ヒュウウゥゥン
「ただいまー!!」
「ひゃうっ!?」
私が部屋に戻ったところ、その場にいたフェルリがとても驚いていた。
「あれ?フェルリ、何でまた私の部屋にいるの?」
「い…いえ、昨日差し入れた書物の内容が…私も気になったのです…。
それよりもヴィオラ様!なぜこんな早く戻ってこられたですか!?
あれだけ『いざ行かん』なオーラを纏って出て行ったものですから、
物語後半まで戻ってこないものと思ったですよ!」
「うん、ちょっと大事なことを忘れちゃってね。」
前回、サンタルスに行った私は、途中で重要な用事を思い出し
急いで目標を達成した後さっさと戻ってきたの。
ちゃんと200年もののワイン(しかも当たり年の!)は調達してきたわ。
運命の出会いはなかったけど、当初の目的だけはしっかり果たしたの!
「大事なこと、ですか?」
「そうよ!今日は『ラジオ キラキラ☆星』の放送日じゃない!」
「全くをもってその通りなのです。」
『ラジオ キラキラ☆星』っていうのは、魔界どころか外でも大人気な
オールナイト全時空ラジオ番組なの。
なんか色々と不憫なピクシーがパーソナリティをやってるんだけど、
時には笑えたり時には勉強になったりと、凄いクオリティが高いんだよ!
みんなも聞いてみてね♪
「ですがヴィオラ様、それくらいなら私たちが録音しておきますが。」
「フェルリ!あなたはわかっていない!わかっていない!」
「な、なんなのですか!?」
「ラジオは生ものなのよ!その日に聞かないと鮮度が落ちちゃうじゃない!」
「はぁ…」
フェルリはジト目で怪訝な顔をしている。
まったくこのスーパーミニマムピンクときたら…
本当にこんなのが魔王軍最高幹部をつとめて大丈夫なのかしら?
「だから今日はこの200年もののワイン片手に、優雅にラジオを聞くわ。
ついでだからメイド達に言って最高級のスモークチーズを持って来させなさい。」
「わかったのです。くれぐれもワインを無駄にしないよう気をつけてくださいなのです。」
「ワインを無駄に?」
その夜、ワインを片手にラジオを聞いた私は、途中何回か噴き出してしまい
少しばかり飛び散らせちゃったけど、これくらいでケチケチする私じゃないのよ!
※ヴィオラートが飲んでいたワインは、一本約14000コール(日本円で約224万円)します。
――3日後――
「どっこにいこっかな〜っと♪」
今日も私は地球儀をぐるぐる回しながら、散歩先を考える。
「またご散歩なのですか。先日出かけたばかりなのです。」
「煩いわねフェルリ。いつ出かけていつ帰ってこようが私の勝手でしょ!」
「ヴィオラ様は陛下の令嬢なのですから、なるべく軽々しい行動は避けてほしいのです。」
口やかましいバフォメットを無視して、目的地を定めよう。
今日の目的地は……
うん!ここイル・ローランド地方に決定!
イル・ローランド地方は、カルヘーツ王国っていう国の首都があるの。
文化と芸術が盛んなところとして有名よ。
ただ、あまり魔物には優しくない国だけどね。
「いざ行かん!カルヘーツへ!立派なダビデ像が私を待っている!」
今回も気が赴くまま、私は転移魔法ではるか遠くの地へと転移していった。
「ちょっ、ヴィオラ様!カルヘーツって!?」
なんだかフェルリが慌ててるけど、あの子は仕事があるから追いかけて来れないはず。
してやったりと笑う私の顔は、今日も希望と美貌に満ちているに違いない!
ヒュウウウウゥゥゥゥン
「とうっ!」
シュタッ
「この世に闇がある限り、光も消えぬというのなら。
残った光も私がすべて、淫堕の光に変えて見せよう。
秀麗なる魔界のプリンセス!ヴィオラート参上!
………………ふっ、決まった。」
今日も華麗なセリフと決めポーズと共に目的地に降り立った私。始まりは上々だ。
この決めポーズをフェルリにも見せたところ、なんか残念な人を見る目をしていたんだけど
母上と父上には大受けだったから、絶対間違ってはいないはずだ。うん。
「さてと、まずはあの都市に入るために準備しなきゃね。」
イル・ローラント地方カルヘーツ王国の首都郊外に降り立った私は、
まず下準備を行う。これ、結構大切なんだよ。
諺にも「備えあればうれしいな」っていうしね。
「ふんふふんふふ〜ん♪ふんふんふ〜ん♪
わたしは〜魔王の優秀な娘〜♪
おーっほっほっほっほ♪おっほっほ〜♪
サインをあげても〜よろしくってよ〜♪」
陽気に歌を口ずさみながら、首都郊外の丘陵地帯を散策する。
すると、しばらくしないうちにお花畑に座り込んでいる女の子を発見した。
あんな
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