寄生夫婦

 とある親魔物領にて。

 「なあ友よ。」

 「どうした急に改まって。」

 「お前の妻はショゴスで間違いないな?」

 「そうだが。」

 「じゃあお前も粘液状になれるな?」

 「ああ、ほれ。」

 そう言った彼の左手の平をペンが突き抜けた。

 「それは夫で無くても彼女らの魔力でインキュバスにしてもらえば出来るようになるのか?」

 「まあ、恐らくはな。」

 「じゃあ俺のこと頼んでもらえないか?」

 「別に構わんがそりゃまたどうして?」

 「スライム系なら他の種族とも混ざれるんだろう?」

 「聞いたことはあるがそれを許すショゴスは聞いたことがないな。」

 「でもまあ、俺はショゴスの夫じゃないからな。」

 「あれ?お前が付き合ってるのってスライム系じゃないよな?たしか人間…」

 「いいところに気づいたが必要なことなんだよ、頼む。」

 「まあいいけどよ…」

 「ありがとう。予定が決まったら虜の果実のパイの菓子折りでも持ってく。あれがまた旨いんだ。」

 「おう分かってるじゃねえかありがてぇ。」

 そんなこんなで三日後

 「お久しぶりです。主人がお世話になっております。」
 「ああいえいえこちらこそ助けてもらってばっかりで…」

 「そうだぞ何時も俺が助け……」

 「社交辞令だ馬鹿野郎…あっ!これよろしければどうぞ。」

 「あらあら此れはどうもご丁寧に…」

 「よっしゃ直ぐ食べようスーザン紅茶を…」

 「ご主人様、今はお客様の前ですので…」

 「こいつにそんな遠慮なん「ご主人様?」……はい。」

「お前尻に敷かれてやんの。」

 「うるせぇ!」

 「まあまあとりあえずどうぞ此方へ…それで、本日のご用件はインキュバス化を私に依頼したいとのことですが、正直悪用も出来る力です。用途をお聞かせ願いたいと思います。」

 「まあそれは当然のことですが…二人で話しませんか?」

 「何だよ俺は駄目なのか?」

 「別に構わんがお前の感性じゃキツいかもしれん。」

 「はぁ?スーザンはいいのかよ?」

 「この方はきっと共感する。」

 「んだよそれ…」

 「分かりましたわ。ご主人様は暫くあちらで…」

 「わーったよ…ったく…後で教えろよ。」

 「すぐに解るさ。」

 「はい、それでは用途を……………はい………………そうですね……………成る程……………それは素晴らしいです!ですがそれは前代未聞です、成功するとは限りませんよ……………解りました。協力しましょう。」

 「ありがとうございます。」










 その日家に帰って来た男は巨大な水槽に入ったピンク色の沢山のくず饅頭の様なものを見て呟いた。

 「ちょっと集め過ぎたかな…まあいいか。」

 そう言って彼は水槽に飛び込んだ。










 「エリザ、エリザいるかい?」

 「あらブライアン!どうしたの?」

 「いやね、この前魔物娘化してから結婚したいから待ってって言ってただろう?」

 「ええ、そうね、貴方が気に入ってくれるような魔物娘で私に適性がありそうなのをリリムの方と相談しているのよ?レベッカっていう方で親身になって相談に乗ってくれるの。ついつい甘えちゃうわ。」

 「其れなんだが、もしまだ決まってないなら俺がリクエストしていいかい?」

 「!!!なぁんだ、リクエストあるなら言ってくれたら直ぐにそれに決めたのよ?言ってみて?」

 「その…スライムキャリアーなんてどうかな?」

 「ウーン問題ないって知ってるんだけど寄生型は怖いわ、それに寄生スライム見つけてこないと…」

 「それなら野生のやつ有給取って探してきたんだ。捕まえてきたよ。」

 「そこまでそれにしてほしいならいいわ、私も決心する。」

 「ありがとう優しくするよ!」

 「えっ?何で貴方が優しく…ってキャア!」

 ブライアンの計画、それは寄生スライムと融合し、そのまま配偶者に寄生してしまおうという計画だったのだ。
 意思の無い寄生スライムといえども融合しただけで成り代われるかという不安もあったけれど魔王夫妻が薔薇色脳のこのご時世、愛さえあれば問題ないよねとばかりに挑戦したところ本当に意思の欠片も無いらしく、あっさり成功してしまった。

 「そんなわけで一つになろうエリザ!」

 「もう!貴方のその行動力は何処から来るのよ!本当に問題無いのよね?」

 「勿論この姿になっても魔力は精力、インキュバスであることに変わり無いのは確認済みだ。」

 「もう、昔っから貴方には振り回されてばっかり。」

 「失礼な!引っ張ってあげてるんだろう。」

 「まあ図々しい。」

 「でもそれで助かったことも楽しかったこともあったはずだ。」

 「その代わり寿命も縮んだん
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