時刻は朝5時半。
シロはいつもより早く、起床した。
彼は普段から早起きな方ではあるが、この日は殊更に早かった。
重たい瞼を開け、ぼんやりと、
「んっ、んちゅっ、むっ、んちゅっ」
する事無く一気に目を覚ました。
「ふぇっ!? 何が・・・?」
何処からともなく聞こえる、淫らな水音。
何故かとても温かく、気持ちいい股間。
そして、抱き合って眠っていた筈のエトナが隣にいない。
確認の為、自分の掛布団をめくってみると、そこに居たのは。
「ちゅっ、ちゅぱっ・・・ふぁ、おふぁほぉう、ふぃほ」
予想通り、エトナだった。
陰茎を咥えたまま、視線のみをシロに向けている。
「エ、エトナさん!? 何して、んっ、ですか!?」
「ん、ちゅぱっ、みふぇのふぉうひ・・・」
「一旦止め、あっ! て、下さっ、んんっ!」
柔らかな舌と口腔、唇の感触に上半身を跳ねさせながら、シロは静止を求める。
あまりにも挙動が大きかったので、エトナは一度口を離した。
「ん。おはようシロ」
「おはようございます・・・じゃなくて。何をしてるんですか」
色々言いたい事はあるが、とりあえず最も強い『困惑』の感情から、
疑問の言葉が出た。
それに対してエトナは、自身の唾液に塗れたシロの陰茎を手でしごきながら、
「見ての通り、朝フェラ」
非常にシンプルに、返答をした。
「いや、それは分かりますけど、何故?」
「こういうのって男の夢だろ? 目ぇ覚めたら勃ってたからさ、パクっと」
「・・・確かに、気持ちよかったですけど、それより・・・」
「んじゃ問題ないな。あむっ」
「あひぃっ!」
一気に全体の3分の2近くまで咥え直し、更に思いっきり全体を吸う。
まだ射精という経験の無い身体でも、何かが出そうな勢いで。
と思ったら、突然力を弱め、先端部分、鈴口の辺りを唇で挟んだ。
「シロ」
「ふぇ・・・エトナさん?」
「ちょっとだけ我慢しろよ。・・・んっ!」
「あひゃぃぃっ!?」
上体が跳ねる。
ちゅるん、と音を立てて、シロの本体がエトナの口内に直接触れる。
つまり、陰茎の包皮が剥かれたのである。
中身を吸いだすようにして亀頭を露出させ、その痛みを感じさせないよう、
すぐに口腔粘膜に宛がう。
痛みに慣れて来たら、ゆっくりねっとりと優しく舐る。
こうする事で、シロは殆ど苦痛を感じずに、大人への一歩を踏み出せた。
にゅるり、にゅるりと、無防備な陰茎に舌が這う。
触れられなかった所が存在しなくなるくらいに、シロは全体をくまなく舐められた。
「んにゅ・・・んっ。ふぃほ、ひもひいいふぁ?」
「ああっ! ひゃっ、やっ、ああんっ! ひゃっ!」
シロの喉から出るのは、言語の用を成さない、反射的な喘ぎのみ。
確かに、包皮を剥かれた時の痛みは殆ど無かった。
しかし、与えられる快楽が強すぎて、呂律が回らない。
シロが感じてくれている。そう、エトナが思った時。
―――この子を、犯しちゃいけない!
「・・・っ!?」
呪文が、発動した。
しかも、タリアナの時とは比較にならないほど強い。
「・・・んはっ!」
反射的に、シロの陰茎を口内から解放する。
唾液が光を反射し、外気に晒されたそれが震える様は、酷く淫猥だった。
・・・が。
「エトナ、さん・・・」
エトナは、この時漸く気付いた。
やってはならない事をしてしまったと。
シロが、怯えていた。
自分を見るその瞳は、不安と恐怖に塗りつぶされ、
輝きを失っていた。
(・・・アタシは何やってんだ!)
下唇を強く噛む。
行為に夢中になるあまり、シロの気持ちを考えていなかった。
少し考えれば、分かるはずだった。
シロが、無理矢理犯されることを恐れる事くらい。
「ごめんっ! アタシは・・・何て事を・・・!」
エトナが頭を下げたのは、謝る為だけではない。
自分の所為で怯えきったシロを、見たくなかったということもある。
寧ろ、そちらの方が大きいかもしれない。
(・・・?)
辺りが静寂に包まれたまま、
ふわりと、エトナの頭に何かが触れた。
「エトナさん」
(・・・!?)
シロの声が、響く。
柔らかなソプラノの、少年らしい声。
「大丈夫ですよ」
頭に触れていた何かが、動く。
初めての感触だが、エトナはそれが何かよく知っている。
「分かってますから」
(・・・あっ)
シロの小さな手が、そっとエトナの頭を撫でていた。
少年が、自分よりずっと大きいオーガの頭を撫でるという、
ちぐはぐな光景がそこにあった。
時折、エトナの髪を手櫛で梳かすようにしながら、背中へと手を伸ばす。
大丈夫、分かってる、心配ないと、声をかけながら。
「シロ・・・」
「怖がらせるつもりじゃ、無かったんですよね」
「・・・当然だ、バカ・・・!」
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