「あけたろお〜今夜はたっぷり楽しませてもらうぞ〜♪」
ここはジパングのとある小さな農村にある、神社のお社の中。
そこでは身の丈が7尺(およそ2.12メートル)はあろうかという大きさのアカオニが、巨大な酒入瓢箪を携えて、巫女服を来た少年、明太郎に絡んでいた。
「今夜はって……紅葉様は毎晩僕の体で楽しんでるじゃないですか……」
「細かいこと言うなよ♪ 今夜はいつも以上に激しくしてやるよって意味だ
#9829;」
赤面する明太郎の体をいやらしい手つきで撫で回していた紅葉だったが、その酔いの回っただらしない顔が突然、緊張感に満ちた表情へと変わる。
「紅葉様?」
「明太郎……私の後ろに隠れろ」
紅葉は近くに置いてある金棒を手にして立ち上がり、社の出入り口へと歩み寄る。
次の瞬間、凄まじい勢いの突風とともに扉が開け放たれ、社の中に一人の少女が足を踏み入れた。
「おやおや、久しぶりに古巣へと戻ってみれば……どうやら虫けらが入り込んでいたようじゃのう」
冷たく言い放つその姿は一見、明太郎と同じような巫女服を着た、彼より2つほど年上の小柄な少女に見える。だがその腰から生える9つの尾と狐の耳、そしてなにより、素人でも背後の景色が歪んで見えるほどの凄まじい妖力が、少女が人外の存在であることを如実に示していた。
「いきなり入り込んできて虫けらたぁ言ってくれるじゃねえか。酒の肴に喧嘩ってのも悪くねえかもな」
紅葉は青筋を立てて金棒を構えると、少女の方へと歩み寄る。一触即発の雰囲気に明太郎はおろおろと困惑していたが、人外の少女が社ごと紅葉を吹き飛ばさんばかりの妖力を集め始めたのを見ると、慌てて彼女の体に抱きついた。
「待ってください! 紅葉さんは鬼だけれど……この社で暮らしているのには訳があるんです! どうか……どうか話を聞いてください!」
「……」
必至の形相で懇願する明太郎に抱きとめられて、少女の動きがピタリと止まる。
「うひょひょ♪ これはまた随分可愛らしい巫女がいたものじゃ♪ たっぷりと可愛がってやりたいのう
#9825;(よかろう。お主の態度に免じて話ぐらいは聞こうではないか)」
「びっくりするぐらいきれいに本音と建前が逆転してやがる……」
だらしなく鼻の下を伸ばして明太郎の頭を撫でる少女の姿に、紅葉の怒りもすっかり呆れへとすり替わっていた。
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「うーむ、なるほど……それは確かに、この社を永く放っていた儂にも責任はあるのう」
少女は明太郎から紅葉がこの神社に住み着いた経緯ーー彼女が村を襲った盗賊を追い払い、村人たちに守護神として崇められるようになった話ーーを聞き終えると、神妙な顔で頷いた。
「何だって? それじゃああんたやっぱりーー」
「いかにも。儂の名は三珠(みたま)。この神社で祀られていた稲荷神じゃ」
三珠は紅葉の言葉に応えると、話を続ける。
「大陸の方に用事があったもので、しばらくこの村から離れていたのじゃが、その相手が封印されていたせいで、探し出すのに手間取ってのう。加えて儂としたことが人と神では時間の流れが違うということを失念しておった。この神社に戻るのは実に数百年ぶりじゃな」
三珠はそう言うと過去を懐かしむように、社の中をしみじみと見回した。
「あの、三珠様……」
「分かっておる。村を守ったというならば、このアカオニを叩き出すような真似はせんよ。だがここはあくまで神聖な神社。それに儂にも稲荷神としての面子というものがある。そこでじゃ、儂から提案がある……」
三珠は妖しい笑みを浮かべて、明太郎の瞳を真正面から見据える。その迫力にごくりとツバを飲む明太郎。
「ここは一つ『ばとるふぁっく』でアカオニを住まわせ続けるかどうかを決めようではないか!」
「……『ばとるふぁっく』って何でしょうか?」
「双六か何かの類じゃねえか?」
さっぱり意味がわからないと言った様子の明太郎と紅葉を前にして、三珠は渾身のキメ顔のまま固まってしまった。
「……横文字で言ったのが悪かったか。儂と明太郎が『根比べ』をしてーー」
「根比べ?」
「あれだ、熱い風呂にどっちが長く入っていられるかを競うんだろ」
「違う違うちがーう!」
三珠は駄々っ子のように腕を上下にばたつかせて否定する。
「ルールはこう! 儂と明太郎がまぐわう! 明太郎の逸物が勃たなくなったら儂の勝ち! その前に明太郎が儂を一度でも絶頂させたら明太郎の勝ち! お主がこの社に住み続けることを許す! 単純じゃろ!」
「ああ成程、それは単純……って要するにお前が明太郎と寝たいだけだろうが! この少年趣味変態ガキババアエロ狐!」
「お前に言われたくはないわ! それにこ
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