第2期:偵察!探検!調教!

今期の格言

正しい者が生き残るのではない。
生き残った者が熟練者と呼ばれるだけだ。

狂戦士アルトカルト=リンク



エルフ文明『翠緑の護り手』 首都エヴァーモア。

ルーツィエ達ダークエルフの首都クロケアモルスから北西へ、
さほど離れていないこの古代森林地帯に彼女たちの宮殿がある。

「ルーツィエ………私たちがいる限りあなたたちの好きにはさせない。」

翠緑の護り手たるエルフたちを率いる族長イクシー。
エルフらしくスレンダーで長身の体つきに、
若葉を思わせるようなエメラルドの長髪がさわやかな印象だが、
不必要なまでに豊かな胸と美しくくびれたラインと、
これまた非現実的な美しい体を持っている。
エルフの伝統と誇りを何よりも大切にする彼女にとって、
魔に堕したダークエルフたちはもはや同胞とみなしていない。
特にリーダーたるルーツィエは、同胞を唆し魔の道に誘い入れた大罪人。
捕らえたら容赦なく粛清するつもりだ。

ルーツィエの宮殿に似たつくりのバルコニーから眼下の都市を見下ろす彼女。
エルフたちはよく働き、地形の改善に努めているが、いかせん人手が足りない。
食糧生産を重視し労働人口を増やすことが先決だろう。


「族長。斥候部隊より新たな情報が入りました。うち一つは重要な知らせです。」
「続けなさい。」
「はい。」

書記官からの報告が入った。
内容はダークエルフ領の動向についてだ。

「話によりますと、ダークエルフ達は『現人神』なる者を祀り上げたようです。」
「現人神?もう少し詳しく聞かせよ。」
「はい。正体はよくわかっていませんが、現人神を戴いた彼女たちは
その姿に熱狂し、多大な忠誠を誓っているようです。それと同時に、
かの里で魔力の増加が感じられました。おそらくは……」
「魔物か…魔人の類……ということか。
悪魔に魂を売るなど、エルフの風上にも置けないような奴らね。」

これがただの人間…それも子供だとわかったら
それはそれで彼女たちは軽蔑しそうだ。

「ますます警戒しなければ。それで、そのほかの報告は?」
「それが…偵察に出していた斥候部隊が二部隊とも壊滅しました。」
「ええっ!?」

冷静さを保っていた彼女の声色が変わる。
まだ情報が満足に得られていない現状で偵察部隊を二つも失ったのはショックだ。

「いったい何があった……。」
「それがダークエルフ領を偵察していた斥候部隊は
近辺を哨戒していたダークハンター部隊と遭遇、消息を絶ちました。」
「なんてことだ…!やつらに出鼻をくじかれるとは!ではもう一部隊はどうした?」
「それが…大変申し上げにくいのですが…」
「言いなさい。」
「はっ、実は………」


その報告を聞いたイクシーは、改めてこの世界の厳しさを知ることになる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一方ダークエルフの首都クロケアモルス、宮殿にて。

「ただいま〜ちーちゃん、何してるの?」
「あ、ルーおねえちゃん。おかえり。」

公用で宮殿を出ていたルーツィエが戻ってみると、
智鶴が羊皮紙に何かを書き込んでいる。

「ちょっとね日記をつけようと思って。」
「日記?」
「あ、そっか…まだ筆記の技術開発してないんだっけ。
でもなぜか紙とペンはあったからちょっと借りたよ。」

どうやら智鶴は今まであった出来事をまめに記録しているみたいだ。
オートセーブ機能と言ったところだろうか。

「ちょっと見せて。…………へぇ〜、今まであったことを書いてるんだ。
あ、私とエッチしたこともちゃんと書いてあるんだね!」
「う……うん。ルーお姉ちゃんと…その、したこと…嬉しかったから。」
「えらいねちーちゃん♪お姉ちゃん嬉しいよぉ♪ぎゅーーーーっ♪」
「あうあうあうあう…………」

もう何回も抱き付かれているが、やっぱり慣れないこの感覚。
ルーツィエの胸に埋められるだけで頭がぽーっとしてしまう。

「ね、ちーちゃん。今からお姉ちゃんとエッチしよ♪
日記の中お姉ちゃんとちーちゃんの愛の記録で埋め尽くすの♪」

ルーツィエが半ば強引に智鶴を寝室に連れて行こうとしたとき、
ザリーチェが宮殿にやってきた。

「智鶴君。面白いことがおきたわよ、ちょっと来てみなさい。」
「あらザリーチェさん。ちょっとは空気読んでくれてもいいのに。」
「ちょっと、鞭を私に向けないで頂戴。あなた指導者なんだから。」

仕方なく寝室に行くのをやめたルーツィエ。
二人はザリーチェに連れられて町の入り口にやってきた。
そこにいたのは誇らしげに勝ち鬨を上げるダークハンター達と、
智鶴が見たこともない結び方で縄で縛られ、
悔し涙を浮かべるエルフの偵察部隊だ。


「ど、どうしたの…この娘達?」
「智鶴様!お喜びください!私たちダークハンター部隊は、
領土ぎりぎりをうろついていた
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