「―――ここで問題です。いつまで経っても起きないネボスケはだーれだ…」
「うぅん……うるさいなぁ……ボクでいいよ…」
「はにゃんっ!寝言でもピリッと来ちゃうぅ♪」
ここは周りを砂漠に囲まれた中にポッカリと出来た巨大なオアシス地帯の中にある遺跡。
先月、ファラオの力により現出したばかりの新しい街である。
以前は遺跡があった場所を中心に広がっている為か、住む所も豊富である。
何故か全てが修復した上で増築されている為、ちょっとした摩天楼のようになっている場所もあるんだとか。
まぁ、とにかくそんな居住区の中の一室で、甘い声を張り上げた女性がいた。
「……ダメ、スイッチ入っちゃったわ……シちゃうわよ?オイフィス…」
「……っ?!ピクスッ?!」
ピクスと呼ばれた女性が、オイフィスと呼ぶ青年の入る布団へ潜り込んでくる。
モゾモゾと潜ってすぐにでも、彼の顔のすぐ目の前へ顔を出す。
その瞳は、自身の術にかかってなのか、それともただ単にそうしたいだけか、甘く蕩けていた。
「んっ……れろろろろろぉん……ぷぁ!にゃふふ……寝起きだからくっさぁい♪」
「だったらやらなきゃいいだろう…」
キスをしたかと思えば、即座に舌を口の中へ捻じ込んできて縦横無尽に掻き回しまくる。
口を離せば唾液が納豆のように糸を引き、やがてプツンと切れた。
「んもう……そうやって嫌がって、私を誘ってるんでしょう?ほらほらぁ…」
「全く………いつも君はそう……これも問いに入るのかっ?!」
身体に違和感を感じたオイフィスだったがもう既に遅い。
ピクスが触るだけで彼の股間はこれでもかという程に膨れ上がってビクビクと猛々しく震える。
手に触れてそうなっていると確信したピクスは、一気に布団を剥いで彼のズボンも引っぺがす。
どうやら呆れた感じの返答でも、先延ばしにしようとしたように判断されたのだろう。
彼女の呪いが成功して、オイフィスの身体を襲う。
「あぁむっ♪」
「うおぁっ!!」
身体がその場で大きく跳ね、刺激に耐えれず彼女の口の中を精液で満たす。
いきなりの事に頭を抱えたい気持ちだったオイフィスは、ピクスの頭を抱えていた。
「はぁ……はぁ…」
「んぐっ……ぷはぁ♪朝の一番搾りおいし〜!」
寝転がったまま荒い息になっているオイフィスと、彼の足にのしかかって徐々に勢いを失っている彼のモノを舌で舐めていくピクス。
二人は実を言うと、結ばれてからまだ一月程しか経っていない新婚夫婦なのである。
――――――――――――――――――――――
この話は、一か月ほど時を遡って行く。
少し前にオアシス帯を呑み込む形で現れたこの遺跡群は、総じてシャングリラと呼ばれていた。
今までに何人もの冒険家や盗掘屋が潜り、誰一人として帰ってきた者は居ないとされる。
大規模な人数を動員し、今度こそ情報や宝を持って帰ろうと言うのが今回の調査隊の結成のあらすじだ。
その中に、オイフィスの姿もしっかりとあった。
「………」
「どうしたよ、オイフィス?元気が無いが?」
「あぁ…アテンさん…」
周辺の捜索から入っていた彼は、この調査隊の分隊長を務めているアテンという男性。
沢山の人望と、それを守れるだけの実力を備え持つ、言ってしまえばヒーローのような人物である。
「……少し前から、変な夢を見るんです…」
「変な夢?」
「えぇ、実は…」
彼が話した夢の内容はいつもこんな感じであった。
真っ暗な空間に居たかと思えば、目の前に現れた女性に問いを掛けられ、ついでに正解も教えてもらうと言うものだった。
その問いはいつも決まって「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の生き物とは?」という物で、その後すぐに「答えは人間である」と別の誰かに教えてもらうのだ。
そこでいつも目が醒めるのが繰り返されている。
「……けったいな夢もある物だな…」
「荒唐無稽でよく分からない話ですよね…」
そんな事は体験した自分が一番そう思っている。
なにせ、問答を掛けてきたかと思えばすぐに答えを出してしまうのだから。
馬鹿らしいと最初は気にかけてすらいなかったものの、流石に何回も連続して同じ夢を見ているのでは気味が悪い。
―――――――――――――――――
「………」
そんな事を思い出しながら、オイフィスは目の前の状況に唖然としていた。
確かに今日は遺跡に突入して着実に歩を進める予定だった。
なのに今の現状はどうだ、一度目のトラップに半数の者が引っ掛かり、何もする事無く地下深くへ落ちていく。
二度目のトラップで更に半数が濁流に飲み込まれてどこかへ流されていく。
三度目のトラップを超えた頃には、もうオイフィス以外には誰も居なかった。
そして今、目の前の状況が最も理解し難かった。
「んにゃぁ…?…
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