「おー、ここがヘクターンか……」
「……魔界じゃないですかここ……」
「いやよく見てみぃ、あそこに人間女性がおるやろ?成りかけとるけどまだ魔界化はしとらんようやで?」
「そうだね〜」
現在13時。
私達はカリンの荷物の届け先である『ヘクターン』に到着した。
街は昼間で太陽も出ているというのに若干薄暗く、所々に軽い魔力溜まりらしきものも見える。
注文をしたのはバフォメット、そしてそのバフォメットにはリリムの主がいる……そんな最上位とも言える魔物が住んでいる街なので半分以上魔界化しているようだ。
半分以上というのは……それでもカリンが言った通りあちこちに人間女性の姿が見られる……セレンちゃんやアメリちゃんやカリンも人間だと思って話をしているので人化の術を使った魔物という事は無いだろう。
つまり完全には魔界化はしていないという事になる。
「さてと、観光もしたいけど、お客さん待たせてるからまずは届けに行ったほうが良いよね?」
「せやな。結構ギリギリになってもうたしすぐに向かった方がええ。一番大きな城に住んどるっちゅう話やけど……」
「あ、じゃああれじゃね?」
これまた広い街なのでいろいろ観てまわりたいが、今回はただ観光しに来たわけではない。
カリンの荷物の事もあるし、リリム……アメリちゃんのお姉さんにも会いに来たのだから、まずはその2名が住んでいる場所に向かおうと思う。
どうやらヘクターンの領主をしていて、大きなお城に住んでいるという話だが……
「あーあれやな……」
「うわあ〜……大きい……」
ユウロが指差した方向を見ると、明らかに他の建物と比べて大き過ぎるお城が聳え立っていた。
一番大きなお城ってレベルじゃない程大きい……何時ぞやのセラさんの住むお城と比べても大差はないだろう。
街の他の建物が標準的なのもあって余計高く感じる……
「まあ……あれなら迷う事はなさそうですね」
「せやな……でもここからやと距離はかなりありそうやし先にお昼ご飯にするか?」
「アメリおなか空いた!もう1時だしお姉ちゃんのおうちまで遠いから先にごはん食べたい!!」
「そうだね……じゃあまずは飲食店を探そうか」
私達はもう少しで着きそうだからとお昼ご飯を食べずにここまできた。
案の定アメリちゃんがお腹空いたと言うので、お城までの距離から考えても30分は掛かりそうなので先にお昼ご飯を食べる事にしたのであった。
…………
………
……
…
「……やっと着きましたね」
「やっぱ遠かったなぁ……」
現在14時。
私達は目的地だと思われる…というか、街中でここが領主であるリリムのユーリムさんの家でムイリというバフォメットが従者として住んでいるという情報を得たので間違いではないだろう…この街の一番大きいお城に着いた。
「ほんじゃいくか……すみませーん!たぬたぬ雑貨の者ですがー!!注文の品をお届けしましたー!!」
そして、門の所にある『用のある方は押してから要件を叫んで下さい』と書かれたプレートの上に付いていたボタンを押してからカリンは文字の指示通り要件を叫んだ。
「……」
そのまま待つ事数十秒……
「……お待たせしました。どうぞお入り下さい」
「おお、ありがとな……ってあんたは?」
大きな門の奥から、メイド服を着たサキュバスが現れた。
「私はこの城の主であるユーリム様の御世話係を勤めさせてもらっていまして、名はリリーと申します」
「あ、どうも」
「ムイリさんに確認を取ったところ「あーはいはいやっと届いたのか〜。今わたし手が離せないし連れて来てほしいんだけど頼める?」と申されたので案内させてもらいます」
「お、おおそうか……ならよろしゅう頼むわ……」
リリーと名乗るメイドサキュバスさんはカリンを見た後、私達の方を見て……
「そちらの方々は?」
「ああ、ウチと一緒にリリムに会う為の旅しとったんや」
「リリム……に?」
やはり疑問に思ったのか、私達が何者かをカリンに尋ねた後……
「そういえば……そこの一番小さな方は……王女様ですか?」
「王女様……うん。アメリはリリムだよ。ユーリムお姉ちゃんに会いに来たの!」
「会った事の無い姉妹……というか姉やな。姉に会う為に旅しとるんやってさ。ウチらはそのお供や」
「なるほど……それはご苦労様です。では皆様もご一緒に案内させてもらいます」
アメリちゃんがリリムだと気付いたらしく、目的を伝えたら一緒に案内してくれる事になった。
……………………
「それにしても大きいよね〜」
「でも他の魔物の姿は見当たりませんね……そのせいで余計広く感じます……」
そのままお城の中に案内された私達。
ユーリムさんは今の時間なら書斎に居て、ムイリさんがいる場所までの途中にあ
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