「うぅ〜……この戦争を勝ち抜ける自信が付かないよ〜……」
「……急にどうしたの?」
あれから本当に俺は赤井さんと毎日登下校しており、あっという間に週末になっていた。
今は金曜日の数学の補講が終わり、赤井さんとお喋りしながら一緒に下校しているとこだ。
まあ流石に月曜日とは違って会話内容はなんとも受験生らしいものしかしていないが。
「今日の数学の補講なんだけどさ〜…未だに積分がわからなくて問題が全然解けなかったんだ〜」
「積分か…応用問題は微妙だけど俺積分は出来るよ。今度俺でよければ教えてあげようか?」
「ホントに〜!?」
「ああ。ベクトルでなければある程度はわかるよ。ベクトルは本気で酷いけど……」
「あ、わたしベクトルは平面でも空間でもわかるよ!」
「マジで!?じゃあ今度俺が積分教える時に教えてよ!」
それで一緒に下校中の赤井さんが、学校を出る前からずっと暗い顔をしていた。
どうしたのかと思っていたが…どうやら今日の数学の補講の内容がさっぱりだったらしい。
俺達は文系なんだし、数学は苦手でもある程度は仕方がないけど…このセンターまで残り2ヶ月の状況でそれはかなり不安になる。
ただ、赤井さんが言ったさっぱりわからない範囲は、幸運な事に数学の中では得意な分野だった。
更に俺が苦手な分野は、赤井さんの得意分野であったのだ。
なので俺は、自然と赤井さんに今度教えようか、そして今度教えてよと言ったのだが…
「じゃあさ〜、明日わたしの家に来て〜。一緒に勉強しよう〜!!」
「……はい?今何と……」
赤井さんが、赤井さんの家で一緒に勉強しようと言ってきた気がした。
気のせいかと思って、もう一度聞いてみたのだが…
「だから〜、明日は補講も無いし〜、わたしの家で一緒に勉強しよう〜!!」
「ええーっ!?」
やっぱり気のせいではなく、明日赤井さんの家で一緒に勉強しようというお誘いだった。
たしかに明日は模試も無ければ珍しく土曜補講も無いけど…
「ん〜ダメ〜?」
「いや駄目というか…俺が赤井さんの家にあがっていいの?」
「全然いいよ〜。だってわたしと村井君は友達じゃんか〜!友達なら家に呼んだって問題無いよ〜!!」
「いやでも…俺と赤井さんは異性だし、いいのかなって…」
「わたしが良いって言ってるんだから良いんだってば〜!!」
俺と赤井さんは今のところまだただの友達だ。
流石に友達といっても異性の家にあがるのはどうかと思ったのだが、赤井さん自身が良いと言い張り続けるので…
「じ、じゃあ明日、赤井さんの家で勉強って事で……」
「うん!お昼過ぎからわたしの家でやろ〜!」
俺は結局明日赤井さんの家で勉強をする事にした。
「それじゃ〜また明日ね〜!!」
「お、おう…また明日…」
俺は内心ドキドキしながら、家の中に入っていった…
「……魔物の家にあがる意味、村井君は気付いて無いかな〜……」
「……そう、明日こそ……」
だから俺は、赤井さんが小さく呟いた言葉なんか聞こえるはずが無かった……
…………
………
……
…
「……」
そして土曜日の昼過ぎ。
俺は赤井さんの家の前にいた。
「……」
女の子の家にあがるとか……人生で初の出来事なので緊張が半端無い……
さっきから一向に鼓動が鳴りやまない……
しかしずっとこのままいるわけにもいかないので……意を決してインターホンを押す。
ピーンポーン♪
「は〜いどなたですか?」
「あ、えっと、村井です。赤……愛理さんに勉強しようと言われたので来たのですが…」
「あ〜キミが村井君ね!ちょっと待ってて今開けに行かせるから!愛理〜村井君来たよ〜!!」
インターホンを鳴らしたら赤井さんらしき声が聞こえてきたが……どうやら赤井さんのお母さんのようだ。
やはりレッドスライムだからか声はそっくりである。
そしてそのまましばらく待っていたら……
ガチャ…
「こんにちは村井君!早速あがってよ!」
「やあこんにちは赤井さ……!?」
赤井さんが玄関を開けて、いつもと違わぬ笑顔で現れたのだが……
「あ、あ、赤井さん!?」
「ん?ど〜したの村井君?」
「ふ、ふ、服……」
「服?」
その赤井さんの姿が……軽く上着を羽織っているだけで……胸も股も丸見えだったのだ。
「ああ〜!学校行く時は制服着てるからね〜。家だと何も着て無い事の方が多いけど、今日は村井君が来るから一枚羽織っておいたんだ〜」
「足りないから!せめて下着も!」
「う〜ん…何か着てるとちょっと動き辛いんだも〜ん……そもそもスライム属って服そんなに着ないし……」
「そ、それもそうだけど……目のやり場に困るっていうか……」
たしかに街中で見掛けるスライム属はぬれおなご以外は
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