今期の格言
私は間違っているが、世界はもっと間違っている
トメニア王国宰相―アデノイド・ヒンケル
トメニア王国国境、ダークエルフ軍野営地にて。
智鶴は政務をルーツィエに委ねて、エミリアと共に前線へと赴いた。
「フレイヤさん、いる!?」
「智鶴様!わざわざこの地までお越しとは!もしやヴァルハリア教国の動向を!」
「そうだ…すでに知ってると思うけど、ヴァルハリアがトメニアに宣戦布告した。
明らかに漁夫の利を狙いに来ているのに、悔しいけど今のままだと
有効な対処法がほとんどないんだ。ホント、まさか友好国裏切るだなんて。」
「……今回の所業により、ヴァルハリアの信用は地に堕ちたと言っていいでしょう。
しかしながら、彼らはもはや大陸の全てを敵に回して戦えるだけの力を
持ってしまっています。してやられましたね…私たちは自分たちが傷ついてまで
ヴァルハリアの勢力拡大に力を貸してしまったのですから。」
「フレイヤさん……」
ダークエルフたちは、まんまとヴァルハリアに出し抜かれてしまった。
今からトメニア領を狙おうにも、手に入るのは並みの都市が一つか二つ程度。
完全な利益を得るには中枢部にある首都まで攻め上る必要がある。
しかしながら、その美味しいところはどうがんばってもヴァルハリアの手に渡るのは必定。
ダークエルフたちは、体よくトメニアの戦力を削るための研磨剤でしかなかった。
「大丈夫ですよ智鶴様!私たちがやったことは間違っていません!
私たちがリートゥスを守りきれなかったら、事態は余計悪化していたはずです!」
「エミィ…」
「エミリアさん……!」
だが、落ち込む二人を励まそうとエミリアは天使のような笑顔を向けた。
いや……彼女は天使そのものなのだ。人を元気付けるのが彼女の仕事…
「智鶴様らしくありませんよ!やられたら何倍にしてやりかえす!
そして恩も何倍に返して報いる!これが私たちのやり方じゃないですか!
だったら、落ち込むよりも、次の手を考えてみませんか!僭越ながら、
私も悪巧みのお手伝いをします!しっぺ返し食らわせてやりましょう!」
「え、エミリアさん……?ふふっ、またずいぶんと過激な…。」
「あはははっ!これは一本とられた!エミィからそんな言葉が出てくるなんて!」
「えっへん、エミィはもういい子ぶりっ子じゃないのです!
智鶴様のためならなんだってしちゃいますよ〜!」
智鶴の恋人となって変わったエミリアの笑顔は、二人にも笑顔をもたらし、
二人の笑顔は、不安気味だった兵士たちを明るい気持ちにさせた。
「そうです智鶴様!ここで落ち込んでいられませんよ!」
「なんならトメニア領内でヴァルハリア軍に喧嘩売って、
あいつらの度肝をぬいて見せます!」
「おいしいとこだけ持っていくのは私たちの仕事ですもんね♪」
兵士たちからの激励を受けた智鶴は、その場で少し頭に考えをめぐらせる。
ヴァルハリアに牽制を加えるにはどうしたらいいか、
その前にトメニアとの戦争をどのあたりで手打ちにするか……
「そうだね…。決めた、みんなはこのままトメニア領内に攻め込んで
都市を一つだけ落としてきてほしい。占領はしないで破壊してかまわない。」
「都市は破壊するんですね?了解です。」
「そしたら後のことは僕たちに任せてほしい。君たちは都市を破壊したら、
ここまで引き返して軍の再編成だ。リートゥス領の町をしばらく借りて
次の作戦に備えてほしい。」
「ということは智鶴様、トメニア領は全て放棄すると。」
「こればかりは仕方がない、深入りは禁物だ。」
その後もいくつか前線兵士たちに指示を出すと、
ダークエルフ軍主力は再びトメニア王国領内に向けて進撃を始めた。
「さてと、次はルーお姉ちゃんに…」
…
場面は変わってこちらはトメニア―ヴァルハリア国境の都市フランケンフルト。
「カタパルト用意!射程を測れ!………放て!」
ゴトンッ! ヒュンヒュンヒュンヒュン!
ボクッ!ドカッ!バコッ!
「ぐわっ!石がっ!?」
「あいたたた!タンコブできちまった…!」
ヴァルハリア教国軍の投石器部隊が都市に向かって砲撃を開始。
梃子の原理で発射された人の頭ほどもある大きな石は
フランケンフルトの防壁を直撃して容赦なく叩き壊すと同時に、
トメニア王国守備隊に対しても流れ弾で攻撃する。
代表的な攻城兵器であるカタパルト…つまり投石器は
ゲーム序盤で最も脅威のユニットの一つである。
移動力は遅く、攻撃力もそれほど高いとはいえないが、
都市の防御力を大きく削り、そのうえ守備隊に副次的損害を与える。
副次的損害とは、攻撃地点にいるほかのユニットへのダメージのことで、
一つの部隊が攻撃を受けると、ほかのユニットもちょっとしたダメ
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