「・・・んぁぁ〜っ・・・ん・・・ん?」
右腕に違和感。
「・・・」
「すぅ・・・すぅ・・・」
あっれー、おっかしいなぁ・・・。
俺、床で寝たはずなんだけどな。何でベッドの中にいるんだろう。
ワルフが入れてくれたのだろうか。
「くぅん・・・」
「・・・」なでなで
「わふ・・・♪」
撫でてあげると、もっと撫でてという風に手に頭を押し付けてきた。
「わぅ・・・?」
そのままもっと撫でてあげていると目を覚ました。
「おはよう、ワルフ」
「おはようございます、ヴェルさん」
「俺の事、布団の中に入れてくれたの?」
「あ、はい。流石にまだ夜は冷えますので。・・・ダメ・・・でしたか・・・?」
「ううん、違うよ。ありがとう」
なでなで
「くぅん・・・♪」
撫でてあげると、幸せそうに尻尾をパタパタした。
「ヴェルー!ご飯出来たよー!」
「はーい!行こう、ワルフ」
「はい♪」
「昨夜はお楽しみでしたね」
リビングに入ると、突然母さんにそんなことを言われた。
「何言ってるのさ母さん・・・」
「・・・(ポッ」
「・・・あんた・・・何かしたのかい・・・?」
「何もしてないよ!何でワルフも頬を染めてるのさ!」
顔が怖いよ母さん・・・。
「それよりもほら、ご飯冷めちゃうよ」
「ああ、そうだったね。いただきます」
「あ、いははきまふ」
「いただきます。・・・次からはちゃんと食べる前に言おうね」
「ごくっ・・・ごめんなさい・・・///」
今日の朝食は焼いたパン(マーガリンとかジャムはお好みで)、目玉焼き、大根サラダに卵スープだ。
「すみません、お代わりありますか?」
「ああ、たんとお食べ」
「ありがとうございます」
一人分で十分腹がいっぱいになる俺としては、朝からお代わりなんてすごいなぁと思いながらワルフのことを見ていた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
「けふっ・・・ごちそうさまでした・・・♪」
ご飯を食べ終えたワルフは、幸せそうに尻尾を揺らしていた。
「それで・・・どうしようっか?」
「何がですか?」
「ワルフの群れ探しだよ」
「あ」
・・・この子、絶対忘れてたな。
「・・・いや、もう、ここに住めればいいかなぁって・・・あはは・・・」
「流石にそれはねぇ・・・」
この村は比較的親魔物派だけど、やっぱり中には魔物反対な人たちもいるわけで。
比較的、といってもほかの町や村は魔物が村に入った瞬間惨殺とかあるらしいから、まだ殺されないだけ親魔物派、といった具合だが。
中には家みたいな例外もいるけれども。
「・・・いや、それもいいのか・・・?」
「え?」
ワルフがいい子にしてくれれば、魔物に対するイメージも変わって、もっと平和に暮らせるかもしれない。そうすれば、この村ももう少しは豊かになって、発展させられるんじゃないか・・・?
「ヴェルさん・・・?」
「よし!」
「きゃうっ!?」ビクッ
「あ、ごめん。ワルフ、一緒に暮らそう」
「・・・えっ・・・?///」
「あんた何言ってんだい。突然求婚なんかしてるんじゃないよ」
片づけを終えた母さんが戻ってきた。
「え、あ、プロポーズってわけじゃないんだけど・・・ワルフがいい子にしてくれれば、周りの人達の魔物に対する印象が変わると思うんだ。そうすれば、この村ももっと平和になるし、それに魔物相手に商売も出来るだろうし、この村ももっと豊かになると思うんだ」
「うーん・・・確かにそうかもしれないけど・・・いい子にできるのかい?」
「が、がんばりますっ!ヴェルさんとお母様のために、精一杯頑張ります!」
「あんたにお母様って呼ばれる筋合いはないよ!」
「きゃうんっ!?」ビクゥッ
縮こまって、俺の後ろに隠れてしまった。
「か、母さん?」
「ごめんごめん、冗談だよ。一回言ってみたかったんだ」
「くぅ・・・本当ですか・・・?」
「本当だよ。そうだねぇ・・・村のみんなが魔物たちに優しくできるようになったら、ヴェルの嫁にしてあげるよ」
「わ、わかりました!」
「でも、具体的にはどうしようか・・・」
「それは私が考えといてあげるから、あんたたちは畑仕事に行っておいで」
「うん、わかった。お願いね。ワルフ、行こう・・・の前に、流石にその格好はダメかな・・・」
それどころじゃなかったから忘れていたが、ワルフが着ている服は襤褸切れ同然で、さすがにこの格好で外に行くのはまずい気がした。
「そういえばそうだねぇ・・・。よし、ちょっと待ってなさい」
そう言うと、母さんは家の奥に引っ込んで行き、何かをひっくり返す派手な音がした後、きれいな作業着を持って戻ってきた。
「ほら、これ着ていきな。尻尾を出す穴はないけど、そこは我慢しておくれ」
「あ、ありがとうございます!」
お礼を言って・・・その場で今身に着けている襤褸切れを外し始めた。
「っ!!」
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