第八話 私が許せない物は

 前の話からどれほど経っただろうか。
 もうそろそろ一年と少し経ったかもしれない。
 確か季節が一巡りしていたし間違いないだろう。
 セシアもすっかり大きくなって、もうそろそろ歩き始めるようになる。
 なのにギルとくれば…

「んぅ……っく……はぁぁっ!」

 秘裂に指を這わせて恥骨を刺激して絶頂に達するのはいつもの事だ。
 ただ、最近はずっと私の右手が相手をしている。

 帰ってこないのだ、ギルが。

「はぁ…はぁ……もう少し…もう少しの辛抱だ…」

 ギルは、仕事の関係で遠方での短期間勤務が決まった。
 視察を兼ねた物なんだそうだが、その勤務地がどうにも遠く、魔界があって、私の領土があって、クライザットという国があって、その隣のレスカティエと呼ばれる国にまで出向いているんだそうだ。
 魔物娘もそうだが、あちらはドでかい宗教国家だと聞く。
 変な宗教に掴まったりしていないと良いのだが。
 あぁ、そんな事を言ってギルの事ばかり考えているとまた膣の奥が疼く。

「あと少しすればギルが…はぁ…っはぁ…」

 そう、ギルからの便りによれば、あと2.3日でこちらへ帰って来られるらしいのだ。
 遠方勤務を終えて帰ってきたギルは疲れているだろうから、優しくもてなしてやろう。
 ピュア達とも既に5人だけでのひっそりとしたおかえりなさいパーティーの準備を進めている。
 疲れた体には甘い物が良いと聞くし、森の方で美味い果実でも採って来てやらねば。

「あぁ…ギル……」

 帰ってくるのが待ち遠しくて仕方ない。
 だからと言ってセシアの世話を怠る訳にはいかないが。
 あぁ、はやく明後日になってギルをこの手で抱きしめたい。
 そんな事を考えながら、夢路に就くとしよう。
 きっといい夢が見られますように…

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「………す……ありすっ…」

 あぁ、やはり夢に出て来てくれたか。
 聞き覚えのある声で、聞き覚えのある愛称を呼んでくれる彼が、私の目の前にいるのが分かる。
 嗅ぎ慣れた匂いは隠し切れない汗の匂いが彼の疲労度合を教えてくれる。
 妙に息が荒いようだがどうしたのだろうか?

「きもち…いいよっ…ありすぅ!」

 いや、これはちょっとおかしい。
 確かに私はギルとの逢瀬を望みながら眠りに付いた。
 だが、これは逢瀬と言うよりは一方的な淫行。
 強姦となんら変わりないではないか。

「ぐちゅぐちゅって…ほら、聞こえるかい、アリス?」

 夢の中では痛みや快感は鈍化すると言うが、それにしたっておかしい。
 まるで、現実の出来事のようなリアルさがある。
 眠っている場所も同じ私の部屋なら、ベッドに備えられた小さなテーブルの上に置かれた食べかけのリンゴにしたって同じ。
 普通の夢でここまで再現度の高い夢が果たしてあるだろうか?

「ほら…いつものお返し…してあげるよっ!」

 ぐっ!
 首筋に噛み付いただと?!
 首の肉を噛みちぎるつもりなんじゃないかと思う程強く、噛みついてくる。
 幸い、私の身体はその程度では血は出ないが、それにしても痛い。
 ギルよ、どうしたと言うのだ。

「うぅん、流石に食い千切れはしないか…でも、これはどうかな?」

 さっきから何を言っている?
 それに、私はどうして身体を動かせないだけでなく声も出せない?
 意識は確かに覚醒しているはずなのに、瞼をわずかに開くのが精一杯ではないか。

「おっ! キュンキュン締まってきた…こっちももっと締めてあげるよ…」

 やめろ!
 腰を突き入れながら首を締めたりしたら息が出来ずに死んでしまう!
 苦しさにもがこうとしての反射的な行動からか、私の眼だけは自由になったようだ。

 ギルの瞳に生気が宿っていない?!

「あぁ、起きちゃった? でも、もう少し我慢してね。ゆっくり死ねるようにギューってしてあげてる所だからさ」

 頭にだんだんと血が通わなくなっていくのと反比例するように、意識はどんどん覚醒していく。
 それではっきりとわかった。
 これは夢や幻なんかではなく、現実に起こっている事だ。

「指から伝わってくる脈がどんどん弱くなってる…そろそろ逝くんだね? とびっきりの絶頂を味わってよ!」

「かはっ!」

 やっと喉も自由になったが、こんな状態では言葉の一つも発せやしない。
 おおよそ人間かと疑いたくなるような握力が私の首を殺してやると言わんばかりの勢いで締め付けられる。
 それと同時に、本当にギルの逸物なのか疑いたくなるほど大きなモノが私の膣奥まで捻じ込まれているのも分かった。

「やっ……ギッ…」

「やめてくれって…? ダメだよやめたりなんかしちゃ。面白くないでしょ? ホラホラ、逝く所見せてよ!」

 ダメだ、だんだん目の前が霞んできた。
 ギ
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