「勝者! エトナ!」
軍事都市ゲヌア、闘技場。
そこで行われるトーナメント戦の、最下級のブロンズクラス。
参加条件なし。昇格の条件も緩い。言わば闘うに値するかどうかの足切りのようなもの。
つまり、参加者の殆どは駆け出し程度のレベル。
エトナの優勝は、必然であった。
(それなりにセーブしたけど、これ、全額突っ込んでたら
無茶苦茶な額になったんじゃ・・・)
観戦していたシロは、いくらかの銅貨をエトナの優勝に張った。
前情報が無い為、オッズはあまり低くならず、
一点賭けをしていた為、増えた分がそのまま収益。
賞金と合わせれば、結構な額になりそうだ。
「優勝おめでとうございます! 一言どうぞ!」
「シロー!!! 愛してるぞーーー!!!!!」
「ちょっ!?」
優勝インタビューで、盛大に愛を告白。
その対象が幼い少年だということを誰も知らなかったが故、
大きな歓声が沸き起こるだけで済んだのは、シロにとっては幸運だった。
(・・・帰り、どうしよう)
エトナの隣を歩くことによって訪れる未来が存在することを、すぐに理解できる頭の良さが、
この事態は思いっきり不運であるということも、強く認識させてしまったが。
「お疲れ様です。そして自重して下さい」
「ありがとな。いやー、つい昂っちまって♪」
「全く・・・もう・・・」
控え室にて。
頭を抱えるシロであったが、嬉しい気持ちが存在するということも否定できず、
柔らかな頬が朱に染まる姿を見せてしまう。
エトナはそれに気づくも、いぢめるのは十分なので、指摘しないことにした。
「一先ず、ケガは無いですね?」
「おう。カスリ傷一つ無し。『傷の内に入らない』とかじゃなくて、本当に無傷。
正直ぬるすぎたわ」
「記憶が正しければ、30秒かかった試合ありませんでした。流石です」
見た目は曲線美に彩られた、女性的なラインの肢体。それでもやはり、エトナはオーガ。
内にある筋肉や骨は、相当な密度と強度を持っている。
加えて数多くの戦闘経験があるとなれば、強いのは至極当然の事である。
「ところで、シロ」
「はい、何ですか?」
「アタシはもっと熱い闘いをしたかったが、見ての通りだった。
つまり、アタシは今、身体を持て余してる」
それが意味することが何であるか。
今のシロなら、ここまで言われれば分かる。
「・・・僕からも、いいですか」
「おう」
「その・・・さっきからですね、ほんのりと漂う汗の匂いとか、熱っぽさとか、
なんかもう色々刺激しちゃって、辛抱堪らないといいますか・・・」
求めるのは、エトナだけでは無い。
『自分から求めてもいい』ということを知り、こういうことも増えた。
「次の試合まで間隔開くんで、ここ、2時間くらい使えるそうです。
・・・僕、宿まで待てません」
「・・・・・・・・・・」
とことん、自分好みに成長してくれた。
あまりにも幸せすぎて、そして可愛らし過ぎて、言葉も無く、エトナはシロを押し倒した。
「んー・・・んちゅっ。ちゅぷっ、ちゅぱっ」
「ちゅ・・・ちゅじゅっ、じゅるる・・・」
すぐにでも、性器を結合することも出来る。
だが、交わる前の口付けは欠かせない。
唾液を啜り、唇を食み、歯列をなぞり、舌を絡ませる。
たどたどしくも一生懸命に応えようとするシロと、思いっきり口内を蹂躙するエトナ。
身体も、頭も、どんどん境界線が薄れていくのを感じる。
「んっ。・・・あーもう、いちいち可愛い」
「できることならカッコよくなりたいんですけどね」
「言い方間違えたな。シロはカッコ可愛い」
(うぅ・・・)
エトナが喜んでくれている、という推測は、多分合っている。
だが、シロも男の子。あまり可愛がられると、何となく複雑な気持ちになってくる。
比較対象が無い為、自分の容姿が中性的かどうか、自分からは分からない。
しかし、エトナの毎回の反応から推測するに、どうも自分には男らしさが無いらしい。
「僕だって男なんですからね? その気になれば・・・」
「その気になれば?」
「・・・その気に、なれば」
加えて、腕力や豪快さ、思い切りの良さ等々、男らしさを象徴する要素において、
その殆どを高いレベルで保持している存在が隣にいる以上、自信なんて持てやしない。
結局、シロはまだ一桁の年の、頭脳だけ著しく成長した少年。そこに男らしさは生まれない。
「・・・うぅ」
「ま、その辺は追々、身につければいいだろ。それより、どう気持ちよくなりたいんだ?」
「・・・一つに、なりたいです」
「いきなりそことは珍しいな。んじゃ、ほら」
せめて、性行為の時ぐらいは主導権を握りたいが、それもままならない。
現状、これは自分が上位になっているのではなく、譲ってもらっているだけ。
「前戯なくても、も
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録