「さてと、それじゃあ行こうかセレナ!」
「そうだね……って珍しく露出の少ない恰好してるじゃん。どうしたの?」
「ああ。今回向かう場所が場所だからね」
「?」
フィアさんのところから帰って来てから2週間とちょっとが経過した朝。私達はまたしても新たなお宝を探しに出掛けるところだった。
「今回って……たしかカラットフォレストっていう森に眠る遺産とやらを探しに行くんだよね?遺跡でも洞窟でも変わらず露出高めの服装で、フィアさんの家の時に至ってはフィアさんに指摘されるまで下半身に何も身に着けて無かったモーリンがなんでそんなの気にするの?」
「う……最近セレナの攻めがキツイ……ボクマゾじゃないから言葉責めは趣味じゃないよ?」
「そんな事は聞いてないから。それで答えは?」
「ああ。その森は反魔物領にあるんだよ。だから近くの親魔物領までポータルで移動した後、人化の術で人に紛れるのさ。その時にいつもの格好してたら頭の固い人達に破廉恥だとか言われて捕まっちゃうだろ?」
「なるほど……」
今回は反魔物領にあるカラットフォレストという名の森に眠る遺産とやらを探しに行く。
反魔物領なのでモーリンの正体がばれないようにする必要はあるが、触手みたいな危険性はさほど無いだろう。
それに人間界に居る虫や獣など魔物にとっては何の脅威でもない。もちろん天使である私にとってもである。
そう考えると今回はかなり楽になるのかもしれない。
「あれ?私人化の術とか使えないんだけど……」
「え?あんなに簡単な術も使えないの?」
「むぐ……戦闘に関係ないものは覚えるのが面倒だったからね……」
「まあ……セレナはエンジェルだから問題無いと思うよ?多少魔物化が進行してるって言っても、そう簡単にバレるものでもないしね」
「それもそうか……」
念のために虫よけ(サバト製)も買っておいたし、食糧も寝袋も準備したので、今から出発する。
はたして今回はどんな事が待ちうけているのやら……
…………
………
……
…
「ふぅ……どうセレナ?普通の人間に見える?」
「うん。魔力も抑えられてるし、顔が割れて無ければサキュバスだなんて気付かれる心配は無いよ」
ポータルで近場の親魔物領まで移動した後、ご飯を食べてから反魔物領に向かう私達。
私はエンジェルだからこのままでも多分問題無いだろう……主神が直接私達を見た人に「こいつらは魔物です!!」だなんて話しかけたら別だが、まあまずないだろう。
「というか……もしかして魔物になる前のモーリンってそんな姿してたの?」
「うん。まあもうちょっとだけ綺麗さや可愛げは無かったけどね。人間だった時は髪や肌の手入れなんてした事無かったから、結構傷んでたと思うよ」
「手入れとか今でもしてるところ見た事無いけど……まあ魔物だからしなくても大丈夫なんでしょうけど。私もだしね」
それにしても翼や尻尾や角が無く耳が尖ってないモーリンは見慣れない。
モーリンは魔物化した元人間だって話だから今の姿が本来のモーリンなんだろうけど……私はサキュバスのモーリンしか知らないからもの凄い違和感だ。
「これなら大丈夫だね。じゃあセレナ、何か聞かれた時の誤魔化しは大丈夫だよね?」
「まあね。よっぽど高貴な奴や同族が現れない限りは大丈夫だと思う」
「まあこんな辺境の村にエンジェルなんて降りてこないと思うけど……いたら全力で逃げよう」
「逃げようって言っても……時差のせいで今ここ夜だし、一晩村に泊まったほうが良いって言ったばかりじゃん」
「その為の寝袋だろ?」
「まあ……どうせ数日掛かる気がするからって持ってきたものだしね……まあ危険を冒すよりはいいか」
私達はお互い不自然な所がないか確認し合いながら、森へと続く村の中に進んで行った。
「ん?おお!天使様がいらっしゃるぞ!!」
「なんと!?こんな辺境の村に何用でございますかな天使殿?」
「あ、どうも……」
私達が村に入って幾分も経過しないうちに、あっという間に村人に囲まれてしまった。
とはいっても別にモーリンが魔物だって気付いたわけでは無く、私というエンジェルが村に来た事に感動しているようだ。
「ボク達はこの先にあるカラットフォレストの調査をしに来たんだ」
「おやあなたは?天使殿と一緒にいるようですが……」
「ボクは勇者モーリン。エンジェルのセレナと共に各地を回って魔物の脅威が無いか調査しているのさ」
「おお!勇者殿でしたか!これは失礼しました!!普通の村娘の姿をしていたので勇者殿とは気付かずに……」
「まあそれは仕方ない事さ。つい先ほどまで親魔物領に潜入調査をしていたから、勇者とわかる格好は出来なかったからね」
「そうでございましたか……ご苦労様です!」
外見からでは勇者かどうかなんてそ
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