24〜25日

「いらっしゃいませこんにちはー!」

今は24日…つまりクリスマスイブの夕方、私はコンビニでバイトをしていた。
今日は朝から夜までバイトだ……これ入れた時は彼氏なんかいなかったからヤケで引き受けたのだが、今となっては後悔している。
しかし、自分でいれてしまったのだから誰にも文句は言えない。それに遊びに行くお金を稼いでいるんだと考えれば悔しさも半減する。

「お弁当は温めますか?」

バイトが終わるまであと1時間程……終われば円治君に会える。
今日はバイトの後に会おうと予め約束しておいた……なので私のバイト終わり時間位にコンビニに来るそうだ。

「ありがとうございましたー!」

円治君が来るまでは真面目にバイトだ。
その後は私の家で一緒にご飯を食べて……ぐふふふ♪

「次のお客様どうぞー!」

なんて想像する暇はあまりない……
クリスマスだからか、やたらとケーキやお菓子を買いに来るお客さんがさっきから多いのだ。
実際何人か同じ高校の奴も見かけたし、普段より客足は確実に多かった。




「ふぅ……」
「お疲れ様黒羽さん」
「あっお疲れ様です店長」

丁度お客さんの流れが途切れ一息ついていたら、店長が珍しくレジの方まで歩いてきた。
メロウなので普段は店の奥にある水槽の中に入りっぱなしなのだが、わざわざ足を魔力で人のそれと同じにしてまでいったいどうしたのだろうか?

「何かあったのですか?」
「ううん、ただの気まぐれ……というか、たまにはバイトの子に任せず自分で商品棚のチェックでもしようと思ってね」
「あーそうでしたか」

どうやら珍しく自分で商品棚のチェックをしに来たようだ。
普段は疲れるからとずっと水槽の中から動かずに指示を出したり書類仕事をしているだけなのに……私達が忙しそうにしているのを見て自分も表の仕事をしようと思ったのだろう。

「そういえば黒羽さん、あれからあの男の子と何かあった?」
「あの男の子……あー円治君の事ですか?」
「そうそう……って名前で呼ぶって事は……」
「ええまあ店長の言った通り私の事が一目惚れして好きだったらしくて、あの日から付き合ってます」
「きゃー♪やっぱりそうだったのね!もうエッチした?」
「いえ、受験生ですし学校もあったのでまだ……ですが、今日の夜これからシようと企んでるところです」
「あらそうなの!?クリスマスの性夜って事ね。きゃー♪」
「ちょっと店長!ここレジですから叫ばないで下さいよ!」

だがすぐには行かないで私に円治君とどうなったかを聞いてきた店長。
隠す必要もないので素直に伝えたらやたら興奮して叫び出した……盛り上がるのはいいが、お客さんに聞こえるので叫ぶのはやめてほしい。

「今日上手く行くといいわね♪あっでも残りのバイトもきちんと仕事してね」
「わかってますよ店長」

もちろんこれからの事に期待して変な妄想とかしてはいるが、バイトはきっちりとするつもりだ。
その事を伝えたらちゃんとやってくれると思ったのだろう、店長はトレードマークのピンクのベレー帽のポジションを直しながら上機嫌で商品棚の確認をしに行った。

「へぇー、黒羽さんとうとう彼氏できたんだねー」
「はい。まだする事シてないですけどね」
「あ、うんそーだね」

店長が行ったと思ったら、今度はバイト仲間の人間女性の大学生が話に乗ってきた。
とは言っても、私が早々に下世話な話にしたので引かれてしまったが……魔物が普通にいる環境で育っていても、人間女性には引かれてしまうようだ。
そんな彼女には彼氏もいるようだが、今日は彼氏がタイミング悪くサークルの大会と被ってしまったようで夜まで会えないからと今日のバイトを入れたらしい。お互い悲しいものである。

「そういえば店長って彼氏とか旦那さんっているのかな?」
「あーまあそこは魔物というかメロウの生態について調べればわかると思いますよ」
「ん?まあわかったわ。さて、お客さんもまた増えてきたし話はここまでにしましょうか」
「そうですね」

話をしているうちにまた混んできたので、私達は話を切って真面目にバイトを続ける事にした。
後1時間、頑張りますか……



…………



………



……








「お疲れ様です!では私はまだコンビニ内にはいますがこれで」
「お疲れ黒羽さん。今日この後から頑張ってね♪」
「はい頑張ります。応援ありがとうございます!」
「いえいえ、それよりどんな感じだったか次のバイトの時に教えてね♪教えてくれたらお礼に私の血あげてもいいわよ♪」
「えっ、あ、はい。まあ考えておきます」

あれから1時間経ち、今日のバイトは終わった。
しかしまだ円治君は来ていないようなのでコンビニの中の座るスペースで待つ事にした。

「まだかな円治君……うわ……」

円治君が早
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