ある所に、一人の少年がおりました。
彼の名前はトムと言い、森の奥にある木のお家に住んでいます。
両親は街に商品を売りに行ったまま何日も帰らない事も多く、トム君はいつも一人っきりです。
お隣さんのお家には、一人で歩いて行けません。
なので、近所にあるお花畑でいつも一人っきりで遊んでいます。
お昼時、トム君がいつものようにお花摘みをして、花飾りを作っていると、向こうの木の陰から怪しげな人影が覗いています。
トム君は訝し気な顔をしながら、それに駆け寄ってみるとビックリ。
人ではなく、この森の沼地や洞窟に住み着くドロームという魔物娘でした。
魔物娘を初めて見たトム君は、あまりの恐ろしさに尻餅をついてしまい、身動きが取れなくなりました。
もう助からないかもしれません。
しかし、トム君は気づきます。
ドロームは足が遅いため、中々ここまでたどり着く事が出来ないのです。
トム君は急いで逃げました。
「トム……く…ん……」
喋る魔物娘により一層の恐怖を掻き立てられ、いつもより速く走れました。
お家に着いて中に入ると、急いで家中の戸締りをしっかりとして、ブランケットに包まって隠れました。
ですが、お腹の虫が鳴いてしまってそれどころではありません。
トム君は窓の外を確認して、誰もいないことを確かめます。
勇気を出して強張っていた筋肉が弛緩し、必然的に安堵の溜め息が漏れ出た。
一段落したところで、トム君はキッチンにある鍋から作り置きのスープをお皿に移し、カゴに積まれたバケットを何枚か別のお皿に盛りつけると、寂しくお祈りをしてから食べました。
それからお腹が一杯になったトム君は、つい先ほどまで怖がっていたドロームの事をすっかり忘れて眠りに就いてしまいました。
目覚めた頃には、太陽さんは顔を山に隠して、お月様と交代していました。
ぐっすりと眠れたトム君は、そろそろ晩御飯にしなければ、と思い立ち上がろうとしたけれども、余りにも不意だったお客さんの姿に戦き、後ろに転んでしまいました。
それは、先ほどのドロームでした。
ですが、ちょっと様子がおかしいです。
魔物娘の手をよく見ると、そこにはお花畑に置いてきてしまった花飾りがあって、わざわざこれを届けに来たみたいです。
トム君は、若干の躊躇いがありながらも受け取り、お礼を言いました。
「ドロームのお姉さん……ありが…とぅ…」
消え入りそうな声でお礼を言うと、恍惚とした笑みを浮かべたドロームお姉さんに抱き着かれ、興奮気味にお返事されました。
「トム……くん…。……お姉さん、うれしっ!………ハァハァ」
少し不気味に思いながらも、お姉さんの肩越しに机を見てみると、そこには豪華なディナーが輝きながら並んでいた。
フレッシュな新鮮サラダに温かなスープ、キレイに盛られたバケットに謎のお供。
それはお姉さんが作ってくれたものでした。
お姉さんはトム君から離れると、言いました。
「一日だけ……あなたのママに……なり、ます」
それを聞いたトム君は驚愕しました。
「僕のママ!?」
無理もありません。
トム君のご両親は生きています。
いきなりお母さんになる、と言われても受け止められるはずもありません。
そんな須臾にトム君の自重しないお腹がグーっと鳴りました。
恥ずかしくなったトム君は顔を赤らめて、手で顔を隠します。
お姉さんは不思議な笑顔を浮かべながら、トム君に再度抱き着いて言いました。
「お腹が空いたんだね、トムちゃん……」
恥ずかしいのは何も、トム君だけではありません。
なんだかむず痒そうです。
お姉さんを優しく押し返すと、テーブルに向って行って、席に着きました。
そして、美味しそうに食事を頬張りだしました。
何年も食べれなかった、温かい食事。
涙を堪えながら食べていると、正面に椅子を引っ張って来てお姉さんが座りました。
一瞬だけ目を向けると、座る瞬間に胸が揺れて目を奪われてしまいました。
例えそれが魔物娘でも、お胸を見たことがバレルのは避けたいことです。
なので、トム君は急いで目線を食事に戻して食べました。
もう一度見てみると、目がトロンっ、として口がニヤニヤとしたお姉さんが嬉しそうにこちらを見ています。
両肘を突き、それに顔を乗せて眺めるお姉さんは、傍からみれば面倒見のいいお姉さんのようでした。
けれど、トム君は違和感を覚えます。
おチンチンがムズムズするのです。
お姉さんを思い出す度に心臓が速く脈打って、赤々と燃えているのでした。
それを必死に隠そうと俯きながら食べていると、お姉さんが訊ねてきた。
「……美味しい?」
急な質問に焦ってしまったが、バレていないと分かるとぎこちなく
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