24.天獄と天国

(何で、こんなことになったんだろうか)

深夜、娯楽都市シャルクの娼館の一室。
シロは当事者の一人ではあるが、奇妙過ぎて今一つ実感が湧かず、
どことなく第三者的な気持ちで、この状況に身を置かれていた。

「シロくーん。おーい」
「・・・あっ、はい?」
「始めるから力抜いて。ローションはしっかり塗ったし」

そもそもとして、3Pという体験自体、するとは思っていなかった。
そんな中で繰り広げられたプレイも特殊過ぎて、おかしなことになった。
その結果が今。そして、これはまだまだ続く。

「んじゃ、私はおしり責めるから、エトナはおちんちんとかいじめてあげて。
 あっ、でもキスはしない方いいかも。もしドライでイったら確実に舌噛んじゃうし」
「分かった。・・・シロ、本当にごめんな。ここまでするつもりは無かった。
 やってから謝るんなら最初からやるな、って思うだろうけど・・・」
「大丈夫ですって。確かに、正直今も割と辛いですけど」

累計すれば、数十回は精を吐き出しているであろう、壮絶な快楽を与えられながら、
シロの陰茎から流れ出たのはカウパーのみ。精液の放出は一滴たりとも、許されていなかった。

長時間に渡る寸止めレイプに晒され、一度は本当に死にかけた。
仮に一命を取り留めても、インキュバス化が進んでいなければ、脳内麻薬過剰で廃人一直線。
普通の人間であれば、正常な意識のままで手に入れる事は叶わぬであろう―――正に『人外の悦楽』であった。

「しばらく違和感っていうか、何かむずむずする感じあるけど、我慢してね?
 こんな事にしちゃったお詫びに、ちゃんと気持ちよーくイカせてあげるから。
 勿論、シロ君が望むならハードなプレイも、甘々お漏らしも自由だけどさ
hearts;」
「その前に、出すもの射精してもらうけどな。だから・・・たっぷり気持ちよくなれ、シロ」

二人の顔が、魔物娘らしいニヤりとした笑みを含み始めたのを見て、シロはゆっくりと目を閉じた。

(たまには・・・自分勝手になっても、いいのかな・・・あと・・・)

エトナや、メイも気持ちよくさせたい。今ならそういった事を考える余裕もある。
しかし、今回はただひたすら、自分本位の快楽を享受する事にした。
旅を続ける中での、思考の変化。そして何より。

(・・・イキたいよぉ・・・)

射精への渇望。
責めの止んでいる今はまだマシな方ではあるが、欲求は膨らむ一方。
謙虚で我慢強いシロといえども、一人の男。インキュバス化が進んでいるのなら尚更である。

もっとも、その欲望は間もなく満たされる。
中々に特殊で、不安要素の大きいやり方ではあるが。

「それじゃ・・・挿れるね」
「お待たせ。・・・イカせてやる」

二人が小さく、呟くように囁いた後。



シロの直腸に、メイの尻尾が滑り込み、
シロの肉棒を、エトナが飲み込んだ。



「ふぁぁっ・・・?」

ゾクゾクと、背筋を舐められたような感触と共に、異物感が明確に伝わってくる。
本来の用途とは逆方向に流れ込む、侵入者を追い返そうとする括約筋の蠕動も空しく、
メイの魔性の尻尾は、いとも容易くシロの肛門内を支配した。

「・・・ここかな」

会陰部を、白い指で愛おしそうに摩りながら、前立腺を探す。
本来なら、ある程度は被虐側の自己申告が必要となるのだが、そこは娼婦のサキュバス。
シロの僅かな反応を注意深く観察し、簡単に刺激すべきポイントを見つける。

「んー・・・じゅっ。ちゅぱっ。じゅぅっ」

本体を加えこんだエトナは、喉奥深くまで亀頭を押し込みながらも、責め自体は緩やかにした。
きちんとシロを愛して、心を満たせる事。それが自分の役目で、シロが望む事。
昨日の仕返しという目的に囚われ、忘れかけていた。
今となっては、その事を強く悔いている。

(ごめんな、シロ)

行動で示す。
魔物娘である自分に出来る一番の償いは、恐らくはこういう事。
優しくありながらも、射精に繋がる、肉体と精神の両方を幸福にさせる奉仕。
今まで幾度となく繰り返してきた事を、そのままするだけ。
変に、新しい事を体験させようなんて気負う必要は無い。

「うぅん・・・? んぁっ・・・?」

といっても、当の本人は現在進行形で未知の快楽を享受しているが。
ただ、正確には『未知』ではあるが、『快楽』には至っていない。

その気になれば、強引に精液を搾り出す事も出来るが、大きな苦痛が伴う。
ある程度慣らしてからでも、遅くない。

「安心して、リラックスしてね。君は今、私とお姉さんに優しーく可愛がられてる。
 怖い事なんてなにもない。身体の力が抜けて、少しずつ、少しずつ、全身が弛緩していく」

魔力を籠めたメイの声は、鼓膜や蝸牛を介する事無く、脳に直接送り込まれる。
故に、純粋で深い催眠状態へと
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