「催眠術?」
「はい。」
「ふぅん、そんなもので屈服させられるってのなら良いわ、かかってあげようじゃない。」
「ありがとうございます。では、早速、ちからをぬいて………………………………」
「…ん?…えっ!?あれ!?」
「お目覚めですか?」
「ちょっと貴方何をしたの?」
「お嬢様には手足の動かし方、手足の感覚、魔術の使い方を忘れてもらいました。」
「その程度で私をどうしようってわけ?」
「すぐにわかりますよ。では早速…」
そう言って男はヴァンパイアを持ち上げた。
膝を裏から抱えて彼女の上半身は自分の身体に預ける様にして対面で持ち上げると、立ち上がった。
彼女は恐怖した。
いつも月だけが輝く闇夜を空飛ぶ彼女は手足を動かすことも翼を出すこともできずに床から離れた事が無かった。
怖い。純粋にそう思った。
しかし彼女は解らなかった。
自分を持ち上げ支えている彼を抱き締める方法が解らなかったのだ。
それは本能に近い恐怖。
宙に浮かされて何も掴む事が出来ない。
その状態で上に向かってそそり立つ彼の剛直が勢いよく突き刺さった。
身体が大きく揺れる。
とっさに腕に力を込めようとしたが出来ない。
いつもならこの腕の中にいるはずの彼の感覚がない。
それを嘲笑うかのように強烈なピストンで身体をゆっさゆっさと揺らした。
その時不意にキスで口を塞がれた。
何でも良いから彼に触れていたかった彼女は喜んでむしゃぶりついた。
唾液の中甘い甘い彼の精と共に飲み込んで感じたのは
ニンニク
だった。
理性が本能に塗り潰される。
理性で大丈夫大丈夫と思っていたものが恐怖で塗り潰されていく。
感じるのは本能的な快楽と寂しさと恐怖。
頭が可笑しくなりそうな中、彼が射精した。
頭の中が真っ白になる。
子宮に精を注がれ其処に意識が集中する。
他に何も考えられない。
その時だった。
彼が急に手を離した。
後ろに倒れる身体。
倒れる、落ちる、落ちる、落ちる、
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやぁ!
気がつけば彼に支えられていた。
安心感と共に彼女は放尿しながら遂に泣き出した。
「あんまりよ、あんまりよぉ…」
彼に情けなく尿を掛けながら、情けなく泣きじゃくりながら。
その時彼はベッドに座った。
そして彼女の頭を胸に抱え、頭を撫でながら
「ごめんなさい、意地悪し過ぎましたね。」
そう言って指を鳴らすと途端に手足に感覚が戻った。
呆然としながら彼の背中をさする。
はっきりと分かる。
彼に触れられる。
其処からは彼女は止まらなかった。
対面座位で身体全身を擦り付けながら手足を彼の背中に回し、インキュバスでも骨が折れそうなほど強く抱き締めながら腰を狂ったように振った。
「ああ、側に居て、離さないで、貴方を感じさせて!」
彼が射精しつくして気絶していることにようやく気付くと彼女も意識を手放した。
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