冷たい私が暖かくなるまでのお話

「えっ?人間の何がいいかわからない?それ本気!?」



開口一番でそう言ってきたのは、昔馴染みのイエティだ。



「だって、ぎゅーってすると、ぎゅーってしてくれるんだよ?ぽかぽかするんだよ?」
「そう……」

たまたまこのイエティの家(洞窟)の近くを通ったので顔を出したのだが、なんとこのイエティの家にはしばらく会わないうちに人間の男が一人住み着いていた。
本人が言うには旦那との事……その人間を抱きながら嬉しそうに語っている。

「チュー♪…早くアイシーちゃんにもいい人が見つかるといいね!」
「……」

人間にアツくキスをしながらそう言ってきたイエティ。
アイシーというのは私の事だから、この場合は私に早く旦那が出来るといいねという事だろう。



でも、私にはそれの何がいいのかわからない。



人間は所詮人間だ。それ以上でもそれ以下でもない。

「あっ、もう帰るの?じゃーねー!!」
「……」

これ以上ここにいる理由もないので、私は再び外に出た。
別にこれといった用があったわけでもないし、特に問題は無いだろう。
それに近くに居過ぎるとこのイエティでも私の冷気で凍えてしまうだろう……だからというわけでもないが、私は退散する事にしたのだった。



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「……」

私は雪の降る中で雪山を、一人静かに散歩中。
別に氷の女王様の命令というわけでもなければ、私の糧となる精を持つ人間を探しているわけでもない。
特にする事がなかったが、じっとしていたくも無かったので、気晴らしに散歩しているだけだ。
だから途中で偶々あのイエティの家の近くを通ったから顔を出したのだが……まさか人間と結ばれているとは。
まあおかしいとかは思わないし、別に誰を好きになろうがあいつの勝手だ。
だが、何故私に人間と結ばれる事を勧めたのかがわからない……私にとって人間は人間、それ以外の何物でもないので興味など湧かない。

「……ん?」

そのまま雪山を一人で散歩していたのだが、雪と木以外何も無いはずのこんな場所で、何かが動いた影が見えた。
小動物か何かだろうけど…まあ他にする事も無いので行くだけ行ってみる事にした。
別にそれが小動物ならそのまま見てればいいだけだし、魔物や人間でも私達や女王様に危害を加える様でなければどうでもいい。男であれば散歩の労力分の精を少し戴くというのもいいかもしれない。
ただ、私達に危害を加える様な人間の可能性も否定出来ないので、確認しに行く事は悪い事ではないだろう。
この山の麓にある村は全て親魔物領なのでそうはいないとは思うが、万が一という事もある。

「……」

という事で私は早速影が見えた場所まで移動してみたのだが……



「んしょ……よいしょ……ん?お姉ちゃん誰?」
「……」

そこにいたのは、ある意味では予想通りではあったが……人間の子供が一人で雪を球状にかき集めて何かを作っていた。
この男の子の見た目的には7歳前後だろう…これなら危害どころか精を戴く事もままならない。
なのでこの男の子には特に用事はないので私は再び雪原の散歩に戻ろうとした。

「ねーねーお姉ちゃんって何の魔物?お姉ちゃんみたいな氷の魔物見た事無いや。イエティさんとかジパングのゆきおんなさんとは違うよね?」
「……グラキエス……」
「へぇー!グラキエスって魔物なんだねお姉ちゃん!」

しかし、この人間の男の子は私に興味を持ったらしい。私に話し掛けてきた。
私はこの男の子に興味は無いとはいえ、無視してしつこつ付き纏われても鬱陶しいので手短に答えた。
相手にする気も無いし、これで興味を無くしてくれたらいいが……

「ふおぉ…!見た目みたいに冷たいねお姉ちゃん!」
「……」

だが、その判断は間違っていたようだ。
男の子は興味を無くすどころか余計に興味を持ったらしい……あろう事か私の身体をペタペタと触り始めた。

「わああすごーい!ヒエヒエ〜!!でも柔らか〜い!!」
「…………」

それどころか私の太腿やお尻や胸まで触り始めた男の子……子供の行動とはいえ、流石に腹が立ってきた。
そもそも他人にベタベタされるのは好きではないのに……デリケートな部分を触られていい気分なんかする訳がない。


だから私は……


「……」
「あぷっ!?」

少し強めにその男の子を突き飛ばした。
それが原因で尻餅をついたとしても、地面は柔らかな雪で覆われているから痛くはないだろうし、怪我をさせる事もないだろうと思っておもいっきり力強く押したのだが……


「わっうわあああぁぁぁぁぁぁ…………」
「!?」


今日はやる事全てが裏目に出るらしい……

突き飛ばした力が強過ぎたのか……その男の子は尻餅どころか叫びながら雪山を転がり落ちていった。

「しま
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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33