旅41 異世界の元少年と父侍と記憶

「あとどれぐらいで辿り着きそうなんだ?」
「う〜ん…今日中には着くんじゃねえかな……地図で見てみると今ここで、ルヘキサはすぐそこだし……つーかそろそろ見えてきそうだけどな……」
「でもまだ何も見えないね〜」

現在13時。
私達はシャインローズを出発した後、次の目的地である親魔物領『ルヘキサ』に向けて旅を続けていた。
ルヘキサにはアメリちゃんのお姉さんがいる可能性は低いのだが、ユウロ曰く『ドラゴン』がいるとの事だ。
ドラゴンと言えば私ですら存在を知っている程有名で、それでいて滅多にお目に掛かれない魔物だ……なので一目見てみたいという事で向かってみる事にしたのだ。
まあ…そうはいってもアメリちゃんはドラゴンぐらい何人も見た事あるだろう……なんせリリムだからね。

「どんな街だろうね〜」
「うーん…どうやら最近出来た街……って言っても俺達が生まれるより前には出来てる街だからある程度は発展してると思うけど…」
「反魔物領に在った6つの魔物の集落をドラゴンが一つにまとめた街かぁ…やっぱ抗争とかはありそうだよね」
「そうなんだよな…それだけが心配なんだよ。変な事件に巻き込まれなければいいんだけど…」
「まあその時はその時だ。今までだって結構巻き込まれてたりしたんでしょ?」
「あーまあそうだね。ディナマとかエルビとかいろいろあったなぁ…」

ルヘキサと言う街は、元々反魔物領に住んでいた魔物達をドラゴンがまとめあげて創った街との事だ。
それは言葉で言うだけなら簡単にまとめたように聞こえるけど、実際はいろいろと抗争が絶えなかったと思う。
魔物側にとっては自分達の平和な暮らしの為に、人間側にとっては土地を取り返すためにと、争いになる理由は簡単に思い付くもんな……
で、そんな街が今全く抗争が無いかと言えば…まだまだ周りは反魔物領、無いとは言えないだろう。
なので巻き込まれないか心配だ…今までもそこそこ巻き込まれた事あるから余計にだ。

「しかしまあ地図で見ると大きな街だよなぁ…」
「だね〜。本当に元は小さな集落だったのかなぁ……」
「わからないけど、街ってそういうものなんじゃないか?」
「まだかな〜……」

こんな感じに、これから訪れるルヘキサの街について皆と話しながら歩いていた、その時であった……


「魔物め!覚悟!!」
「ん?うわあっ!?」

脇道から教団兵だと思われる剣を持った男が飛び出してきて、私達に切り掛かってきた。
咄嗟に身体を捻らせたから当たらなかったけど…不意打ち過ぎてユウロも反応できて無かったし危なかった。

「な、何!?」
「悪しき魔物どもめ!ここで俺が倒してやる!」
「こらこら、一人で出しゃばるな新米。相手にウシオニがいるのが見えてないのか」
「あ、すみません隊長…」

それどころか、周りからぞろぞろと鎧を着た兵士達が出てきた。
小隊か何かなのか、全部で15人ほど出てきて……私達を囲いだした。

「ちょ、ちょっとなんですかいきなり!?」
「アメリたち何もしてないよ!?」
「……今はしてなくても魔物は悪だし何時かする……ってか?」
「……その通りだ。人間かインキュバスかは知らんが、貴様はよくわかっているな」
「まあ大体教団にいるまともな人間が魔物襲う理由はワンパターンだしな」
「……ふん、まあいい……では覚悟してもらうぞ!」

そして臨戦態勢に入る兵士の人達…
こっちもタダで殺される気は無いから抵抗する準備をするけど…正直多勢に無勢だ。
相手は15人に対して、こちらは私がまともに戦えない為3人……勝てる気はしない。

「アメリたち何もわるいことしてないもん!」
「そういう事で抵抗させてもらう…もちろん死ぬつもりも無いから」
「というか大勢で囲むなよそんなに一人じゃアタイ達を倒す自信がないのか?」
「スズ、挑発はしないで……」

それでもここで命を終わらせる気など私達には微塵も無い。
勝てないとしても…逃げられるように精一杯抵抗する事にした!!


「ワーシープと男は3人で、サキュバスの子供は2人で相手をしろ!そして相手を分散するんだ!また残りの者は俺と共にウシオニを相手するんだ!」

隊長と呼ばれていた人物が全体に指示を出す。
どうやら私とユウロに3人、アメリちゃんに2人、そして残り10人でスズの相手をするつもりらしい。
私達をバラけさせるのは間違ってないと思うし、たしかにウシオニは怪物と恐れられるほどの魔物……一見その指示は的確に思えるが……

「はっ!アタイが一番厄介か…その判断が甘いんだよ!!」
「アメリちゃん!ディナマの時にやってたあの広範囲に電撃走るやつ!」
「わかった!『エレクトリックディスチャージ』!!」
『う、うわあばばばばばば!?』
「くっ!?まさかこんな子供が強力な攻撃魔法を扱えるとは……」

だが私達の
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