リン達が陰で頑張っているその頃、ハクとクロウは自室に戻って寛いでいた。
つい先ほどまで医者沙汰になっていたとは思えない。
「ほんと、何も無くて良かったよぉ・・・」
「ハクは本当に、心配性ね。」
「いやぁ、僕らが居ない間にそんな事に・・」
「まぁ、風呂場で起きた事なら僕らは関与出来ないしね・・」
自室でお茶を啜っていたアインとツヴァイは、そんな事を呟きながらもお茶とにらめっこしている。
その少し離れた椅子でハクはクロウの心配を、クロウはハクの心配性に呆れていた。
「で、その傷と言うのは・・」
「あぁ、その事?あまり見せたくはないけど・・」
とか言って、クロウが服を脱ごうとして当然周りが騒然。
ハクはギャーギャー言って止めに来るしアインもツヴァイも必死に視線逸らしながら注意してくるし。
やっと折れたのはクロウの方で、服を直してキョトンとしている。
「・・・・そ、そういえばハクさん、喉渇いてますよね?ジュース買ってきますね♪」
「あっ、宜しくお願いします・・」
「いつもに戻った・・」
ふとそんな思いが過ぎったクロウだが、急にお腹が音を上げて顔が真っ赤になったのは言うまでも無い。
それを見越してかアインが飲み物を買いに行く。
彼の笑顔に押されてなのか、ハクにも普段の表情が戻ってきている。
「クロウちゃん・・・」
「だ〜から!心配しなくて大丈夫だってば!」
「そうそう。こうして元気なんですから、それでいいじゃありませんか。」
またハクが心配モードに戻りそうになるのを、なんとかして止めようとするクロウとツヴァイ。
もう何だか無限ループな気もしたが、ここでどうやらピリオドのようだ。
アインが全員分の飲み物を買って戻ってきた。
「はい、ツヴァイにはお茶、クロウちゃんにはコーヒー、ハクちゃんにはオレンジジュースです♪」
「アレ?私コーヒーが好きだなんて一言も・・」
「勘ですよ、勘♪」
「アインさん、ありがとうございますっ!」
と、まぁこんな日常風景に戻っていた傍ら。
―――――――――――――――
「居た〜?」
「いないわね〜。」
「チッ・・・上手い事逃げ果せたか・・」
暗い基地の様な場所を荒して回る三人がいた。
それは、紛れも無くヤツさ
じゃなくて、リリーとヴリトラ、そしてリンだったのだ。
「これじゃ探しようないね・・・・どうする?」
「とりあえず報告にもど――」
「二人とも、静かに・・」
ヴリトラがそう告げるが早いか、トラップが作動するような「ガコッ」という音が聞こえた。
かと思えば、地面の床が抜けおちて、そのまま三人は下に落ちて行く。
「・・・っつつ・・・大丈夫〜?」
「問題ない・・」
「きゅぅぅ〜・・」
地面に落下して尻もちを突いたリリーは、即座に全員の無事を確かめた。
ヴリトラは綺麗に着地してもう立ち上がっている。
だが、リンは頭から落ちたのか目を回して動かない。
「仕様の無い奴だ・・・」
「はうっ!」
荒療治にしか見えない様な筋伸ばしをして、何故かリンの意識は戻ってくる。
しかも何だか元気120%と言った感じ。
「いよっしゃぁ!早いとこココ抜け出して犯人をぉ・・」
「リン?あの光が何か分かるな?」
「ふぇ?で・・・ぐち・・?」
そう言う事だ。
目の前に広がる先には普通の空が見える。要は、出口前まで落とされたのだ。
「うぇぇぇぇ?!!折角張り切ってたのに〜!」
「そう言うな。早く出て探すぞ?」
「りょうか〜い♪」
こうして、無事にアジトから抜けだした(?)三人は改めて犯人を探すのだった。
―――――――――
所戻って。
「あっ。ハクさん。そこの櫛取って貰えますか?」
「はい。でも、なんで櫛なんて・・・」
1人で羽を弄っていたハクは、アインに言われるまま近くに置いてあった櫛を取って渡す。
何故櫛を使う必要があるのかを問おうとした時、不意にアインがハクの後ろに座った。
「女の子が、こんなにウネウネの髪型だと品性を疑われますよ?」
そう言って、湯上がりから梳き忘れていた髪に櫛を沿わせる。
まるでアインのイメージの通りのように、髪は櫛を通すとキレイにまとまって行く。
そして、あっという間に見た目の変わったハクがそこに居るのだった。
「あ・・・ありがとうございます♪」
鏡を見て印象すらも変わったハクは満面の笑みでアインにお礼を述べる。
それに答える形でアインも笑顔でお辞儀する。
そして、いつの間にか外に出ていたクロウが帰って来た。
「ただいま〜・・・って!誰?!」
「クロウちゃんひどいよ〜!」
「・・・あれ?ツヴァイは一緒じゃなかったんですか?」
見ればクロウの隣にはツヴァイは居ない。
てっきりクロウと一緒に出ていたのかと思ったアインは疑問
	
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