三日目

「あー・・・着いたー・・・」
朝あんなことがあったせいで、もう暗くなりかけてるよ・・・。
もうちょっと早く着く予定だったのに・・・。
「とりあえずおじさんの家に行こう」
「はい♪」

「こんばんわー、ヴェルクルスですー。おじさんいますかー?」
「おお、ヴェル、久しぶりだな・・・そちらのお嬢さんがたは?」
「俺の嫁のワルフです」
「はじめまして、ワルフです」
礼儀正しくお辞儀していた。本当にワーウルフとは思えない娘だよね。
「で、どこからか湧いてきてついてきちゃったルゥ」
「・・・はじめまして・・・」
たぶん説明は間違ってない。ルゥもワルフを見習ってお辞儀をしていた。
「とりあえず、結婚したからその報告に」
「ほぅ、そうか・・・ヴェルももう結婚したか・・・」
おじさんはなんか遠い目をしていた。
「それに比べてあのバカはまったく・・・」
「そういえば、ドナーは元気ですか?」
「あのバカはどっかに消えたよ・・・ご丁寧に家のポストに探さないでくださいってメモを入れてな」
「・・・えっ?」
何してんのあいつ・・・。
「まったく、今頃どこにいるのやら・・・」
「それ、いつごろです?」
「一昨日だな。・・・あ、立ち話もなんだから、あがりなさい」
「はい、お邪魔します」

「・・・えっ」
「・・・?どうかしました?」
「いや、その二人・・・」
とおじさんに言われ、ワルフとルゥのほうをむいたが、特におかしなところはない。
ルゥもあのぼろきれのような服(といえるような代物でもないが)ではなく、ちゃんとワルフの服を借りて着ている。
「・・・どこかおかしいところでも?」
「いや・・・その耳と尻尾・・・」
「・・・えっ?」
今更何を言っているんだこの人は。
「・・・あ、もしかして気付いてなかったんです?」
あれだけ話しといてそれはないだr・・・
「く、暗くて見えなかったんだ・・・」
あったわ・・・。
「おじさん・・・眼鏡買いましょうよ」
そういえば、結構前に目が悪くなってきて難儀してるとか何とか言ってたな。
「まぁいい・・・。とりあえず結婚おめでとう、ヴェル」
「ありがとうございます」
まぁいいか・・・。
「ああ、泊まる部屋は一つでいい・・・のかな?」
「あー・・・どうしようk」
「大丈夫です」「・・・大丈夫」
「・・・一つでいいです」
・・・わかってた。こうなるってわかってたよ、うん。
でもせめて最後まで言わせてよ・・・。
「布団はどうする?」
「一つで大丈夫です」「・・・一つで十分」
「・・・一つでいいです・・・」
うん、もうそっちも予想できてたよ・・・。


続く
12/11/15 17:04更新 / マオ・チャルム
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