天使と悪魔と蛇の家!

「よいしょっと!」
「ここは……なんだかのどかな場所だね……ちょっと暗いけどさ」

海の洞窟を探検してから3週間が経ち、私達はまた別の場所に冒険に出ていた。
あの時手に入れた宝の一部は、パーズの事を忘れないためにも家に大切に保管してある。
それ以外は売ったが、やはり本物の黄金だったので前回より量は少ないものの金額的にはほぼ同じぐらいになった。

「まあここは魔界だからね。しかも暗黒魔界だから昼でも暗いよ」
「なるほど……それでもあまり気にならないって事は私もそろそろ魔物になって来たという事かな?」
「多分ね。まだそんなに変わらないとは思うけど、少しずつ魔物化はしてると思うよ」

私達は今回魔界にある不思議な洞窟に向かっていた。
前回の冒険では大きな怪我はしなかったし、今回はそれほど用意するものも無かったので、体調が万全な今日行くことにしたのだ。

「さて、目的の洞窟がどこにあるか聞いてみる事にしますか」
「でもその前に腹ごしらえしておこうよ!丁度目の前にまかいも専門店がある事だし、そこなら魔界産の食べ物が苦手なセレナでもいけるでしょ?」
「まあまかいもは甘ったるくないし変な気分にならずに済むからね……ねぶりの果実は流石に引いた……」
「あれ結構おいしいと思うけどな……まあ男性のおちんぽと精液には敵わないけどね」
「それ言わないで!本物は見た事無いけどなんか連想しちゃうから!!」

不思議な洞窟の何が不思議なのかというと……入った者があまり帰って来ないという事だ。
どうやら旧魔王時代のエキドナが創り出したダンジョンらしく、内部は罠がかなりの数になっているらしい。
その罠にやられ帰って来ない、もしくは男性なら内部で魔物に掴まりそのダンジョンに永住している可能性もあるが……魔物まで帰って来ないというので不思議だ。
帰って来た人も少なからずいるようだが、入った後の記憶が一切無いらしく、気付いたら外にいるというこれまたちょっぴり怖い事になっていた。

「はは、下ネタに恥ずかしがってる間は大丈夫だよ」
「まったく……たまに性行為に出掛けてるモーリンが言うと生々しいんだけど……」
「何言ってるんだよ!ボクたまにしか行ってないんだよ?旦那がいるサキュバスだったら毎日旦那とシてるよ!」
「いやまあ……もはや何も言うまい……」

だから、今回は帰って来られない可能性も高いが……それでこそお宝を探す楽しみがあるというものだ。
それに最奥にエキドナがいるのかも気になる……旦那を手に入れてイチャイチャしてるのなら放っておけばいいし、独り身ならお話でもしようかと思う。
まあいたらお宝は貰えなさそうだけどね……その時は経験を宝だと思えばいいだけだ。

「もぐもぐ……まかいものバター焼き美味しい!」
「まかいもソテーも塩がきいてて美味いよ!ちょっと食べてみるか?」
「あ、じゃあ一口頂戴!こっちも一口あげるからさ!」

そのダンジョンの詳しい場所を集めつつ、私達は腹ごしらえをしたのであった。



……………………



「さて、街のハーピーに聞いた感じだとここらへんに入口が……あった」
「おお……いかにもって感じがする……」

情報を集めた私達は、早速教えられた場所まで向かった。
そこには言われた通り禍々しい形をした木や植物に囲まれた洞窟の入口がぽっかりと口を開けていた。
ちょっと大袈裟かもしれないが……まるで獲物を飲み込もうとしている蛇の口のようにも見えた……洞窟の上部に2本尖った岩が付いてるのが牙に見えるのも原因だろう。

「それじゃあ早速入るよ。今回は壁や天井に魔力の影響かほんのり明かりがあるから松明も発光魔術もいらないね」
「それなら魔力も温存できるし大助かりね」

だからといって入口で足踏みしていても始まらない。
私達は気を引き締めて、その口の中へと飛び込んで行った。

「さて……まずはどんな罠が来るかな……っと」
「いきなり露骨に怪しいオブジェがあるね……」

入ってからほとんど歩かない通路上に、3頭の蛇の彫刻が置かれていた。
振り向けばまだ小さく外が見えるようなところに置いてある彫刻……どうみても怪しい。

「まあさわらぬ神に崇りなしって事で、一応離れて通ろうか」
「そうだね……いや待ってモーリン!止まって!!」
「え?いきなりどうし……うわあっ!?」

彫刻の蛇は3体とも大きく口を開けているので、もしかしたらあそこから何か噴射するかもしれない。
そう考えた私達は、出来るだけ彫刻から離れ、口の部分の前を通らないようにちょっと前屈みで進もうとした。
しかし、その時不意に反対側の壁を見てみたら……いかにも何かが噴出されそうな黒い筒が壁から突き出ていたのを発見した。
蛇を避けて前屈みになると丁度顔に当たるようになっている筒……これを見た瞬間、蛇はフェ
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6..8]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33