どこまでも暗く、そして深い穴の奥底に放り込まれたような感覚。
ここは洞窟でもなく落とし穴でも、まして墓の下でも無い。
私、個体9333ヒョウサは現在四肢を鎖で繋がれた状態で牢屋にいます。
「……今回も、その方法ですか?と、氷沙は…むぐっ」
「お喋りな女の子って私好きじゃないの。これでも銜えていなさいな?」
そう言って、相手の女性は私の口に猿轡をはめる。
どうやら使い古された物らしい。
はめられる瞬間に噛み痕等でズタズタになった球体部分が見えたからだ。
「それじゃ、そろそろ飽きて来たでしょうけど、今回も洗脳させて貰うわ♪」
「うっ…」
一瞬暗そうな顔をした後、女性はまるで私に少しでも安心感を抱かせようとするかのように笑みを向けると魔術を仕掛けた。
その術式は、対魔物用の物で、人間には効果が皆無らしい。
まぁ、逆流して自分が洗脳状態にならない為の物であると言えばそれまでだ。
「さぁ、あなたはこの私、ヴィーナ・シュラウドの何かしら?」
「……わた、しは…ヴィーナ……お嬢様…の……奴隷……と、氷沙は…呟きます…」
今の自分の意識は、とても曖昧でとても不確かな物になっている。
それを証明付けるように、今の私は頭の中で考えている事とは違う事を口にしているのだから。
しかし、私のこの状態は今までの鬱屈とした空気からすれば幾らか前進した。
以前まではネットワークに支障が生じて、まともな言語も喋る事が出来なかった私だが、今回に限ってはすんなりとネットワークを通っていたのだ。
「えっ?成功したの…?やったぁ!」
「あまりはしゃぐと足を滑らせて危険です……と、氷沙はお嬢様に注意します…」
洗脳に成功した事が嬉しいのか、ヴィーナはその場で飛び跳ねて子供の様に喜びまわっている。
なんだか妖艶な体つきとは真逆で子供っぽい所も可愛らしい。
これも洗脳状態下での心境の変化なのだろうか。
それとも単なる一個人としての他人への無意識の心配なのだろうか。
「あぁうん……それにしても驚いたわ。いつもならバグを起こしたように喋れなくなるのに…」
「きっと、ネットワークの上書きが行使されたのだと思います。と、氷沙はネットワークを調べてみます」
もうすっかり洗脳とは分からないほどに自然とヴィーナの言う事を聞いている。
氷沙がネットワーク内に入ったかどうかは、彼女の行動を見ればすぐわかってしまう。
目をギュッと閉じて、その場に座り込んでまるで考え事をしているように動かなくなる。
それに、普通の人間には見えないが魔力も放出している。
「………………」
「………あん、もうじれったい。もうどっちでもいいわよ!とりあえず成功したんだから。帰って来なさい?」
「……了解、氷沙No.9333これより帰還します」
そう呟くなり、彼女は立ち上がっていつもどおりに戻った。
どうやらネットワークから帰ってきたようだ。
表情から察するに、有益な情報どころか痕跡ですら見当たらないのだろう。
「検索をかけた結果、情報となり得る変更点及びその痕跡に関係する該当件数は0件でした。と、氷沙は残念そうに俯きます」
どうやら表情の通りらしい。
そうなると、残ったのはほんの数個に限られてくる。
その1。本人の自己判断で対象を切り替えた。
その2。何者かがネットワークにバグを忍ばせた。
その3。特に何も無く、ネットワークの干渉も回避して洗脳に成功しただけ。
その1は、洗脳状態に入る寸前には酷い事をしてるのでマゾヒストでもない限りはある訳が無い。
一番正解っぽいのはその3である。
因みにその2は、ヒョウサネットワーク自体がコンピューターの様なネットワーク構造ではなく、魔精霊特有の魔力の繋がりを無理矢理繋げたタイプであるためにこの可能性は皆無。
「んふふ……では、これより第41回「洗脳下での体刺激試験」を執り行いまーす♪」
「パチパチパチー……と、氷沙は縛られていて動けない手の代わりに口で拍手をします」
遠まわしに「腕の拘束を早く外して下さい」と訴えているらしかった。
すぐにその錠を外したヴィーナは、早速氷沙に抱きついた。
「んふふ……これでアナタも、私の事を「お姉様」と呼びたくなるわよ…」
「「お嬢様」では不服なのですね。と、氷沙はもっともらしい疑問をぶつけます」
どうやらヴィーナの頭の中では、「お嬢様<お姉様」らしい。
我慢も相当キているのか、彼女の手はまっすぐ氷沙の服の間をすり抜けて胸を揉み始める。
「んっ…」
「んふふ…マシュマロみたいで柔らかい………あれっ?もうこんなに濡れてる!」
胸を揉み解すように撫でまわすヴィーナは、まるでスリが財布を盗むように鮮やかな手さばきで氷沙の服に手を入れて秘部を撫で始めた。
しかし、すぐにその手は秘部を離れる。
驚いたヴィーナが
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