今期の格言
強くなければ生き残れない。
優しくなければ生きる資格はない。
セラエノ学園長―サクラ=サワキ
東の大陸からはるばる渡ってきたジャイアントアントは、
女王アリたちの共和政で統治される国家『ビートル共和国』の探検者だという。
新大陸発見の報が入ってしばらくもしないうちに早くも遭遇した国家は、
果たしてどのようなところなのであろうか。
「イシス女王陛下〜、さっそく新文明と遭遇しました〜。」
『あいよ、ごくろうはん。』
ジャイアントアントが背後を振り向き、外交画面を呼び出すと
そこには癖っ毛の黒髪に触角をはやした女性が現れる。
彼女こそ、現在ビートル共和国で代表者を務める女王アリ、イシス=エームだ。
「初めまして、あなたがビートル共和国の指導者ですか。」
『おおきに、うちが指導者のイシスですわいな。」
―――――《他文明発見》―――――
・ビートル共和国
指導者:イシス=エーム 女性 種族:ジャイアントアント 属性:魔
志向:勤労/組織/大規模 固有志向:地形の生産力4につき生産力 1
外交態度:不満はない
国教:キルモフのルーン
「初めまして、私がダークエルフの指導者ルーツィエよ。
なんだか訛りが強いわね、そういう地方の出身かしら?」
『いやぁ、お恥ずかしい、うちらの出身都市国家では、
言葉がだいぶ訛っとるさかい、かんにんしてくれやす。』
「このゲ……じゃなくて、世界でも方言とかあるんだ、興味深いな。」
というかそもそも、このゲーム内のキャラクターたちとは普通に会話できるのを、
今更ながら不思議だなと思った智鶴だった。
もっとほかの言語をしゃべるキャラとかいそうなものである。
『同じ魔物同士、これからも仲良うやっておくんなまし♪』
「そうね、ほかの大陸にも仲間がいると助かるわ。」
『ほな、うちはこれにて。』
ルーツィエとイシスが話し終えると、
目の前に出ていた外交ウインドウが閉じられる。
どうやらなかなか話が合う勢力らしく、友好関係が築けそうだ。
周りが敵だらけのダークエルフにとってありがたいことである。
「お姉ちゃん、僕らも東の大陸へ行ける船を作ろう!」
「果たして東の大陸はどんなところなのか、楽しみね。」
「私たちの大陸は、争いが少なくていいところですよ〜、ぜひ来てくださいね〜。」
「争いが少ないねぇ………私もそんな大陸で生活してればちーちゃんと一日中…」
「で、でもほら!おかげで軍隊が強くなれたからいいじゃない!
それよりさ、東の大陸ってほかにどんな勢力がいるの?」
「ほかの文明ですか〜?そうですね〜」
彼女から聞けることはあまり多くなかった。
なぜなら、一般兵士クラスだと国同士のデーターまで教えてもらっていないからだ。
よって東の大陸にいくつ勢力があるかははっきりしなかったが、
ビートル共和国の近くには少なくとも二つの文明があるらしいことは判明した。
「あまりお役にたてなくてごめんなさいです〜」
「ううん、問題ないよ。」
ジャイアントアントの客人を送ると、智鶴は港町レパントにガレー船の生産を指示する。
リートゥスからもらった『帆走』の技術により作成できるようになったガレー船は、
いわゆる櫂船というオールを使って漕ぐ船である。機動力はなかなかあるが、
外洋を航行することはできず、近海のみ進むことが可能だ。
しばらくの間は大海原を本格的に探索することは難しそうである。
…
さて、智鶴たちが新大陸に目を向けている間に
ヴァルハリア教国のライオンハートにも動きが見られた。
首都ヴァルハリア、王の宮殿。
立派な玉座がある以外はほとんど飾り気がない殺風景な大広間がある。
しかも、その立派な玉座さえよく見ると埃をかぶり、
長い間主が使用していないことが一目見てわかる。
その本来の玉座の主、リチャード・ライオンハートは王である以前に武人であった。
彼自身常に前線に身を置き、自分の目で国家運営を行っている。
だがライオンハートは数百ターンぶりに宮殿に戻ってきた。
これからの戦略を部下と確認するために………
「お帰りなさいませ陛下。」
「陛下が宮殿に足を運ぶとは、明日は槍でも降らねばいいのですが。」
「なに、たまにはこのだだっ広い場所も使ってやらなきゃもったないだろう!」
今大広間ではライオンハートを鎧で身を固めた男女が迎えた。
ガシャンガシャンと板金鎧がこすれる音を響かせながら
(実はこの時点ではまだ『鉄器』の技術は開発されていないはずだが、設定上仕方ない。)
男女に軽くあいさつを交わすと、玉座にも座らず広間の中央で立ち話を始める。
「先日我々はエルフと講和した。奴らを討つことはかなわなかったが、
森の奥に押し込めたことは大きな成果だ
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