大山を築いていた。
「・・・んっ。こんなに硬くしちゃって。いやらしい子」
左手の五指が、パンツ越しに亀頭をくすぐり、性感を煽る。
そのまま指
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