天使と悪魔と海の洞窟!

「う〜ん……潮の香りがこう海って感じがするね!」
「まあ実際海の上だからね。初めて見たけど凄く綺麗だね〜」

私とモーリンが出会ってから1ヶ月が経過した。
最初こそ見慣れない魔物の姿に戸惑ったし、レプレシャスに住む魔物も堕落していない天使…つまり私の姿に少々疑問を感じていたのだが、流石にお互い慣れたようで、結構隣人さんたちとも仲良くなっていた。
ただまあお隣から昼夜問わず喘ぎ声が聞こえるのは流石にまだ慣れないけどね……

「ねえ見てモーリン!あんなところに鮮やかな青色の大きな魚が!!」
「あーあれはマーメイドだよセレナ。ゆっくりと泳いでるんじゃないかな」
「そっか。海は魔物の巣窟だからいっぱいいるもんね。セイレーンやシースライムもさっきからたまに見るもんね」

そして今、私達は海の上にいた。正確に言えば船の上にいる。
何しに来たのかと言うと、もちろん海に眠るお宝を探しに来たのだ。そう、私達はお宝が眠ると言われている洞窟に向かって船旅をしてる最中なのだ。
モーリンは何度か海を見た事あるそうで、呑気に海を眺めているだけだが……私は初めての海に身を乗り出してはしゃいでいた。

「お二人さん気を付けなよ!落ちても保証しないぞ?」
「はーい!」
「それは困るな。結構高い金払ってるんだからそこら辺の保証もしてよ」
「はは、冗談さ。もちろん落ちたらそこの浮き輪か女房が助けてやるさ!」

私達が向かう場所は普通の船は近付かない場所にある。
だから私達は港町に住む個人で小型船を持っている人に頼んで目的地まで運んでもらっていた。
ちなみに船の運転手だが、ネレイスの奥さんと結婚済みなので途中で私達を置いて魔物に攫われる心配は一切無いという。
その奥さんは数百メートル前を泳いでいる。進路にカリュブディスや魔物がいないか確認するために優雅に泳いでいるのだ。

「洞窟着いたら潜る前にまずは泳ごうかな」
「あーそれもいいね!折角水着なんだし、まずは泳ぎたい!!」
「じゃあ決まり!1時間程周辺で遊んでから潜ろう!運転手さん、あの岩島の近くって泳いでも大丈夫ですよね?」
「よほど変なところで泳いでなければ大丈夫なはずだ!」

私達は広い海とまだ見ぬお宝にワクワクしながらクルージングを楽しんでいたのだった……



……………………



「それじゃあ緊急のときや帰りのときはその札に魔力を流してね。セックス中でなければすぐ迎えに来てあげるから」
「緊急の時はすぐ来てほしいのですが……まあいいや、わかりました。ありがとうございます」

船で海上を進む事2時間。私達は岩島と呼ばれる大きな岩の上に着いた。
本当に岩以外何もない所なので普通の船は座礁を恐れて近付く事は無い……実際私達を乗せてくれた船はここから少し離れた海の上で泊まっている。私達はそこから飛んでこの岩の上に立っているのだ。

「それじゃあ頑張ってお宝とやらを見つけてね!私も旦那も応援してるから!!」
「はい、ありがとうございます!」

ネレイスさんから魔術で処理してある呼び出し用の木の札を受け取り、私達はお礼を言って二人が帰って行くのを見送った。

「さてと、これは無くさないように防水バッグの中に入れておいてっと……それじゃあ近場で泳ごうか。セレナは泳げるの?」
「一応はね。海は見た事無いけど川で泳ぎの練習はしたからね。そうじゃなきゃもっと練習してるよ」
「それもそうか。よーし、じゃあまずはあそこのちょっと出てる岩まで競争だ!」
「臨むところよ!」

そして私達は、一先ず洞窟探検の事は忘れて海を堪能した。
二人で競争したりただ泳いだり、水中を泳ぐ魚の群れを見ていたりと、楽しい時間を過ごした。
ちなみに途中でふらふらと危なっかしく泳いでいたシービショップさんと会った。どうやら海で暮らしたい魔物夫婦の為に連日大忙しで休む暇がないとの事。
信仰する神こそ違うが、同じ神に仕える者としては人々を幸せにする為に日々頑張っているその姿に心を打たれたものだ……まあ私は既に主神を信仰してないけどね。別に堕落神も信仰してないけど。

「さてと、じゃあそろそろ洞窟の中に侵入しますか」
「そうだね……潜る前に聞いておくけど、この岩盤を壊して中に入るって言うのはナシ?」
「ナシに決まってるじゃんか!それが原因で変な罠が起動したらマズイし、海水が洞窟内に侵入してお宝が巻き物とか更なる宝の地図とかだったら台無しだよ?」
「ですよねー。いや、いささか不安だからさ『これ』……」

そんなシービショップさんも少し私達と話した事によって休憩になったようで、また新たな夫婦の為にと元気に旅立って行ったので、そろそろ洞窟に入ろうという事になった。
ちなみに目的の洞窟はこの岩島の内部だ。海底にある入口からしか侵入出来ないらしいし、内部がどうなっている
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