21〜22日



チュンチュン…チチチチ…


「……」



……なんとまあ最悪な目覚めだろうか……



「はぁ…何時まで引き摺ってるんだよ私……よいしょっと!」

3年も経ったというのに、未だにあの出来事の夢を見る自分に悪態をつきながら、私はベッドから跳ね起きた。
背筋や翼をゆっくりと伸ばしながら、そういえば目覚まし時計のアラームが鳴る前に起きたなと思い、アラームを切りがてら今の時間を確認する。

「時間はっと…ん〜予定より20分も早いか…まあいいや朝ご飯食べよ」

目覚まし時計の時間を見たら、セットしておいた時間よりも早かった。
寝坊するよりはいいが、20分という中途半端な時間では何か変わった事をする気にもならない。
なので私は、何時ものように朝ご飯を食べる事にした。

「しっかし寒いな〜…そのうち雪でも降るんじゃないかな?」

なんて、寂しく響く独り言を言いながら、私は昨日小分けにして凍らしておいたご飯を電子レンジで温めながら、これまた昨日余分に作っておいた味噌汁に火をかけて、何かオカズも欲しいなと思って冷蔵庫の中を確認すると、特売していたからと大量購入してあったもやしと少量の他の野菜、あと卵ぐらいしかなかったので、もやしを塩こしょうやごま油で炒める事にした。

「もうそろそろ食材買いに行かないと駄目か…明日は終業式で補講も無いから半日で帰れるし、明日でいいかな…でもこれじゃあ今日の夜ご飯ももやしだしな…」

テキパキと朝ご飯の準備をしながら、私は冷蔵庫の中身をいつ増やすかを考えていた。

私は一人暮らしをしているが、まだ社会人でも大学生でもなく、高校3年生…しかも受験生である。
日々の勉強や補講等もあって朝は早く夜は遅くなってしまうわけで、なかなか食材を買いに行く時間がない。
しかも今は12月…外は寒いため学校帰りは早く家に帰りたくなるし、一旦家に入って暖かくなってしまうともう外出などしたくなくなってしまう。
その為どうしてもギリギリまで買いに行こうとは思えないが、今はそのギリギリなのでどうしようか悩んでいた。

「……って今日バイトあるからどのみち買い物出来ないじゃん!明日にしよう…」

だが、今日はアルバイトがあった事を思い出した。
その事をわざわざ声に出したが……反応してくれる人がいないと寂しさが増長するだけである。

「はぁ…何やってるんだろ私…」

おそらく今朝見た夢のせいでもの寂しさに苛められているのだろう…
やたら独り言を言う自分に溜め息を吐きながら、完成した朝ご飯を食べ始めたのだった……



………



……







「ふぅ…じゃあ身仕度して学校行くか…」

朝ご飯を食べ終え、手が痛くなるほど冷たい水で皿洗いを終えたので、私は学校に行く準備として歯磨きをするために洗面所に向かった。


「……」

洗面所にはもちろん鏡もあり、その鏡を見たらもちろん私の姿が映るわけだが…

「別に今更悔やんでも仕方ないってのに、どうしてそんな暗い顔してるんだよ……」

その鏡に映っていたのは…

「悪いのは黒羽美琴(くろはみこと)、お前じゃなくてさ……お前が堕ちただけで見捨てたふざけたエンジェルの家族だろ?」

紅い瞳に銀色の髪、頭上には紫色の輪が浮いていて、肌の色は青白くて腰から背中に掛けて漆黒の翼を生やした少女が

……

「だからそんな哀しい顔するなよ…らしくないぞ……」

今朝見た夢のせいで3年前の事を、私がエンジェルからダークエンジェルになった日の事を思い出して、今にも泣きそうな顔をしている黒羽美琴が…私が映っていた……

私は元々この日本では珍しい反魔物地区である神言(かみこと)市という街に、両親と妹との4人家族で住んでいたエンジェルだった。
毎日朝起きたら神に祈り、神に感謝しながら学校へ行き、神に仕える為に勉学に励み……今思えばなんと馬鹿馬鹿しい生き方だったのだろうか。
それでもあの頃は毎日充実していると思っていた。
毎日神に御祈りをし、毎日家族と笑いあって生活していた。
そう、中学3年生の冬まではだ……

「良いじゃないか…頭が固いエンジェルでいたままじゃ、今の価値観を持てなかったんだからさ…」

中学3年生のある雪の降る日の事、私は学校からの帰宅途中で一人の魔物と遭遇した。
まあ遭遇したと言っても、反魔物地区と言えど日本である事には変わらないため、時折魔物を町中で見掛ける事ぐらいある。
だからただ居るだけなら何も問題は無く無視をするだけだったのだが……その魔物は違っていた。
その魔物…ダークプリーストは、私の当時のクラスメートの男の子を堕落させようと…性的に襲おうとしていたのだ。
勿論そんな事許される訳がない。だから私はそのクラスメートを助ける為に割って入り、しつこいダークプリーストの手からなんとか逃
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