旅43 決戦の幕開け!それぞれの役割!!

「ほお!スズ記憶戻ったんか!!んで本名は何て言うん?」
「アタイの本名は桜……でもやっぱ花梨もそうだけど皆にはスズって呼ばれてるほうがしっくりくるからそのままでいいよ。そういえば花梨こそ父ちゃんの怪我はもう治ったのか?」
「順調に回復はしていっとるけど、まだ完治まではしとらん。ちょいと大陸での依頼があったからウチが引き受けたんや」
「なるほど……」

現在20時。
私達はルヘキサの自警団本部のロビーに集まっていた。
集まっているメンバーは自警団の皆さんと私達、そして懐かしい面々がいた。

「それにしてもカリン、依頼あるのにいいの?」
「まあ少しくらいはええやろ。依頼主が依頼主やし、アメリちゃんと一緒なら問題無いはずや」
「ん?もしかしてリリム?」
「まあ正確にはそのリリムの従者のバフォメットからの依頼やけどな。期限まではまだ十分あるから少しぐらい寄り道しても大丈夫なんや。ちなみに扱い大変な物やであまり他の人には見せとうないんや」
「なるほど……」

まずは、夕方にこのルヘキサを通り抜けようと街に来た刑部狸のカリンだ。とは言っても親魔物領、しかも自分が刑部狸だというのを既に周りに伝えてあるのにもかかわらず例の如く人間に化けている。
ジパングでカリンのお父さんが怪我していたからと実家のお店に残って別れたが、こんなに早く再開できるとは思っていなかった。相変わらず元気そうである。
どうやらお店にリリムの従者のバフォメットから依頼が来たらしく、その品物を運んでいる途中だったらしい。
それでルヘキサを横切った方が目的地に近いのでそうしようとしたところでトラブルに遭ったとか…

「でも面倒な事になる前に見せたほうが良かったんじゃねえのか?」
「まあ…でもユウロやアメリちゃんが来てくれたから助かったわ。おおきにな!」

でもそのトラブルがあったおかげで私達は再会できた。
このルヘキサでの一連が終わった後、私達はカリンに付いて行ってそのリリムに会いに行く……つまり、またカリンと一緒に旅をするつもりだ。
でもその前にこの街が直面している問題を解決しようとカリンも協力してくれる事になったのだ。

「なるほど……アタシと別れてからそんな旅してたのか……」
「結局ツバキさんの幼馴染みの子は生きてたのですね」
「うんそうだよ!プロメお姉ちゃんもネオムおじさんも元気そうだね!」
「まあな!アタシもネオムの両親に正式にお嫁さんって認めてもらったし、今はこうしてネオムと一緒に調査しに行ってるんだ!」

そして、ディナマ退治の時に一緒だったワーウルフのプロメ、あと夫のネオムさんも居る。
私達と別れた後、プロメはネオムさんの両親にきちんと挨拶をしに言ったらしい。
ネオムさんの両親はネオムさんの事をとても大事にしているので下手したら殺されると内心ビクビクしながら行ったらしいのだが、ネオムさんが本気でプロメの事を愛していると言った事によってワーウルフである事も含め案外すんなりと認めてもらえたようだ。
今ではご両親とも仲良くなり、このようにネオムさんと一緒に自然調査をしているとの事。
そして今回はルヘキサとドデカルアの境目付近の自然調査をしていたところでイヨシさんに襲われ、プロメ一人ならともかくネオムさんも居たので必死にルヘキサまで逃げ込んだとの事。

「本当にすまなかった!お二人にはとんだご迷惑を……」
「あ、いいですよ。事情が事情ですし、こうして何事も無かったのですから」
「アタシはまだちょっとネオムに襲いかかった事は許せないけど…スズのお父さんだしネオムも許すって言ってるから仕方ないけど許す」

なお、ほんの数刻前までは教団兵だったスズのお父さんのイヨシさんも危険性は無いどころかこちらの味方になったという事でここにいる。
今まで何人もの自警団の人達を傷付けたからと、さっきからいろんな人に土下座しに回っている。
敵でいた時は恐怖の対象だった故に味方になると心強い……そんな想いもあるのかプロメ達のように皆にもすんなりと許してもらえているようだ。

「つーか一番驚いたのはニオブとルコニ、お前達がここで自警団やってた事だよ」
「まあ驚くわな。あたしだって見回りから一時的に戻った時にお前等がいて驚いたしな」
「僕達は君達と別れた後、遠くまで2人で旅してたからね。それで辿り着いた街がこのルヘキサってわけさ」
「あたし達って元勇者のコンビだからさ、あっという間に団長に認められて即戦力として投入されたってわけだ」
「なるほどな……」

そして集まっている自警団のメンバーの中には、ジパングに行く為の旅の途中で私達の前に立ち塞がった元勇者コンビ、サポート系の魔術が得意なニオブさんと強い性能を誇る武器「コンステレーションシリーズ」の一つ、ジェミニを持つドッペルゲンガーのルコニさんもいた
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