塩を贈った相手はたまたま敵だった


スッタスッタスッタスッタ…

「………………」


ん〜、いい天気!今日も絶好のリリム日和だわ!



スッタスッタスッタスッタ…

「………………」


風も軽やかで心も弾むし、簡単な舗装がされた街道はとても歩きやすい。
魔界の妖艶で美しい風景もいいけど、偶には『外』の平穏な世界も悪くないかも。



スッタスッタスッタスッタ…

「………………」


こんな開放的な風景の中で情熱的に青姦できたらどんなに楽しいだろうか!
誰かに見られてるかもしれない背徳感と、大地の上で交わる快感…
ムフフ、考えるだけでゾクゾク来ちゃうわね!


「うへへへへへへへへへへへへへへへ………」
「……ねぇ、後を付けてくるだけならまだしも、不気味な独り笑いはどうかと思うよ。
ただでさえ変態のイメージが強いヴィオラがより一層馬鹿みたいに見えるからね。」
「ちょっ!?ば、馬鹿って!?この完璧お嬢様の私のどこが馬鹿みたいだっていうの!」
「自覚は無しか…。やっぱり馬鹿に付ける薬は無いよね。」


そして…
ユング君は相変わらず口が悪い。
残念ながら、私は罵詈雑言でむしろ感じるとかはないので少しもったいないかも。



結局私はユング君と一緒に寝たにもかかわらず、彼を受け止めることはできなかった。
リリムとして恥ずべきことだとかいう以前にとても悔しかったわ。
でも私はあきらめない。諦めたらそこで試合終了なんだから…


で、こうして私は別の街に移動するユング君に堂々とついていって
少しづつでもいいから私に興味を持ってもらうことにしたの。
相変わらずユング君は私を邪険に扱うけど。


まあいいや。好感度アップの基本は会話から!
こうして次の街に向かう道すがら、事あるごとに話しかけて
ユング君の氷のような心を溶かすのよ!



「う〜ん、今日もいい天気よね〜」
「それさっきも言ってなかったっけ。」
「こんな日は美人のお姉さんと青姦としゃれこもうと思わない?」
「……………。」
「あらやだ、照れちゃってるの?」
「アオカンってなに?」
「え、知らないの?青姦っていうのはお外で抱き合ってチュッチュしあうことなのよ。」
「……いや、よくわかんない。でもヴィオラが言うんだからきっと変態なことかなんかじゃないの?」


なんかいまいち反応が薄いわね。
いやむしろ好感度下がってない?



「そ、そうだ!これからどこに向かうの?」
「それもう3回目だよ。どれだけ物覚えが悪いのさ。
これから行くところはデュルケームっていう町。ここから歩いて三日かかるんだよ。」
「で、そこに行って何するの?」
「だ〜か〜ら〜…………、……、あ…」


あら?ユング君ったら突然黙っちゃった。どうかしたのかしら?


「あ……あのさ…、ちょっと……その、したくなっちゃったからさ……」




……き…





「キタ――――――――――――――!!!!」
「え?…ええっ??」
「やっとその気になってくれたのねユング君!ヴィオラお姉ちゃん嬉しいわ!
さ、そうと決まったら早速そこの草むらに…あ、それともあの木蔭がいいかしら?」
「ちょっとちょっと……一人で出来るからいいって…」
「何言ってるのよ!エッチは二人じゃないと出来ないのよ!」
「あのね。僕がしたいのは……えっと、お……おしっこだから!」
「へ?おしっこ?」


なーんだ、おしっこしたかっただけなんだ。私としたことが早とちり♪
それもそうよね。人間だもの。


「なら仕方ないわね。その辺の草むらでシちゃいなさい。」
「うぅ……もう少しあっちの方がいいかな…?」
「人もあんまりいないんだからこの辺でいいんじゃない?」
「って何で付いてきてるの!?どっか行っててよ!」
「いいじゃない。見られても減るもんじゃないし。」
「減るとかそういう問題じゃないよ!恥ずかしいんだよ!」
「私は興奮するけどね。」
「どっかいけーーー!!!」







あ〜あ、あんなに顔を赤くしちゃって。何だかんだ言ってやっぱ男の子なんだ。
さてさて、見るなと言われたら余計見たくなっちゃうわね。
姿と気配を殺してこっそりと………



ひゅうぅぅぅ……



パスッ



「あら?何か紙鳥(近世の紙飛行機みたいなもの)が。……ってもしかしてこれ!」


どこからともなく飛んできて私の肩にぶつかった紙鳥を開く。
すると、そこには短いながらも文字が書いてある。

それと、これは魔王軍で使用される暗号だわ。



  ヴィオラート様へ

  カルヘーツ王国での行動は用心されたし

  エナーシアという強力な魔道士あり

  魔力の行使は極力控えられたし

  フェルリより



「うーん、エナーシアって確かイル・レネイスっていう国の魔道士よね。
聞いた話だと、元老院…だっけ?な
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