「・・・あ、あの、ヴェルさん・・・」
「・・・ん?」
寝なおしにテントの中。
今日は特別にワルフと二人で向かい合って寝袋の中。いや、もとは特別じゃないんだけど。ルゥがきてから初めてのワルフと二人きりでの布団だ。
今回は流石にルゥはごねなかった。いや、正確にはごねようとした。が、ワルフが「ルゥちゃん?」とにっこりと笑いかけると、ルゥはそそくさと一人で寝袋にもぐりこんでいった。
ワルフやべぇ。
「その・・・き、嫌いにならないでくださいね・・・?」
「え、なんでさ?」
「だって、さっき、思い切り怒っちゃって・・・」
「悪いのはワルフじゃないよ、全部俺が悪いんだ」
ルゥがきたのも本は俺が返り討ちにしちゃったせいだし、夜盗だって、俺がちゃんと対策立てなかったのが悪いし。かってにドナー探し引き受けたのも俺だしね。
「あれは怒っていいよ、ワルフにはその権利がある」
いいながら、優しく撫でる。
「だから、ワルフのことは嫌いになんかならないよ。安心して」
怒ると怖いのも魅力の一つ、ということにしておこう。
それにワルフは滅多に怒らないし。
「ヴェルさん・・・」
安心したのか、ワルフは涙目になっていた。
こんなに可愛いのに、嫌いになるわけないだろ。
「ひゃ・・・ん・・・」
優しくワルフを抱きしめ、耳を甘噛みする。
「ヴェルさ・・・それ・・・だめぇ・・・っ」
甘く噛み、舌を這わせる度に、ぴくんと体を反応させる。
あぁ、ワルフ可愛いよワルフ。
「あ・・・やらぁ・・・もっ・・・らめっ・・・あぁぁぁっ!!」
びくんっ!と大きく体を跳ねさせた。
「・・・耳だけでイっちゃったの?」
「うぅぅ・・・ヴェルさんのばかぁ・・・」
力なくこちらの胸を叩いて、蕩けきった顔で見つめてきた。これは・・・やばい。理性とぶ。
「ワルフ・・・ちゅ」
「ん・・・」
キスをすると、幸せそうに尻尾を振り、足にぽふぽふと当たってきた。
旅の最中でも、きちんと手入れされた尻尾はもふもふで気持ちがいい。
「ぷぁっ・・・準備はいい?」
「はい・・・いつでもきて・・・ください・・・」
寝袋を開いてワルフに覆いかぶさる。
「今夜は寝かさないぞ、ワルフ」
「ひゃぁぁぁんっ♪」
「・・・昨夜は・・・お楽しみでしたね・・・」
不機嫌さMAXといった感じのルゥにたたき起こされた。
寝不足なのか少し疲れた顔をしている。
「ふぁぁ~っ・・・おはよう、ルゥ・・・」
いつものことで、右腕は動かない。ワルフの抱き枕だ。
「ワルフ、起きろー」
少し体を起こし、左腕でゆさゆさとゆする。ゆするごとに胸が腕に当たって気持ちいい。
「う゛ー・・・」
「うわっ!?」
ゆすっていたら突然抱きつかれ、また寝袋の中に引き込まれた。
「すー・・・」
あのー、ワルフさーん?もう起きないと次の村につけませんよー?
「うーっ・・・」ぎゅー
今日のワルフさんは寝起きが悪いようで。
確かに昨日はかなり長くやってたけどさ・・・。
というか、まだお互いに裸なせいで色々とやばい。
そんな抱きつかれたら入っちゃうよワルフさん・・・。
入れたくないわけじゃないけど、日の出ているうちは少しでも先に進みたい。
そしてちゃんとした宿泊施設に泊まりたいよ。テントも悪くは無いけど。
「起きろって、おーい」
抱き起こして座らせてみる。
・・・起きずにそのままこっちにもたれかかってきた。
ここまでしても起きないか・・・。
「うーん・・・起きないなら仕方ないなー。ルゥ、ワルフ置いていこう」
「・・・!!・・・は、はい!ご主人様・・・!」
「えっ!?ちょ、ヴェルさん!?」
棒読みで言ったのだが、ルゥは嬉しそうに片づけをはじめ、ワルフは飛び起きた。
「はい、おはよう、ワルフ」なでなで
「お、おはようございます。・・・お、置いていかないでくださいね?」
「冗談だよ、置いていくわけないだろ。早く着替えて、朝飯食って出発しなきゃ。村に着くのが遅くなっちゃう」
いっそ馬車でも借りればよかったかな。もう今更だけど。
「はい・・・ごめんなさい・・・」
「わかればよろしい。ほら、はやく」
「はぁい・・・」
続く...
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