私、アイネ・クラリナはアントアラクネである。
それが意味する事とはジャイアントアントとの共同生活を余儀なくされる事に他ならない。
それがもしも無理矢理だったとしても、そんな種族に生まれてしまったのなら仕方がない。
子供だった時は言い訳の一つでも考えている方がいくらか楽だった。
それがどうした事だろう?
成長して年頃の乙女となる頃にはもう自堕落な生活を送る事を良しとしている自分が居た。
「……今日の配給です。早く足が元に戻るといいね。女王より……」
なんとフレンドリーな女王なのだろうか。
聞けば元は働きアリだったのだが旦那と愛し合う内に女王アリとなっていたらしい。
名前はアリア女王。
このコロニーの一番偉い人にして、このコロニー全員との友好を広めようとしているらしい人である。
ハッキリ言ってしまえばおめでたい女王だ。
「………自分でもいだんだけどね、コレ…」
そう呟きながら、自分の脚に当たる場所に触れてみる。
蟲のアリのような身体と足があったが、その内の2本は異様に短い。
彼女の言うとおり、自分でもいだ足である。
最初は小さい時にアントアラクネだとバレそうになった時を考慮して事故に見せかけて自分の脚をもいだのがきっかけである。
小規模な落盤事故を装って岩にわざと足を挟んで、後は覚悟を決めて力いっぱい引き千切るだけ。
元から足が二本多いのも「多指症と同じような感じ」と言ったら信じてくれていたかもしれない。
それ以来、自宅に籠って脚が治るまで隠居生活を余儀なくされたわけで。
ぶっちゃけると都合が良かった。
「アイネさん……ちょっといいかな?」
「ボルフ先生?なんですか…?」
「…そろそろ、これを解いてくれないか…?」
玄関先に置いてあった食糧を一気に居間へ運んだアイネの視線の先には、一人の青年が座っていた。
彼の名はボルフ・アマデウス。
彼女の脚を治す為にここで付きっきりの看病をしてくれている、医者をしている人だ。
そのはずなのだが…
「…………さぁ、先生はどれが食べたいですか?」
ボルフは腕を糸でしっかりと縛られていた。
アラクネの糸であるが故に、そんじょそこらの縄なんかよりも断然強度は強い。
彼が怪力でこの糸を引き千切れるような事も無く、何か隠した鋏なんかを持っている訳も無く。
逃げられないまま彼はここ数か月を彼女と共に暮らしている。
今となっては逃げる気も起きないと言う物だが、彼女は解放してくれないらしい。
「どれと言われても……もがっ?!」
「……ふふっ…はい、あーん…」
目の前のテーブルに並べられた木の実の中から、なんともジューシーそうな物を見つけたアイネはボルフの口の中へそれを捻じ込む。
要はつべこべ言わずに食えという事か。
「……んぐっ……ぷぁぁ…」
「……美味しかったですかぁ?それじゃ、部屋に戻りましょうね……先生…」
そう言うが早いか、ボルフを拘束する糸ごと部屋の奥へ放り込む。
というか彼女たちは基本的に、外出する事が無くこの一軒に閉じ籠ってばかりである。
生活が続くにつれてそれが当たり前になって来ており、医者をしているボルフですら一歩も外に出ない、いや、出れない始末である。
―――――――――
「―――はぁい、用意できましたよー?」
「………」
ここは、先程のリビングから一つ奥に入った、アイネの寝室である。
現在はボルフも昼夜を共にする関係上、彼の寝室にもなっていた。
そのベッドの上で、二人とも裸になって寝転んでいる。
アイネの顔には笑みがこぼれている。
「…………はむっ……じゅるるるるる…がぶっ…」
「うぁっ!?アイネさん……うぁぁぁ…っ!?!あぁああああぁっ!!!」
あまり勃起しない事に苛立ちを覚えたのか、無言のままアイネはボルフのモノを咥える。
舌を這わせて少し吸ってやれば、起き上がってきたモノに歯を立てる。
それだけで激痛に悶えるボルフはなんだか見ていて可愛らしい。
と言うのが、アイネの主観的な意見なのだろう。
「んくっ………ぷぁ……んぅっ……あはぁ……ボルフさん、もう出しちゃったんですねぇ…」
「あがっ……はぁ…はぁっ……さ、流石に噛むのh…んむっ?!」
「んっ……れるれるっ……んんぅぅぅ……じゅるるるっ…」
恍惚とした表情のまま、アイネはボルフの唇を蟲か何かのように貪る。
ボルフのもがく姿はさながら蜘蛛の巣に囚われた蟲と言ったところか。
気が付けば腕の糸は解かれていて、いつでも抵抗する事は出来るようになっていた。
ただ、これがアイネのミスでない事など何日も前から分かっている。
「……ぷはぁ……ボルフさん……愛してますよ……これからもずぅぅっと♪」
「はぁ…はぁ……何度も聞いてるんですがねぇ…」
そう呟きながら、身体にもたれ掛ってくるアイネの
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