「ところでお前達、これからどうするつもりなんだ?」
「う〜ん……ジパングのお宝の話はあの場所しか調べて無かったから、とりあえず帰ろうかなと……」
「まあもう少しジパングに居るつもりだけどね。お土産も買いたいし」
山神の宝玉を手に入れてから2日、私達はまだ隻影さんと共にジパングにいた。
他に目的の宝は無いため私達は宝玉を手にした今帰る予定ではあるが……まだ帰りたくなかった。
それはジパングが楽しくてまだ満喫していたいというのもあるし、なにより……
「じゃあそろそろ大陸に戻るのか……」
「うん……隻影さんともお別れだね……」
隻影さんと……好きな人と離れたくなかった。
出来ればずっと一緒にいたい……そう思うと、家に帰る事は中々出来なかった。
「隻影さん、私達と一緒に大陸に行かない?」
「ん〜……行ったところで今そっちにどんな宝があるかわからないからな……誘いに乗れないのは悪いが、やはりもう少し調べてから向かいたい」
「……そっか……」
何度かこうして一緒に大陸まで来ないかと誘ってはいるのだが……中々首を縦に振ってくれない。
まあ隻影さんの都合もあるから仕方ない事なんだろうけど……どうしても離れたくない私は、諦めきれなかった。
「まあそれは置いといて、今日も案内頼むよ隻影さん!」
「ジパングの浮世絵ってのを見せてくれるんでしょ?」
「ああ。じゃあ案内するから付いて来てくれよ」
でも、隻影さんに一緒に来てもらういい方法は何一つ思い付かなかった。
だから私は、隻影さんと今を一緒に行動する事しか出来なかった。
「同じように大陸の文化も隻影さんに案内したいんだけどな……」
「はは、また大陸に行った時は案内頼むよ」
「あ、うん……ボクに任せてよ!」
それは、モーリンも同じようだった。
私と同じようにさり気なく何度か大陸に行くよう誘っているがまるで効果は無かった……
「そういう事じゃないんだけどな……」
やっぱり、モーリンも隻影さんの事が好きなのだろう……
断られた時の表情が、とても寂しそうな顔をしていたから……きっとそうだろう……
「……」
「……何セレナ?ボクの顔に何か付いてる?」
「ううん、なんでも」
今真相を聞く事はちょっと出来ないので、今日宿に泊まった時に二人きりになるチャンスがあれば聞くとしよう。
そう思って私はこの事を一旦頭の隅に置いておき、隻影さんの案内でジパング文化を楽しく巡ったのだった……
…………
………
……
…
「ふぅ〜……いい湯だねぇ〜……」
「だね〜……温泉って気持ちいいね〜……」
ジパング文化体験の最後の締めくくりとして温泉宿に泊まった私達。
すっかり蕩けた顔をしながら、私とモーリンはゆっくりと温泉に浸かっていた。
身体中に沁み渡る温泉の温かさ……一日どころかここ数日の疲れが一気に吹き飛ぶようだ……
しかも広い温泉の中、まだ夕食前の時間と早いせいか私達以外の客の姿は無かった……完全に貸し切り状態だ。
もちろん混浴では無く男女別な為、隻影さんは男湯の方に一人で入っていた。
「ねえモーリン……」
「なんだいセレナ?」
案外あっさりと二人きりになれたので、このタイミングで私はモーリンに聞いてみる事にした……
「モーリンってさ……隻影さんの事が好きなの?」
「……」
隻影さんの事が、好きかどうかを。
「どうしてそう思うんだい?」
「最近のモーリンの行動を見てたらなんとなくね。それにモーリン、ジパング来てから他の誰からも精を貰ってないでしょ?」
「はは……やっぱわかるか……そうだよ。その通りさ」
やっぱり、モーリンも隻影さんの事が好きらしい。
「最初はただの憧れだった……憧れて、ボクもトレジャーハンターになって、今度はただの同業者になった……そして今回、一緒にいるうちにボクは彼が好きになっていたのさ……まあ、今までセックスの相性が合う人なんて居なかったし、もしかしたら自分で全く気付かないうちに隻影さんに恋してたのかもね」
「そっか……」
その想いは……出会ったばかりの私よりも深く、強い物だろう……
「……ねえモーリン、実は……」
「セレナも隻影さんの事が好き、だろ?」
「……知ってたんだ……」
「まあね。セレナの最近の態度からそんな気がしてたんだ。むしろそうじゃなければあんな熱い視線送らないでしょ」
「……私そんな視線送ってたんだ……気付かなかった……」
でも、だからと言って私は隻影さんへの恋心を諦める事は出来ない。
「まあでも……それならこれからは恋のライバルだね」
「……へ?」
「私も隻影さんの事が好き。そりゃあモーリンと違って出会ったのは最近だし、一緒にいた時間も短い。それに人生に何か影響を受けたわけでもない……でも、この恋心は諦められな
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