それは、彼が幼い10歳ごろのことだった。
「ポテチうまー」
親の忙しい彼は、彼の住んでいる村から少し離れている訓練所へ一人で歩いて帰っていた。
冒険時代ほど荒れてはいない穏やかなご時世だ。子供が一人で家に帰るには、危険が全くなかった。
教団は、国境からだいぶ離れている、というよりも、真後ろが魔界であるこの村にはやってこないし、一応このあたりの害獣や、害虫はほとんどいなくなってる。
その上、この辺りの魔物の人たちは彼のことを知ってるので、彼が大きくなるのを虎視眈々と狙ってはいるが、今は見かけても手を振ってきたりと見守ってるだけで、発情しすぎて襲おうとした同族を制裁してくれてたりもするので安心だ。(主に『抜け駆け』として)
その日も、帰りに近所のサキュバスの「おねーさん」(そういうように怒られた)からもらったポテトチップスをぽりぽり食べながら、公園の脇の道をあるいていると
「にゃー・・・にゃー・・・」
「ん?」
このあたりでは珍しいジパング特産の赤い布地に白い華が描かれた着物を着た一人の女の子が猫のような泣き声をあげながら、公園の中央に立つ大きな木の上に取り残されていた。
彼はそれに気付くと、慌てて木の下に駆け寄った。
「だ、大丈夫ーっ!?」
木の大きさは3mほどだったが、まだ8歳の彼にはとても大きく感じられた上に、太さは彼が抱きついても両手が届かないほどだった。だが、大声で呼びかけると、木の上の女の子はビクッと震え、恐る恐るこちらを見た。
「だ、誰・・・?」
「僕の名前なんてどうだっていいからさーっ!なんでそんなとこにいるのーっ!?」
本当は彼と女の子程度の距離なら大声を張らなくてもいいのだが、それだけ彼は幼く必死だったのだ。
「き、木登りしててっ、気付いたらこんなとこに・・・っ」
「ぁー・・・」
ここら辺の女の子(魔物娘)はやたらと活発だからなぁ、と子供らしくなく考えながら、彼は女の子に向かって大声で呼びかけた。
「ゆ、ゆっくり木の枝をつたって降りられないーっ!?」
「む、無理ぃ・・・こ、こわいぃ・・・」
彼女は下を見ようとした瞬間、にょろっと服の下から出てきた白色の毛の生えた二本の尻尾が棒のように一直線に固まりV字のようになると、はしっと木に頬を擦りつけるように抱きついた。
「じゃ、じゃぁ、僕が下で受け止めるから!こっちに飛び降りてきて!」
「下ぁ・・?」
ぐしゅぐしゅと半泣きになりながら、女の子は彼を見た。
女の子とあまり大きさのかわらなそうな小柄な男の子、線が細く、まだあまり男女の差が現れにくい歳とは言っても女顔な彼の顔をみて、女の子の金色の目が不安げに揺れた。
「だ、だめだよぉっ。あ、貴方がつぶれちゃう・・・」
「だ、大丈夫だって!これでも一応、知り合いのデュラハンさんに剣を教えてもらってるんだから!」
と、彼は両手を挙げながら、彼女を受け止めるために丁度下あたりの位置につき、上を向いた瞬間、むせた。
「ごっほぉっ!?」
「ふにゃぁ!?」
ビキンッっと彼の突然の咳き込む声に尻尾がまっすぐになるどころか、腰までの長い白髪をした頭の上から、白い三角の耳が突き出した。
その様子に彼は慌てて謝るが、若干顔を赤くして目をそらしたままだった。
「ご、ごめん!で、でも・・・・下は穿いた方が良いと思うよ・・・?」
「下?」
キョトンとした顔で、彼女は聞いてきた。彼は。その純粋な顔に言いづらそうにしながらも、
「だ、だから・・・そのぱん、いやっ下着を!」
「・・・???」
なんで?なんか問題でもある?とでも言うように小首を傾げる女の子に彼はぅーとうなった。
近所にそういう系の魔物娘さんがたが多い(サキュバスとかダークプリーストとか)ので、そういう方面の知識が多くなってしまってませた子供となってしまってる彼にとって、幼いとは言え同年代の下半身まるだしは刺激が強すぎた。
「ぁーも!いいから飛び降りて!ちゃんと受け止めるから!」
「ぅーっ」
まだ不安なのか、その大きな猫目いっぱいに涙をためながらも、女の子がためらっていると
ズリッ
「にゃ?」
彼女の立てていた爪が、木の皮から外れ、そのまま乗っていた木の枝から足を滑らせた。
「ぎにゃーーーーーーーーっ!?」
「わわわわわーっ!?」
そのまま忘れ物−とでも言いそうな勢いでわわわ言いながら、彼は慌てて落ちてきた彼女の下辺りにダイブした。
と、次の瞬間、肺の中の空気をすべて吐き出そうか、という程の衝撃が彼の背中に突き刺さった。ごふっと咳き込みながらも、常々の鍛錬をつんできた彼は、落ちてきた女の子が怪我しないよう、背中に力をこめ、姿勢を安定さ
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