ウラルがリーフの棒を弄び、更にはそれを自分の物にしようとして自分の秘部に押し込もうとしたその時、森の中枢部、この近くの樹に火が放たれた。それによって飛び火した火がウラルの体を焼く。そしてその弾みで蔓は解けてリーフはウラルのレイプから解放された。
「ぐぅぅ・・一体誰がこんな事を・・あぁっ!」
「弟を返して貰いに来たんだよ!それ以外にあるか!リーフ!そのアルラウネから離れな!そいつだって同じ魔物だ。いつ同じように襲ってくるか・・キャッ」
体を燃え上がらせながら痛みに悶えていたウラルは、この森に火を放った者に怒りを覚えて蔓を伸ばした。その先では、リーフの知っている女性が何かタンクの様な物を持って周りを火の海に変えている。空気中の二酸化炭素をたっぷり吸ったリーフは、そのお陰で呼吸が苦しくて自分の姉も呼べない。そして姉が声を掛けていると足元を掬ってウラルが姉を蔓で捕まえた。
「ちょっ!離しなさいよ!」
「うるさい!私の森を燃やした事、その身で償うが良いわ。」
「ちょっ!炎が・・来るな・・キャァァァァッ!」
足を掴まれて、逆さまに吊るされたリーフの姉はそのままウラルの怒りで足を締め付けられて行った。そしてジタバタしていたが、炎に包まれて二人は共に黒い炭の塊になり変ってしまった。お互いに肉親の死を目の当たりにしたリーフとネルは、その悲しみで動けないでいた。しかし火事は広がる一方でとどまる事を知らなかった。何とか割り切ったネルがリーフを引っ張って森の出口まで来た。そして、安全地帯まで下がると共に森は轟音を立てて火の海の中に沈んで行った。リーフとネルの肉親と共に。
「お姉ちゃん・・お姉ちゃん。」
「リーフ・・」
姉の死に未だ囚われているリーフは、地面を殴るようにして勢いも付けずに叩いていた。その様子を見ていたネルは、その悲しみを心に刻み込んだ。いきなりすぎた肉親の死。元々は親子であの崩れ去った森でかくれんぼをして楽しく過ごすはずだったのに、ウラルは暴走してリーフを自宅まで誘拐。そしてそれを取り戻しに来たリーフの姉は森を焼いて母親と共に消し炭に。その状況を心に刻んだネルは、少し心に傷を負った。
「リーフ・・これから、お兄ちゃんって呼んでいい?」
「ネル・・僕は・・僕は・・」
それは、まだ幼いネルが同じく幼いリーフに伝えられる精一杯の励ましの言葉だった。そして、それを聞いたリーフは理解することも出来ない中でネルを抱きしめた。それは、暗黙の了解とも取れた。そして二人は、焼けた森を後にしてリーフの家へと戻って行くのだった。近隣住民が森が焼けたと知ったのはそれから3日ほど経ってからだった。
[5]
戻る [6]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録