白提灯

男、 榊 悠希 (さかき ゆうき)は、自室で自慰行為に励んでいた………

部屋は片付いておらず、様々な物が散乱していて足の踏み場も無い状態だった

「くっ…うぅ………んん?」

一仕事終えた悠希氏は、猛りが収まらない愚息を眺め、不信感を感じ初めていた

「どうなってんだ?」

もうこれで三発目だった…原因はわかっていたようだが それでも悠希は三回連続など夢の世界だと思っていたので、さすがに心配になった

「こりゃまずいな…一旦中断だ、まず部屋の掃除を終わらせないと」

悠希はそそくさと方付けを済ませるとズボンを履き、部屋に散乱した物の分別を始めた


「えっと これはゴミだな、これは要る物で、…あー、土曜日が待ち遠しいぜ…シエルさんとお家デート…」

ムクムクムク

「いででででで!」

悠希の意思とは裏腹に、本能でジーパンのまたがみを持ち上げつつ、強制的に掃除を敢行するのだった

昔の新聞や雑誌を発見して読み耽ってしまったり、ずっと見つからなかった物が不意に出てきて 嬉しいような空しいような気分になったりと、強敵が多数立ちはだかった大掃除だったが 、あっという間に時は過ぎ、現在時刻は23時を回りました…掃除も終盤に差し掛かったところだった

うわー、俺の部屋って和室だったっけ、何だか畳が懐かしい気分だな

とか何とか思いつつ、畳の上に寝そべった悠希の目に、あるものが映った

「………何で…俺の部屋にあるんだ?」

悠希は引き吊った顔で起き上がり、汚いモノでもさわる様な仕草で、部屋の角に掛かった古ぼけた提灯を取り上げた。 …埃まみれになったそれを悠希は掃除するでもなく、部屋の外に持ち出した



台所まで、なんとか人差し指と親指の先端に提灯をぶら下げたままたどり着いたが…この提灯やったらと重い!…そろそろ指の疲労がマックスで取り落としそうだ …そんな事したら床が埃まみれになって掃除の手間が増えちまう、もうひと踏ん張り!

流し台では悠希の母親が食器を洗っていた

…一応聞いておくか

「母さん、俺の部屋にこの提灯置いた?」
「なぁになぁにー?」

水を止めてこちらに振り返った母親は、これまた 御器被り様 でも発見したのかという表情でこちらを睨み付けてきた

「…あんたまさか…っ!」
「あーはいはい、何でもねぇよ … 明日燃えるゴミの日だったよな? 」

そう言いながら悠希は勝手口を開け、外に置いてあるデカイゴミ箱に提灯を放り投げた…蓋が閉まっているので入る筈も無いが…
悠希は溜息を吐くと、つっかけを履いて外に出た

「…一緒に捨てといてくれよ、よろしく」

勝手口の扉は閉めたが、扉を閉め終えてもなお、母さんの冷たい視線を背中に受け続けている様な気がしていた



思い出したくも無い……






悠希は提灯を再度取り上げ、叩き付ける様にゴミ箱の中に放り込み、耳が痛い音が鳴るほど思い切り蓋を閉めた…

何度か深呼吸した悠希は、トボトボ歩き出し 家の表に回り込んだ



「あーあー、聞くんじゃなかったなぁ…」

もう一度 母さんのあの顔を見るのは嫌だ、玄関から入る事にしよう…つっかけは 後で勝手口に戻しておけば良いか…



部屋に戻った悠希は、残りの物を押し入れに突っ込んで掃除を終わりにした、モチベーションが限界の様だ…お疲れ様です。

何年かぶりに綺麗になった自分の部屋を見て、少し心が洗われた悠希は、若干元気になった

「………うん…うん、 折角のデートまで引きずる訳にはイカーン!! よし、シエルさんの夢を見よう! そうだ!それがいい!」

部屋の電気を消してベッドにダイブした悠希は愛しの彼女を思い浮かべる事にした


「シエルさんのあのナイスバディを思い出せ…! あの銀色の髪の毛と言い、深紅の瞳と言い………シエルさんって何処の国出身なんだろ、アルビノって言うのかなぁ、あーゆーの… んなこたぁどーでもいんですよ! そんなことより、あのOPPAIですよOPPAI! どーやったらあんなに成長すんだろか」

…ムクムクムク

「いででででで!」


なんとか落ち着こうとする悠希だったが、静まり返った部屋には余計に大きく時計の音が響き渡るのであった…



「…寝れん!」


男の悲しい性である。













小さい頃の自分が一人で泣いているのが見える…
あーもう! 鬱陶しい泣き声だ! 側にいって蹴たぐってやろうか!
と思う程イライラする………
子供の泣き声とは煩いものだが、自分の声だと鬱陶しさ倍増だ
くそったれ! 寝れないじゃないか!このクソガキめ!………自分だけど…

むぅ、親父の気持ちがわかった気がする…



「うえぇぇぇぇぇぇえええ」


はぁ…いつ泣き止むん
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