ザザーーン
フィス「うみーーーーーーっ!!」
アーシェ「久々の海なのじゃー♪」
ルシア「ふふっ、二人ともあんまり遠くに行かないように
僕の目の届くところで遊ぶんだよ。」
二人『はーい!』
エル「おうルシ公、ますます保護者みてぇだなおい。」
ルシア「えっとルシ公って僕のことかな?
保護者って言われてもあんまり嬉しいとは思わないけど…
放送局の裏ってこんな海が広がってたんだ。」
フィーネ「去年はここでステラちゃんとビーチバレーしたんだよね。」
ルシア「ここって聞いた話だと亜空間らしいんだけど、
海まであるなんて思わなかったなぁ。」
エル「実際は空間が有り余っちまって、かといって平地じゃつまらねぇ
ってんで、いっそのこと海にしちまおうって話になったわけよ。」
ルシア「ようやるな……。で、僕たちは今回
何のために放送室抜け出して場所を移すことにしたの?」
フィーネ「それはね、部屋の中じゃ食べられない特別料理を用意したから
皆で食べてみようかなって思って。」
ルシア「部屋の中では食べられない特別な料理?なんだろう?」
エル「現在本編で進行している『カナウス大海戦』に出てくる
ちょっとユニークな料理でい!しかも年間通して夏しか食えない代物だ!」
ルシア「へぇ〜…ちょっと楽しみだ。このラジオっていつからか分からないけど
毎回何かしらの食べ物が出てくるって来てたんだけど、
まさかこんな大掛かりなことするなんてね。どんなのだろう?
おーい二人ともーー。エルさんたちが御馳走してくれるって!」
フィス「本当!何食べさせてくれるの?」
アーシェ「カキ氷かの?はたまた焼きそばかもしれんな!」
フィーネ「はーい、じゃあみんなこっちのテーブルに着席してね。」
さて、砂浜に設置された長方形のテーブルの上には
物々しい数のお皿と、バケットに入った黒パン、
それにスライスしたチーズや玉ねぎ、トマト、ジャガイモ、
あとは牛乳がたくさん入った瓶も用意されている。
一見すると行軍中の兵士の朝食メニューのように見える。
ルシア「え?これが夏限定の食べ物なの?」
エル「違わい。メインディッシュは今から到着すっとよ。」
フィーネ「さて…今のうちに覚悟を決めておこうかな。」
フィス「覚悟?」
アーシェ「な、何やら物々しくなってきたのぅ……何が出てくるんじゃ?」
レミィ「エル司令官ー、もってきましたー!」
サン「と、取扱注意です〜!」
エル「おっ!ごくろうさん。」
フィス「木箱?……ん、なんか変なにおいがする…」
ルシア「そうだね……何とも形容しがたい臭いが………」
レミィとサンが持ってきた木箱は頑丈な木材が使用され、
木の隙間も蝋封がしてある徹底した気密性だが……
その木箱自体が異様な臭いを放っている。
アーシェ「も、もしやそれは……『シュールストレミング』か!!」
フィス「しゅ、シュール…何?」
アーシェ「シュールストレミングじゃ!世界一臭いという噂の
ニシンの塩漬けを元にした発酵食品なのじゃ!」
フィーネ「あ、よく知ってるね。そうそう、これはにしんの塩漬け。
今回のカナウス大海戦の際に偶然出来て、それ以来
帝国北方沿岸地方の迷産名産品になっちゃったんだよね。
ちなみに私達の世界ではシュールストレミングとは
呼ばれてないよ。あくまでニシンの塩漬けの一つなんだ。」
ルシア「偶然できたってこれが…?」
エル「おうよ。そもそもこいつぁ帝国海軍が保存食として
ニシンの塩漬けを輸送船に大量に積み込んだってのは
良いんだが、木箱の中でさらに発行が進んじまってな。」
レミィ「最初はこの世のものとは思えない臭いのせいで、完全に
腐っちゃったかと思ったんだけど、何だかんだあって
食べられることが判明しちゃったのよ。」
サン「けっこうクセがあるんだけど……強いお酒に合うってことで
帝国では密かに人気の発酵食品になっちゃいました。
で、でも私はまだちょっと遠慮したいかな…?」
ルシア「そんなものを食べるのか………っていうかアーシェは
どうしてこの食べ物のことを知っていたんだ?
食べたことはあるのか?」
アーシェ「食べたことはないが、聞いたことはあるのじゃ。
なんでも魔物すら寄ってこなくなるほど激臭じゃとか、
ダンジョンで食べたらそのダンジョンは一ヶ月の間
毒ガスが充満していると勘違いされたりしたそうじゃ…」
フィス「ど…どれも臭いに関するうわさばっかじゃない…。
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