「おーい晶子、光里ちゃんが来てくれたぞ。いい加減出てこないかの?」
「……」
「おいしょーこ。どうしたんだ一体?悩みがあるなら相談に乗るぞ?」
「……」
あのデートから3日が経過した。
わたしは、学校が自由登校期間になったのを良い事に、自分の部屋にずっと引き籠っていた。
ベッドの上でボーっと寝転んで、時折大きな溜め息を吐いては、枕に顔を埋めながら後悔して泣いている、そんな事しかしてなかった。
何故かというと……なんか外に出たくなかったからだ。というか……ベッドの上から動く気力が湧かなかった。
ここ数日まともにご飯を食べてすらいない。そもそも食欲が湧かない。
「晶子、聞いておるのか?」
「しょーこ、聞こえていたら返事をしてくれ!」
何故こんな状態になっているか……答えは明白だった。
あのデートの日の最後、大場君と喧嘩別れをした事に後悔しているからだ。
いや、わたしが一方的に怒っていただけだ……喧嘩とは言わないか……
「反応無し……駄目じゃの……」
「仕方ないですね……」
あの時、わたしはたしかに怒っていた。
無茶をした事、あと少しで死にそうになった事、そして自分の命を軽視する発言に対して怒っていた。
困っている人を助けたい……その想いは尊敬できる。
でも……だからといって無茶なんかしてほしくなかった。
大場君が死んでしまったら……わたしはとても悲しいから……
「あまり乗り気はしませんが、あの方法を取る事にしましょう」
「そうじゃの……」
でも……わたしも感情的になり過ぎた。
大場君がやった事は決して褒められた事で無いにしろ、善意でやった事だ。
結果的には余計な事ではあったが、助けようと思ってやった事だったわけだ。
そこは褒めまではしなくても善意として考えるべきだったけど……あの時のわたしには出来なかった。
「それじゃやるかの」
「お願いします」
今回の事で、きっと大場君はもうわたしに会ってくれないだろう。
会ってくれたとしても、今回の事を謝りにきて、それっきりになってしまいそうだ……
それは嫌だ……けど、わたしが勝手に怒ってしまい、そしてその理由が理由なので、わたしから会いには行けなかった。
そもそもわたしは大場君がどこに住んでいるのか知らない……それもあって会いに行くことは不可能だった。
「はぁ……」
「どうしたしょーこ。悩みなら私に相談してみろ」
「ヒカリ……」
もうあの日から4桁は吐いてるんじゃないかと思う大きな溜め息を吐いた。
そしたら、ベッドの横に立っていたヒカリが相談に乗ってくれると言って……ん?
「…………って待って。なんでヒカリがここにいるの?」
今わたしがいるのは自分の部屋……しかも一人になりたかったから鍵も掛けておいたはず……どうして部屋の中に居るのだろうか?
「なんだ、わざわざ大きな声で会話していたのにそれすら気付かなかったのか。どうやら重症のようだな……」
「わたしが開けたんじゃよ。解錠魔術でな」
「お母様…………ごめんなさい……」
どうやらお母様が魔力を使って勝手に鍵を開けたらしい……勝手な事をとちょっとムカっとしたが、心配そうな顔をしている二人を見たら申し訳なさが上回った。
「じゃあ後は若い者同士での。わたしは次の黒ミサの準備をしないといけないからの」
「わかりました。ありがとうございます」
そのままお母様は部屋を出て、ヒカリだけが残った。
「さて……法子お姉ちゃんから聞いたぞ。ここのところずっと引き籠りっぱなしらしいじゃないか」
「うん……なんかもう……何もする気が起きなくて……」
どうやらお母様から私が引き籠っている事を聞き、わたしを心配して、相談に乗ってくれるらしい……
「もしかして……大場にフラレたか?」
「ストレートに聞いてくるなぁ……まあそこがヒカリらしいけど……」
「う……ま、まあ私は遠回しに聞くのが嫌だからな」
ヒカリはわたしの幼馴染み……わたしが大場君に持っていた想いはお見通しだったのだろう。
相談してないのにいきなりそう聞いてくる事は疑問に思わなかった。
「それで……結局そうなのか?」
「ううん……半分正解だけど、半分違う……」
「どういう事だ?」
「実はね……」
相談に乗ってくれるというヒカリに、わたしはあの日の事を全て話した。
「……という事なの……」
「ふーむ……」
大場君がした無茶も、わたしが勝手に怒って殴った事も……全て隠さずに話した。
「大場君自身は良かれと思ってやったのはわかってるんだけどさ……わたしが身勝手過ぎるのもわかるけどさぁ……」
「な、泣くなしょーこ!落ち付け!!」
話し終えた後、わたしはまた涙が溢れてきた……
「だって……自分の命なんてたいした事ないって言うんだよ!?そんな事言わないでよって思うじゃん
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