今期の格言
外交官と幽霊は笑顔をもって敵を威嚇する
水の都ビストルク総督ユージャ=レロイ
パパパパウワードドン
突如ラッパの音がけたたましく鳴り響く。
この音に智鶴は聞き覚えがあった。
「…!!この音はまさか!」
「智鶴君!どうやらヴァルハリアのリチャード・ライオンハートが
イクシーたちエルフの文明に宣戦布告したみたい!」
「うわっ……もう戦争してるのかあの国は…」
先ほど鳴った効果音はどこかの国が宣戦布告をしたときの合図。
このゲームにおける恐怖の象徴であり祭りの始まりの号令でもある。
平和主義の内政屋はその身を震わせ、戦争屋は気分が高揚する。
「でも、これはチャンスでもあるわちーちゃん。
イクシーもライオンハートも私達にとっては敵対国。
その二つが消耗し合うのは大歓迎ね♪」
「ルーツィエの言う通りね。イクシーが目の敵にされている間に、
私達は急いで軍備を整えましょう。」
「聖エロニアの動向も気になることだしね………」
さて、なぜこんなにも早くエルフとヴァルハリアは開戦したのか?
実は翠緑の護り手は数ターン前に、宗教『緑葉の同胞』を創始し改宗した。
これによって主神信仰を国教とするヴァルハリアとの間で
急速に外交態度が悪化してしまったのだ。
このゲームにおける宗教は非常に重要な要素の一つ。
自国に宗教が広まっていると色々な恩恵を受けられるが、
他の宗教を崇拝している国との関係が悪化する一面もある。
特にヴァルハリアのリチャード・ライオンハートは、
宗教が違っただけで相手との関係が極端に悪化する指導者の一人であり、
異教を信奉しているエルフたちにいきなりブチ切れたわけだ。
「はっはっはー!今日は絶好の異教徒退治日和!進め!勇敢な戦士たち!」
むっちゃいい笑顔でエルフ領侵略を開始するライオンハート。
彼は宗教狂いの戦士……というよりも、
ただ単に戦争の口実が欲しいだけなのではないかとも思われる。
「けがらわしい人間達を森の中へ一歩たりとも入れてはなりません!」
対するイクシーも徹底抗戦の構えを見せている。
彼女は戦いを好まない温厚な指導者であるが、
国民を守るためにも毅然とした態度で戦に臨む。
既に斧や弓が戦力になりつつある両国に対して、
未だに初期兵科のままなダークエルフ達にとっては、
二国が争ってくれるのは大歓迎だ。
「さあ、みんな!まだまだ忙しくなるよ!
まずは新都市の建設、弓術の研究、どれも急がなきゃね!」
「どさくさにまぎれてイクシーの労働者を拉致してくるのも悪くないかもね。」
…2ターン後。
「よう、元気にやってるか?」
「あ、都市国家エリエールのレオンさんじゃないですか。何か用ですか?」
智鶴の元を訪ねてきたターキ=レオン。
どうやらクエストを依頼しに来たようだ。
「それがな、俺たちの都市の北にゴブリンの集団が集落を作って
付近の商人を襲ってやがるんだ。なんとか懲らしめてやってくれねぇか。」
「わかったわ、わたしとちーちゃんに任せて。」
「いいのルーお姉ちゃん。」
「大丈夫、首都防衛用のダークエルフをちょっと使うわ。
イクシーがライオンハートに気を取られてる隙にね。」
「引き受けてくれるか!ありがとうな!」
クエストには期限は特にないが、早めにやっておきたいところ。
そしてレオンが去った直後、またしても来訪者があった。
「ごめんください。智鶴君はいますか?」
「あら、ルミナさんじゃない。」
リートゥス海神連合の指導者、シービショップのルミナだ。
「あれ?ルミナさんって足があったっけ?」
「これは人化術といって魔力を使って足をはやしているんですよ。
何しろここは海から遠く離れた森の中ですので、来るのに苦労しました。」
「そ、それは大変だね…。そこまでして僕たちに何か用があるのかな。」
「私たちリートゥスと相互通行条約を結んでくれないかな?
これからも私達はダークエルフさんたちともっと仲良くしたいの。」
「いいよ、OKだ。ねぇルーお姉ちゃん。」
「そうね。私からもお願いするわ。」
「ありがとうございます♪」
相互通行条約を結ぶと、お互いの領土にユニットが入れるようになる。
これによって両国の友好度が上昇するのだ。
ただし領土内を他の国に公開するという意味合いもあるので、
結ぶ相手はよく考えてからにしよう。
リートゥスなら大丈夫だろう。
なお、相互通行条約締結には『筆記』の技術がどちらかにあることが条件だ。
どうやらルミナはもう筆記の技術を持っているらしい。
「やっぱり……結構技術の差が開いてる。難易度補正とはいえ厳しいなぁ。」
「でもここが頑張りどころよちーちゃん。いつかは皆に追いついて見せるわ。」
…そしてまた数ターン
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