第二話 決意の揺らぎ

「…んっ……はぁぁっ…」

あれからと言う物、時間が経てば経つほどに身体の内側が疼くようになってしまっていた。

「はぁっ…あ……あぁぁぁ……い…いくっ……っ?!」

この前など、様子を見に来たギルディアに自慰している所を見られてしまいそうになった事も。
それ以来だろうか、部屋の外の音にはかなり敏感になっていた。
今も致している最中に部屋の外から物音が聞こえた気がしたので手を止めてしまう。

「き……気のせい…んぅっ!」

隙あらば、このように指を股に這わせて自分を慰める事ばかり考えている。
これまでに何度、秘密裏にシーツの交換をしてもらったかはもう数える事すら恥ずかしい。
交換を申し出る度に苦笑いしていたメイドの顔が心に突き刺さる。
でもそんな名前も知らない小間使いの事などどうでもいい。
頭の中にあるのは、ギルディアの優しい笑顔のみだった。

「あっ……あぁぁぁ……ギルディア…そこっ……」

「うん?どうs………ごめん…」

「あっ………終わったぁ…」

部屋の外には十分注意を向けていた筈だった。
きっと膣内を指で掻き回している時に頭の中がギルディアの顔でいっぱいになったのがいけなかったのだ。
だからこんな失態を晒す。

「………すまない……戻って来てくれ…」

まるで余命が今日だと言われた患者のように意気消沈して、もうこれっぽっちも自分を慰めようとかそんな気持ちにはなれなかった。
もしそんな気持ちになれていたとしたらそれは狂人とかその類だろう。
すぐに身支度を整えてギルディアを呼べば彼は部屋のすぐ外で待機していたらしく即座に入ってきた。
なんだか子犬が名前を呼ばれて喜んだような喜びっぷりだった気がするが気にはするまい。

「恥ずかしい所を…見られてしまったようだ…」

「こ、こちらこそ……そ、それより体調はもう大丈夫なの?」

「あ、ああ……すっかり快調だ……そろそろ迎えが来ると思うが…」

実は夜中にこっそり魔力で作ったコウモリに文書を握らせて飛ばしていたのだ。
伝書鳩という訳ではないが、自分の魔力で作り上げた物な為かある程度の状況なら自分に伝わってくる。
途中で獣に襲われれば霧散した事が自分に伝わってくるし、到着してもそうなる。
既に到着の報は届いているのでそろそろ迎えがやってくるはずだ。
などと考えていると…

「失礼します…」

「魔物の少女がアレイスター様を迎えに来たと……客間にてお待ち頂いております」

「早かったな…」

小間使いと思しき男が一人入ってきてそう告げる。
十中八九ピュアの事だろう。
きっと彼女の事だ、待つ事を退屈に思いながらも献身的に待ってくれている事だろう。
これは早く行ってやらねば。

「ギルディア…」

「うん?」

「……一緒に来てはくれないか?」

「そりゃもちろん」

特に他意はない。
ただ単に一緒に来て欲しいと言うだけであって他に意味は無いのだ。
だが自分の心の中ではいくつもの考えが巡っていて、最低な物では「一緒に来ると言っただろう?」とか言って彼を連れ去ろうと考えている自分までいる事に腹が立つ。
これではただの誘拐ではないか。
そういった無意識下の悪巧みを否定しながら、ピュアの待つ場所へ案内してもらう。

―――――――――

「………」

「……ん?どうしたの?」

「いや、大したことではないのだが………成長してないか…?」

確かに知らせに来た男は「少女」と言っていた。
が、扉の向こうの部屋でおいしそうに茶菓子を貪っている少女は、ピュアとは似ているようで似ていない。
小学生かと思う程に幼い容姿は中学生程度にまで成長していたし、髪も肩あたりまでだった筈が長いツインテールを作っていて、解けば腰よりも下まで届くだろう。
そして何よりツッコミたかった事は、彼女の胸が暴力的なまでに成長している事だ。
以前は小学生故に小さくて当然といった考え方だったが、この程度まで成長していれば胸も多少大きくなっていてもおかしくはないわけで。
だが彼女の胸は、その度を超えていると言わざるを得ない。

「はむはむ……んぅっ!アレイスターさまぁ!」

自分の顔よりも大きいんじゃないかと思うくらいに大きなその胸は、彼女が身体を揺らす度に激しく自己主張してくるかのよう。
ホントはメロンでも下に隠しているんじゃないかとも思ったが、それにしては楕円っぽく歪んでいてメロンのようなほぼ球形のそれとは似ても似つかない。
などと考えていると、トテトテと駆け寄ってきた彼女の顔が視界いっぱいに広がっていた。

「アレイスターさまぁ?!聞いてます〜?」

「……ん…あぁ……聞いているぞ…?」

正直な事を言えば、彼女の言葉など右から左だった。
以前の彼女と共通しているのは子供っぽい仕草や性格などで、外見的な特徴としては髪や目の色
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