第2回 後編

十五分の休憩を終え、
『チーム・ポニテ』と『チーム・シスターズ』は
全員が段ボールの中に代用ストーンを入れて待機していた。
両陣営とも自信に満ちた顔をしている。


ファーリル「じゃあ全員そろったところでルール説明をするよ。
      今回は独自ルールとして4エンド(区切り)まで。
      さらに1エンド中に投げられる回数は4回までとするよ。
      フリーガードは最初の1投のみだ。」

リサ「フリーガード?」

フレイヤ「要するに、最初に投げるものだけは、
     邪魔されずに置くことが出来るんだ。」

リサ「うーん、わかったようなわかんないような。」

フレイヤ「やってみればわかるさ。」

エル「公式のカーリングルールを全部半分にしたのね。
   ま、時間がないからしょうがないけど。」

ファーリル「じゃあまずは先攻と後攻を決めるよ。
      エルとフレイヤさんはじゃんけんしてね。」

二人『ジャン!ケン!ポン!」

エル:パー
フレイヤ:パー

二人『あいこでショ!』

エル:パー
フレイヤ:チョキ


フレイヤ「よし!かった!」

エル「どうやら私たちが先攻みたいね。これはちょっと不利よ。」

サン「どうしてですか?」

エル「カーリングはその性質上、後から投げる方が大抵は有利なの。
   先にいい位置にストーンをおいても、後から弾かれればどうしようもないわ。」

フィーネ「なるほどね。」

リサ「じゃ、あたいらは遠慮なく相手のストーンを弾き飛ばせるな!」

フレイヤ「いや、さっきも言った通り1投目はフリーガードだ。
     そういうことが出来るのはその次からだ。」

ファーリル「分からない人は自分で調べてね。
      それじゃ早速試合開始だ。」


カーター「なお、審判はこのカーター・フォン・シーツリヒターが務める。
     不正行為をした奴は容赦しないからそのつもりで。」

フレイヤ「いやいや、カーリングの審判に鞭は必要ないだろ。」



〜〜第1エンド〜〜



エル「フィーネ。とりあえず最初は適当に投げてみなさい。」

フィーネ「わかった!」


フィーネは管理室から持ってきたガムテープを思いっきり滑らせる。


エル「二人とも、とりあえずストップって言うまで擦りなさい!」

レミ&サン『はい!』


二人はエルの指示に従って、停止命令が出るまで擦り続けた。
その結果、ガムテープは円の前ギリギリのところで止まった。


エル「やっぱりゴムだと思ったより滑らないわね。」

フィーネ「だ、だめだった?」

エル「ううん、大丈夫!そこでいいのよ。」



フレイヤ「とりあえずあのガムテープが邪魔になることはないな。
     リサ!こっちもどれくらい滑るか確認するため思いっきり投げろ。」

リサ「よっしゃー!いっけー!」


リサもまた、食堂から調達した醤油さしを滑らせる。


フレイヤ「アリアさん、ユニースさん!擦って!」

アリア「よし!」

ユニース「了解!」



リサの投げた醤油さしは、少しカーブしながら
円の左後ろあたりで止まった。


フレイヤ「ナイスだ!リサ!」

リサ「どんなもんよ!」

ファーリル「あ、一つ言い忘れてたことがあった。」

エル「何よ今更。言うことはあらかじめ整えておきなさいっ!」

ファーリル「円筒形の物は、倒れたらストーンから除外されるからヨロシク。」

フレイヤ「なんだと!?」

カーター「そういうものは倒れたら転がるから採点上厄介なんだよな。」

レミィ「司令官!これはチャンスです!
    私たちのストーン(ガムテープ)は安定してるから
    倒れる心配はないです!」

エル「どうやら安定性重視で選んだのは正しかったようね♪」

フレイヤ「うーむ…、扱いやすい物を選んだのだが、
     裏目に出てしまったようだな…」

アリア「大丈夫よフレイヤさん!次のストーンは安定性がありますから!」



チーム・シスターズは、サンが2投目に徳用木工ボンドを放って
見事にガムテープを巻きこんで円の中心に近づけた。
この時点で、得点権はシスターズに移った。


カーター「カーリングの得点は、円の中心に近いチームにだけに入る。
     さらに、青い円の中にあるストーンが追加得点の対象だ。
     この辺は複雑だから、各自で確認してくれ。」

次のチーム・ポニテのユニースは、なんと冷蔵庫に入っていた
2リットルのペットボトルの飲料水をストーンとしてはなった。

ペットボトルは、ガムテープと徳用木工ボンドにわざと当たって
二つを中心から引き離すとともに、自身はより中心に近付く。
得点権は再びチームポニテに移る。


エル「ふーん、ユニースもなかなかやるじゃないの
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