一体、ここはどこだろうか?
見た事も無いような、白い綿のような物が辺り一面に散りばめられた、鬱陶しいまでに眩い部屋が目の前にあった。
雲かと思える程柔らかそうなのに、触れようと言う気にはなれそうにない。
「……」
そして部屋の中心には、大きめのベッドが置いてある。
丁度、ギルディアから借り受けている部屋に置かれたベッドと同じような大きさだろうか。
よく見れば、置かれている枕や添えられたぬいぐるみなんかも見覚えがある。
「…アレイスター?」
聞き慣れた…いや、望んでいた声がすぐ後ろから聞こえてくる。
振り返ろうとする自分と、彼が触れてくれるまで待とうと言う自分とが心の中でせめぎ合って動けない。
結果的に動けていないなか、彼はそっと背後から抱き締めてくれた。
それだけで、なんと心のときめく事か。
「ギルディア…これは…?」
「なんだい?僕と一緒に居たいって言ったのは君の方だろう?」
耳元で囁かれる言葉の一つだけでも、幸福感に心臓が破裂してしまいそうだ。
本当ならばこのままギルディアを押し倒してこその魔物娘なのだろうが、今はそんな事よりもこの幸せを噛み締めていたい。
男性なのかと疑いたくなるような綺麗な肌が首元にあっても、まったく自分の牙が疼いたりなんて事がない。
「それはそうだが…」
一体いつ言ったのかは思い出せないが、そんな事を言っていた自分が居たのだとすればなんと恥ずかしい事か。
「煮え切らないね…いつものキミじゃないみたいだ…」
「んぅっ…」
後ろから抱きついていた彼の手が、薄手の服の中へと滑り込んでいく。
それを許してしまうどころか、「待ってました」と思ってしまう自分は客観的に見ればどう見えるのだろうか。
気が付けば、ギルディアの手は私の乳房をオモチャのように揉んでいる。
「はぅっ……はっぁっ…ぎ…ギルディア…それ以上は…はんっ!」
「気持ちいいかい?ほら、ベッドに行こうか…」
ダンスでも踊っているかのような足取りで、二人一緒にベッドへ身を預ける。
ふわふわとした意識のままでは抵抗の一つもロクに出来はしない。
そのままベッドに倒れこみ、彼の顔が目の前へやってくる。
「これから、君をめちゃくちゃにしてあげるよ…」
「なっ!ギルd…んぁっ!」
服の中へ滑り込まれた手に胸を揉まれるだけで、身体が痺れるような快感に襲われる。
身体のラインが透けてしまっているような薄手のネグリジェと下着のみでは、今更ながらに襲ってくれと言わんばかりではないか。
というか私は何故このような服装でいるのだろうか?
普通ならこんな恰好は望まないし、そんな趣味もない。
それなのに、どうして私はこんな女性らしさを武器へと変えるような服装で彼の事を待っていたのだろうか。
「待て…待って…はぅあ!!」
「もっといじめてあげようか…」
疑問も晴れぬ内に、ギルディアはどんどん責め立ててくる。
ピンと立った乳首を摘ままれ、指で転がすように捏ねられるだけでも頭がどうにかなってしまいそうな程の快感が襲い掛かる。
つまんでは離し、またつまんでは離すを繰り返して、あっという間に意識そのものが宙に浮いたような心地になってしまう。
胸を弄る手を振り払おうとしても、両手はシーツを掴んだまま離す事ができない。
刺激と快感に耐えるだけで精一杯なのだ。
「ほら、こっちも…」
「っ?!や、やめ…んんっ!!」
ふと、片手が乳首を弄るのを止めたかと思えば、今度は足を滑るように指が這わされ、あっという間に股間に触れられる。
まさか触れられるだけで軽くイッてしまったなど、認めてなる物か。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「こんなに濡れて…気持ち良かったのかな?」
「こ…こんな…」
やっと手を止められ、波のように押し寄せる刺激から解放される頃には、すっかり息はあがり顔は上気していた。
瞳に溜まった涙を拭ってくれる彼の指が、ついさっきまで私の敏感な所を弄っていたかと思うとそれだけで思考が蕩けてしまいそう。
頬に添えられた彼の手の温もりを、なるべく長く感じていたいと願いつつ私も手を並べた。
「…狡いぞ……お前ばかり…」
「なら、君もするかい?」
「何を言って…お、おいっ!」
優しい笑みを浮かべたまま、ギルディアが離れていく。
その一瞬が何故だか無性に虚しく感じてしまう。
今まで積み上げてきた物が全て塵となって消えてしまうかのような虚無感が、心を蝕む。
「そんな悲しい声を出さないでよ…ね?」
「うっ……卑怯だぞ…」
「あっはは、そう言う事言わないで…ほら…」
ギルディアと離れたくない。
確かにそう思う自分が居て、その思いを否定しようと言う気持ちには全くなれなかった
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