おまけ

「でね〜、結局アキトから告白してきたんだ!」
「ほぉ……」
「それでわたしはキスで答えたんだ!あの時のアキトは顔を赤らめて可愛く思ったな〜」
「へぇ……」

あの後、遅延こそしていたものの動いていた電車に乗り、朝帰りどころか昼帰りしたわたし。
次の日になり、ヒカリから事の顛末を聞かせてくれと連絡があったので、返し忘れていた美夜ちゃんのローターを片手にヒカリの家まで行って、別れてからの話をしていたのだ。

「それでさ〜、電車が止まってたからラブホテルに泊まってね〜、いっぱい子宮に精液出してもらっちゃった〜♪」
「ふ〜ん……」
「アキトも途中からノリノリでさ〜、突然妹を躾ける兄なんてやっちゃってさ〜……いやぁ、イキまくっちゃってたわ〜」
「あっそう……」

遊園地の観覧車で告白され、その後のラブホでのセックスなど、思い出せる限りの話をヒカリに聞かせるわたし……
だがしかし、最初こそ真面目に聞いていたヒカリは、話が進むにつれて段々と返事が適当になってきた気がする。

「そして朝起きて、帰る前にシャワーを浴びてお互い綺麗にして帰ろうとしたんだけどさ〜、一緒に洗い合ってるうちに互いの性器とかおっぱいとか触りあってて結局狭い空間で駅弁スタイルで一発射精してもらっちゃってね〜」
「……」
「その後はちゃんとホテルを出て精じゃないご飯を食べに行ったんだけど、そこで入った店がまた美味しくて……ってあれ?どうしたのヒカリ?」
「……」

話の最後の方になると一言も言葉を発しなくなったヒカリ。
そんなヒカリは、もうそろそろで話も終わる頃になって急に立ち上がって、ベッドに飾ってあったわたしがお土産で買ってあげたぬいぐるみを手に持って……


「くそおっ!!羨ましすぎるだろ!!」
「わあっ!?」


いきなりそう叫びながら、ベッドの上にそのぬいぐるみを勢いをつけて叩きつけ始めた。

「いやさ、たしかにこうなるだろうとは思っていた。きっとしょーこは大場に告白して、あわよくばセックスもしていると最初から思っていたさ。だが、いざその話をにこやかに聞かされたら羨ましくて仕方が無い!!」
「え、えっとヒカリ……?」
「私は彼氏のいない独り身なんだぞ!やれキスしただの、やれ中出ししてもらっただの聞いていたらどす黒い感情だって込み上がってくるわあっ!!」

手を力強く握りしめ、一心不乱にぬいぐるみを殴り続けるヒカリ……
目に若干の涙を溜めながら、怒り任せに殴り叫んでいる。

「あ、その……ゴメン……」
「謝るなしょーこ!私が惨めに思えてくる!!」

そんなこと言われても、謝れと言われているような気がするのだから謝った。
でもやっぱり落ち着く事は無さそうで、ぬいぐるみは遠くに投げ捨てられてベッドをガンガンと叩き始めた。

「私だって好きな人がいないわけじゃないさ。だが恋愛まで行くかと言われたらちょっと違うと思う。そう思い続けた結果高校を卒業しても相手が居ないなんて状況になってしまった。自分が悪いのはわかっているが、それでも寂しいところがあるものじゃないか!!」
「え、その……」
「羨ましいよ!私だってそういう風に愛したいし愛されたいさ!彼氏を気持ち良くさせて、愛し合って子作りしたいさ!!」
「あの〜、ちょっとヒカリ……」
「なのに私はこんな性格だからかモテないし、彼氏どころか妹に性的に襲われてばかりで女相手にするテクニックばかりが上達するし、いったいどうすればいいんだ!?」
「いやぁ……わたしに言われても……」

どうやら今まで溜まっていたものがわたしの惚気話を引き金に溢れだしているらしい。
部屋の外では、ゆっくりとその場から離れていく気配がする……おそらく姉の叫び声という珍しいものを聞きつけた妹の美夜ちゃんが、叫んでいる内容を聞いて飛び火する前に去ったのだろう。

「なんで私は彼氏の出来る気配すらないんだ!!イジメか!エンジェルなのにエッチな事を許容しているから神が虐めてるのか!?」
「神は別にそんな個人相手に嫌がらせまでしてる余裕は無いんじゃないかなぁ……」
「じゃあ何だというのだ!!クソッ、クソッ!!」

涙目で物に当たり続けるヒカリ……
幼馴染として18年ずっと一緒だったが、ここまで乱れるのはとても珍しい……

「あのさヒカリ……もしかしてアキトの事好きだった?」
「いやそれはない。何度も言うが私はアイツ嫌いだ。それとは関係無しにただ羨ましい」
「そう……ならいいや……」

もしかしてと思ったけど……別にアキトに惚れていたわけではないそうだ。
一安心しつつも、どうやってこの暴れる幼馴染みを抑えようか……

「あー羨ましいとても羨ましい口にしたら余計に羨ましい……」
「あ。あはは……」

特に良い案も思い浮かばないまま、わたしはそんなヒカリを見て苦笑いし続けたの
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