静けさ漂う、シャルクの昼。
施設内のスイートルームには少年と魔物娘。
やや、離れた位置にいる二人。
「・・・・・・」
枕に顔を突っ伏し、足をバタバタさせるエトナと。
「・・・・・・」
無言で頭を抱え、項垂れるシロ。
「「・・・・・・・・・・・・」」
重苦しい空気の中に響いたのは。
「「・・・・・・あぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」」
昨夜の出来事を思い出しては漏れる、悶え声交じりの溜息だった。
「アタシ・・・思いの外マゾっ気あったんだな・・・」
「どうせなら記憶も飛んでくれればよかった・・・それか飲んだ時に失神するか・・・」
「なぁシロ・・・やっぱり殴っていいかー?」
「いやダメですから。良くて頭蓋骨粉砕、普通で脳挫傷、最悪死にます」
「2/3で死なないなら大丈夫そうだなー」
「3パターンありますけど多分死にますから。死ななかったとしても大惨事ですから」
「そっかー・・・じゃやめとくー」
「エトナさんは強いんですから、そこ考えて下さいよ・・・」
お互いに昨日の熱すぎた夜の事は、記憶から捨て去りたいようである。
そして、それが不可能な事も知っている。ただ、それを認めたくない。
「「・・・・・・あぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」」
間に少々の会話を挟み、同時に溜息。
この流れが何度か行われた後。
「折角シャルクに来たんですし、何か見に行きましょうよ」
というシロの言葉で、ようやく二人は部屋を後にし、外へと歩き出した。
シャルクの昼は静か。といっても、夜と比較すれば、という意味でだが。
住宅街の東部はともかく、中央部、西部は中々に活気がある。
「行きたい所があるんだ」
外に出てから、話を切り出したのはエトナだった。
「どちらですか? 酒場? 劇場? それとも見世物小屋か・・・」
「ん、違う。ここ」
そう言いながら地図に指をさす。そこにあったのは。
「娼館・・・ですか?」
「そう。この街に来た時から、行こうと思ってたんだ」
街の片隅に佇む、小さな建物。
通りから逸れた場所に、それはあった。
「そうでしたか。確かに、僕じゃエトナさんを満足させられませんし。
男娼の相場はよく分かりませんけど、銀貨10枚くらいで足り・・・」
「何言ってんだ。アタシはシロ以外の男とヤるつもりはねぇぞ」
「えっ?」
エトナが娼館を訪れる理由は、それ以外に想定していなかった。
それ故、他の可能性を考えるのに少し時間がかかったが、シロはもう一つの理由を見つけ出した。
「あっ、そっか。うん・・・お楽しみ下さい」
「・・・何だその顔」
「固定概念に囚われてました。エトナさん、両刀使・・・」
「いやアタシが女とヤる訳でもない! だからその気持ち悪い微笑みやめろ!」
エトナは知っている。
シロは賢い。しかし、その分普通の子供の感性とはそこはかとなくズレている。
その弊害として、時々突拍子もない方向に思考が飛ぶことがあるという事を。
「変な勘違いしてごめんなさい・・・」
「ま、買うには買うけどな。なぁシロ、この街に色々ある娼館の中から、何でここ選んだと思う?」
「うーん・・・分かりません。それに、買うっていっても、何の目的で」
「そんなん一つしか無いだろ」
「・・・?」
「3P、ヤろうぜ」
『3P』。そして、ここまでの会話の流れから考えると、答えは一つ。
(3・・・僕と、エトナさんと・・・)
それ以外の結論の出しようが無い。その事を理解した瞬間。
「・・・はいいいぃぃぃっ!!!???」
シャルクの昼に、一人の少年の声が木魂した。
色々と聞きたい事はある。そして物凄く慌てている。
その気持ちを出来る限り押し留めながら、シロは問う。
「いや、何でですか!? やっぱり僕だけじゃ・・・」
「違うって。シロの社会勉強。アタシは身体にも性技にも自信あるけど、折角だし」
「だからって行く必要無いですよね!? それに、エトナさんはいいんですか!?
僕が他の女の人とセッ・・・やったとしても!」
「浮気は男の甲斐性だろ? そしてシロはそれだけの甲斐性がある。
インキュバス化も進んでるんだし、ガンガンヤった方がいいって」
「流石に節操無しにも程があるでしょ! それじゃただのクズですよ!」
「前にも言ったけどシロは固すぎるんだよ。これでクズなら勧めたアタシもクズじゃねぇか」
「いやその・・・」
中々気は進まないが、貶した形になり、ここで言いよどんだ。
その瞬間を逃さず、エトナは切り札を持ってくる。
「二人がかりで、挟んだりできるぞ?」
「・・・ふぇっ?」
動きが止まる。
親からの愛情を受けられなかったシロは、女性の象徴である乳房に、強い欲求を抱いている。
そして、そこにインキュバス化の影響による性欲増進
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