六日目

「さて・・・それでは、行ってきます」
「いってきまーす」
「・・・行ってきます・・・」
「うむ、頼んだぞ」
新婚旅行兼ドナー探しのたびの始まり始まりー。

だったんだけど。
「おうおうにーちゃん・・・両手に花で旅とはうらやましいねぇ・・・」
出発した日の夜、夜盗に襲われました。
大都市に近いから、ここら辺は安全だと思ったんだけどなぁ・・・。
「う"ーっ・・・」
「・・・ぐるる・・・」
みんな後ろ手に縛られててお手上げ状態。手上げられないけど。
幸いというかなんと言うか、足までは縛られてないので荷物を捨てれば逃げられそうだが・・・せっかくバフォ様からもらったしもったいない半分、こんなやつらに渡したくないというのが半分。
相手は3人・・・足だけで勝つのは流石に辛いかもしれない。
手が使えない分バランスも取りにくいし・・・どうしようかな。
見た感じではたいした武装はしてなく、普通にぼろ布の服にナイフや棍棒だけだ。
しかし下手に暴れるとワルフやルゥが危ないかもしれない。
「どうしたもんか・・・」
「あん?なんか言ったか?」
「いや、何も」
バフォ様に簡単な魔術でも習っとけば良かったかな。
「しかしこいつら可愛いなぁ」
そりゃあ俺の嫁だからな。可愛いのは当たり前だ。
「どうする?やっちまうか?」
可愛いから襲いたくなるのはわかるが、それはちょっと許せない。
「ひっ!?」
「・・・がぅー・・・!」
その言葉を聞いてワルフはおびえ、ルゥは威嚇を強くした。
やっぱりルゥのほうが野性味が強い。
どうする・・・怪我覚悟で一人蹴り倒すか・・・?
「おい、お前」
「ん?」
リーダー格と思われる男が話しかけてきた。
「命が惜しいか?」
「・・・対価は」
「おんなt「断る」
「ほう・・・断るか・・・」
荷物だけならいいけど、ワルフとルゥは渡せない。
いや、最悪ルゥだけならいいけどワルフは絶対にダメだ。
「じゃあ・・・死ねぇ!」
「それもお断りだ!」
振り下ろされたナイフを転がって回避。そしてその勢いを利用して立ち上がる。
「こいよクソ野郎・・・武器なんか捨ててかかって来い!お前なんか怖くねぇ!」
「・・・野郎ぶっ殺してやらぁッ!」
・・・ほんとにナイフ捨てて飛び掛ってきた。
「ここは・・・俺の距離だ!」
タイミングを合わせての回し蹴り。
「ぶべらっ!?」
かいしんのいちげき!うまい具合に頭に入った。
・・・のはいいが、流石に俺もバランスを崩して倒れこんだ。
「リーダー!?・・・てめぇ・・・リーダーをよくも・・・!」
そこを狙って残りの二人の片方が棍棒を構えて走ってきた。
・・・と思ったんだ。
次の瞬間にはそいつが真横に飛んでいた。
えって思ったら、そいつがいた場所にワルフが立っていた。
「えっ・・・うぎょっ」
吹き飛ばされたやつが、変な悲鳴を上げて落下した。
「・・・いい加減にしてくださいね・・・」
「「えっ」」(俺+夜盗の残りの一人)
「ヴェルさんとのせっかくの二人きりの旅行だと思ったのに・・・」
「・・・ひっ・・・」
ルゥの小さな悲鳴が聞こえた。
「一人同行者が増えるわヴェルさんのいとこ探しを頼まれるわ・・・挙句の果てには夜盗ですか・・・?」
・・・あ、これやべぇやつだ。
ワルフの周りがゆがんで見える・・・。
・・・え、何あれ、怒りのオーラ?え、ちょっとなにそれ怖い。
「ルゥちゃんはまぁ許しますよ・・・もとはといえばヴェルさんが返り討ちにしちゃったのが悪いんですし・・・」
あー、うん、やっぱりあの子は俺のせいよね。
「いとこ探しも、ヴェルさんが決めたことだから我慢します・・・」
・・・やっぱり嫌だったんじゃないか!
「ですが・・・あなた方は許しません・・・!もうこれ以上、私とヴェルさんの邪魔をしないでください!!」
ワルフが吼えた。
のと同時に
「・・・ごひゅひんはま・・・」
いつの間にかそばに来ていたルゥに袖を咥えられて引っ張られた。
「・・・どしたの、ルゥ」
「・・・ちょっと体起こして・・・縄、噛み切るから・・・」
「ん、わかった」
横にごろんとしていた体勢から、がんばって体を起こして胡坐をかいた。
「これでいい?」
「・・・ありがと・・・もうちょっと我慢、ひへへ・・・」
そういうと、手首に巻かれている縄をがじがじと噛み始めた。
たまに舐めてくるんだけど、これは縄を濡らしてるってことでいいんだよね・・・。
「・・・ワルフの縄もこうやったの?」
「・・・ううん、ワルフは引きちぎってた・・・」
・・・・・・・・・。
うん、やっぱりワルフは怒らせちゃダメだ。
ワルフのほうに視線を戻してみると、俺が蹴り飛ばしたやつとさっきワルフが吹き飛ばしたやつの首根っこを片手でつかんで、残りの一人のほうに向かって投げつけるところだった。
・・・え、大人の男を片手で投げ
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