「自由都市アネット陥落、そしてカンパネルラ地方の制圧を祝して、乾杯!!」
『カンパーイ!!』
ガチャーン!!
自由都市アネット陥落の翌日…
あらかた戦後処理を終えた十字軍の将軍たちは、全員そろって戦勝記念の祝杯を揚げていた。
「はっはっは!まさか本当に3ヶ月以内に攻略できるとは思わなかった!なあブロイゼ!」
「いんや、俺は初めからできると信じてたさ。」
「調子こくんじゃねーぞおまえ!初めの時は無理だ無謀だ言ってやがったのに!」
「細かいこと気にしてるとはげるぜディートリヒ。」
「あれ?サン、ナンナ、何飲んでるの?」
「ミルクだよー。」
「私達は未成年ですので、お酒は飲めませんね。」
「そーゆーレミィは……麦茶?」
「ちがうよ!ウイスキーだよこれ!」
「だめですよレミィさん、お酒なんて。」
「なーに言ってんのよ二人とも!こんな日はむしろお酒飲まない方がおかしいでしょ!
あなた達も酒飲みなさい!飲めー!素面とかゆるさなーい!」
「落ち着いてレミィ!酔ってる!酔っ払ってるよ!」
「わ、私お水持ってきますね!」
「あら、レミィちゃーんあなたいける口みたいね?」
「私達も混ぜてほしいなー!」
「あ…ルーシェント様…チェルシー様…」
「ほらほらほらほら!サンちゃん、飲みねぇ飲みねぇ江戸っ子だってね!」
「『えどっこ』ってなんですか…?」
「ナンナちゃんもお水なんか後回しにして、お姉さんと一緒に飲みましょうね〜♪」
「だ、誰か助けてください〜…」
「マティルダ!飲み比べよ!」
「望むところですユニース様!」
「先にグラス20杯飲んだ方が勝ちよ。いいわね。」
「それくらいならどうってことありませんね。」
「……どうってことあると思われますが。」
「リノアンは黙ってなさい!ってことでノクロス、審判よろしく。」
「飲み比べの審判ですか。まあ、いいでしょう。」
「で、ユニース様、勝ったら何かくれるんですか?」
「ふっふっふ、勝った方はエルと寝られるなんてどうかしら?」
「おおっ!それは凄い!」
「…せめてエル様から許可を取られた方がいいのでは?」
「そして負けた方はその場でパンツ一丁になってもらうわよ!」
「望むところです!」
「今すぐ止めなさい!!(キビッ!)」
わずか3カ月の出来事だったとはいえ、将兵は毎日苦労が絶えるときはなかった。
だからこそ、こういった場では誰もが自然と羽目を外している。
この夜の宴会はもはや無礼講の模様を呈していた。
「ではエル司令官、ファーリル軍団長、私は見回りに向かいます。」
「ああ…すまないなフィン。お前にばかりこんな役を押し付けて。」
「いえ、私は酒が苦手ですから…この場にいるより見回っていた方が気が楽です。」
「ははは、くれぐれも付き合い悪くて友達なくさないようにね。」
「……善処します。」
スタスタ…
「やれやれ、相変わらず彼は堅い人間だね。」
「ま、本人がやるって言っているのだから、構わないだろう。
それに酒に酔った兵士が軍紀を乱すこともあるからな、誰かが見ていなければならん。」
「そうだね。フィンには感謝しないと。」
「よう、二人とも飲んでるか?」
「やあカーター、君も部下と飲まないのかい?」
「とりあえずシモンとイーフェとトステムを潰してきた。」
「あいかわらずだなお前も……すこしは部下を労わってやれよ。」
「大丈夫だ、殺しはしない。生かさず殺さずがちょうどいい。」
「とても宴会で言う言葉とは思えないね。」
エル、ファーリル、カーターの三人が杯を片手に談笑しているところに、
ユリアが混ざってきた。
「エルさん。」
「あ、ユリアさん。どうかしましたか?」
「いえ…マティルダさんとユニースさんが飲み比べを始めましたので、
こうしてエルさんの下に避難してきました。」
「あの二人またやってるんだね。女性なのに僕たちより飲むよね。」
「まったくだ、俺もあいつと飲んで何回潰されたことか。」
「か…カーターさんが酔い潰されるって……」
「あの二人から逃げてきて正解でしたねユリアさん。
俺は飲酒を強要しませんので、ゆっくりミルクを飲みながら談笑しましょうか。」
「はい♪」
「そういえばカーター、ファーリル、これはカンパネルラ城攻略の時の話なんだが……」
タッタッタッタッタッ
「エル様!大変です!」
「どうしたラルカ?」
「ユニース様とマティルダ様が飲み比べで勝った方が……その…ええっと……」
「肝心なところを早く言ってくれないと動くに動けないんだが。」
「エル、どーせあの二人のことだ。勝った方がエルに夜伽してもらうとか言ってんだろ。」
「!!カーター様、どうしてそれを…」
「図星かっ!!クソッタレ、今すぐ止めに行ってくる!」
ザッ
「あ…行ってしまいました。エルさんも大変そ
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