「うおー!すげえっ!!」
「あれ……ここって大陸だよね?」
「うん……そのはずだよ……」
「でも……これってどう見てもなぁ……」
現在13時。
魔物の棲む森を無事に抜けた後数日歩いて、私達は目的地であるシャインローズ領に辿り着いたのだが……
「アタイが居た場所の近くでよく見た事あるようなものが…」
「やっぱり…ジパングっぽいよね?」
「大陸のジパング村ってところだな!」
「うれしそうだねユウロお兄ちゃん…」
「まあな。アメリちゃんはジパング嫌いなのか?」
「ううん。アメリもジパング好きだよ!」
ここは大陸にある街のはずなのだが…所々にジパング風の家やジパングの魔物がいる。
かといって完全にジパングと言う訳ではなく…異文化交流とでもいうのだろうか、まさに異国同士の交流が多い街だと思う。
ここまでジパングと大陸の要素が混ざった街はいままで見た事無かったけど…なんだか不思議な気分だ。
ただ、この街についてハッキリと言える事は…活気がある良い街であるという事だ。
「で、ここにアメリちゃんのお姉さんがいるんだよね?」
「たぶん…一応この街にお姉ちゃんの魔力を感じるよ」
「まあ領主やってるって話しだし、領主の家に向かえば会えるんじゃないか?」
「それもそうだね」
今回私達がこの街に来た目的は観光だけでなく、アメリちゃんのお姉さんに会いにきたのだ。
アイラさんの話だとたしかこの街の領主がアメリちゃんのお姉さんらしいので、まずは領主の家に向かう事にした。
なので、とりあえず誰か適当な街の人に領主の屋敷の場所を聞いてみようとしたのだが……
「アンタ達、さっきからキョロキョロと見渡してるが何か探してるのかい?」
「あ、うん……この街の領主のお屋敷ってどこにあるか……ってウシオニ?」
「ああ、アタシはお前さんと同じウシオニでこの街の自警団の松という者だけど……そんなに驚いた顔してどうしたんだ?」
誰に聞いてみようかと辺りを見回していたら、後ろから松と名乗る赤い鉢巻と半被を身に付けた自警団のウシオニに声を掛けられた。
「いや……松さんは自警団って事は……この街でもウシオニは嫌われて無いんだよね?」
「もちろん…ああ、もしかして怖がられた経験でもあるのか?」
「うん……大陸きてからはそんな事無かったけど、ちょっとジパングぽかったから不安だったんだ……」
「なるほどな…」
この街に着いてからスズがどうもオドオドしてるなと思っていたが、どうやらジパングっぽいという事で拒絶されないか不安だったらしい…まあ弥雲での事がトラウマになっているのだろう。
だけどこの街ではウシオニが自警団をしている…なのでそんな心配はいらないだろう。
それがわかってスズはホッとした表情を浮かべていた。
「それで最初の話に戻るが、何か探しものかい?」
「あ、そうだった…えっと…領主様のお屋敷の場所ってわかります?」
「もちろんわかるが…嬢ちゃんに何の用だい?」
一通り松さんと会話した後、私は改めてこの街の領主の屋敷がどこにあるかを聞いてみた。
「この街のりょうしゅさまってアメリのお姉ちゃんなんだよね?」
「ん……リリムか?ならそうなるかな」
「アメリ会ったことないお姉ちゃんたちに会いたくて旅してるの!」
「で、俺達はそんなアメリちゃんの旅のお供ってとこです」
「なるほどね…それなら警備も兼ねながらだが案内しよう」
「ありがとうございます!」
会いに行く理由もきちんと話したら案内してもらえる事になったので、私達は観光がてら領主の屋敷まで松さんに案内してもらう事にした。
「しかし…こうして街中を歩くと本当にジパングっぽい所があるなぁ…」
「嬢ちゃんはジパングの文化が好きだからねぇ…」
「ジパング好きのリリムかぁ……やっぱ結構居るんだな…」
シャインローズ領には茶屋やうどん屋、ジョロウグモさんが経営してる呉服屋に…ジパング文化の一つ、落語を公演してる場所まである。
もちろん大陸風の建物もあるにはあるのだが、こうしてみるとまたジパング旅行をしているみたいである。
それも松さん曰くこの街の領主のリリムがジパング好きだからだとか……
ジパング好きのリリムは過去にジパングで会ってるけど…街をジパング風にするとは……
流石リリム、やる事の規模が大きい。
「マツお姉ちゃん、そーいえばこの街のりょうしゅさまをしてるアメリのお姉ちゃんの名前ってなんていうの?」
「へ?ああ…会った事無いって言ってたっけか…レンジェって名前だよ」
「へぇ〜レンジェお姉ちゃんか〜…早く会いたいな〜」
「そろそろ見えてくるところだからもう少し待ってな」
「うん!」
そんなジパング好きのリリムはレンジェさんというらしい。
レンジェさんは…ジパング好きという事以外は、どんな人なんだろうか……
「
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