はぐれ狼 冒険編?

「じゃあ・・・行ってきます」
「いってきます」
「いってらっしゃい。気をつけるんだよ。ワルフの群れによろしくね」
「うん、わかってる」

さて・・・ワルフの鼻も少し復活してきたらしいけど、もう匂いなんか残ってないだろうしなぁ。
「まぁ、そんなに長い距離移動はしないだろうし、ちょっと歩きで頑張ろうか」
「はい♪」
「・・・嬉しそうだね?」
「そりゃあ、久々にみんなと会えるし、ヴェルさんとずっと一緒にいられますし♪」
そう言うと、嬉しそうに頬を染めて尻尾をパタパタ振った。
「あの・・・手、繋いでもいいですか?」
「あ、うん、いいよ」
「ありがとうございます♪」
それからずっと、ワルフは嬉しそうに尻尾を振りながら鼻歌を歌っていた。

「・・・見つからないね」
「いませんねぇ・・・」
あれからずいぶん歩き回って、もう夕暮れ時という頃。
いまだに見つかっていなかった。
「かなり遠くまで逃げちゃったのかなぁ・・・」
同じ村の人間として、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「その分私は嬉しいですけどね」(ボソッ
「ん?何か言った?」
「いえ、なんでもないです♪そろそろ野宿の準備しましょうか。暗くなってからだと、色々と危ないですし」
「そうだね」
背負っていたリュックから、テントを取り出し、ワルフと協力しながら組み立てていく。
「ワルフ、張れた?」
「はい、大丈夫です」
「わかった、ありがと」
「どういたしまして♪」

「・・・」
「ど、どうかしましたか・・・?」
「何で寝袋が一つしかないんだよ!」
「・・・(ポッ」
お願いだから頬を染めないで・・・。
「しかたない、厚着して寝るか・・・」
「え、一緒の寝袋で寝てくれないんですか・・・?」
俺の呟きを聞いて、ワルフは悲しそうに俺の袖をぎゅっと握ってきた。
「う・・・」
「私と一緒じゃ、嫌ですか・・・?」
「嫌じゃないです・・・」
泣きそうな目でそんなこと言わないで・・・。
ああ、俺ワルフの尻に敷かれそう・・・。
「じゃあ、一緒に寝てくれますよね・・・?」
「寝させていただきます・・・」
「大好きです、ヴェルさんっ♪」
即行で飛びついてきて、尻尾をぱたぱた振っている。
思わず撫でてしまった。
・・・ダメだなぁ、俺・・・。
まぁ、可愛いから仕方ないよね!

その夜・・・。
「ヴェルさん♪」(ぱたぱた
「どうしたの、ワルフ?」
さて寝るか、と寝袋に潜り込むと、ワルフがぎゅっと抱きついてきた。
「そ、その・・・我慢できなくなったら、やっちゃっても・・・いいですか?」
「・・・え、何を・・・?」
「えと・・・その・・・な、ナニを、です・・・///」
・・・これは・・・断固拒否しておくべきだったかもしれない・・・。


続く
12/04/19 00:13更新 / マオ・チャルム
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