カリカリ…カリカリ…
「……やめっ!!筆記用具を机に置き解答用紙に名前が書いてあるかを確認しなさい!」
「……」
終わった…2つの意味で終わった…
段々と涼しくなっていく季節…秋。
秋と言えば…スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋など様々な秋があるわけだが…これらは今の俺には縁の無い物だ。
読書の秋なら多少は縁があるかもしれないけど…読む本に書かれているのは英文法や数式の解き方などで…所謂参考書である。
何故そんな物を読むかと言うと…俺は今高校3年生…つまり受験生だからである。
「はぁ…」
「ん?どうしたそんな大きな溜め息を吐いて…」
「天才生徒会長様にはわかりませんよ…」
「そう言うな…それにもう世代交代したから元生徒会長だ」
「へいへい…じゃあロリファイブ一番の天才頭脳の持ち主にはわかりませんよ…」
「お前なあ…その言い方はどうかと思うぞ」
わざわざ休日に行ったセンター模試も終わり、あまり解けなかった事から酷い結果を予想し大きな溜め息を吐き机に伏していたらロリファイブ(同学年の途中で魔女化した者を除くロリ系魔物5人の事)の一人で同じクラスのエンジェル、そして天才元生徒会長の天野光里(あまのひかり)さんが話し掛けてきた。
俺達が通う学校で魔物が多いにも関わらず性的行為の全面禁止を校則に取り入れた(魔物にとっての)悪魔会長様は以前センター模試で950点中850点以上を取った天才である。
そんな相手に普段から500点台しか取れない俺に模試終了直後に話し掛けられたらこうしたひねくれた態度になってしまっても仕方ないだろう。
「それにだな村井、私は天才というわけではなく普段からコツコツ勉強しているから結果がでるんだ」
「お、俺だって勉強ぐらいしてるわ!!」
「そうか。ならお前があまり良い成績が取れないのは勉強中の集中力が足りないとか…」
「はいはいヒカリストップ!模試終わったばかりで説教を聞きたい人なんか誰も居ないからね」
しかしそんな俺の態度が気にくわなかったのか、それとも天才と言われたのが気にくわなかったのかは知らないが、長くなりそうな説教をしてきた天野さん。
そんな天野さんの説教を、同じ学校のロリファイブの一人であり天野さんと幼馴染みだって言われているバフォメットの八木晶子(やぎしょうこ)さんが止めてくれた。
「しょーこか…別に私は説教なんかしてないが?」
「自分で気付いていないようだけど十分説教してるけど?ねえ村井君?」
「知るかよ…こっちは模試の結果が酷くて落ち込んでんだよ…天才ばかり集まってくんな…」
「あはは…重症みたいだね…」
「だな…」
だが、そんな八木さんも天野さん程で無いにしろ頭が良い…聞いた話では理科と数学の2科目なら天野さんより上だとか。
そんな人が話し掛けてきても出来が悪くて机に伏している俺は対応する気にもならない。
だから俺の機嫌は良くならずに余計落ちるばかりだ。
「…しょーこ、帰るか」
「…そうだね。そうだヒカリ、小澤さんも村井君以上に沈んでると思うから拾っていこうよ」
「そうだな。じゃあ村井、また学校で」
「おう……」
そんな俺の雰囲気を感じ取ったのか、二人は他のロリファイブの一人で俺以上に残念な成績をもつドワーフの小澤梶子(こざわかじこ)さんを拾って帰るために去っていった。
「はぁ…俺も帰るか……」
2人が去った後に1回大きな溜め息を吐いて、帰る準備をしようと顔を上げたら…
「……ん?なんだあれ?」
俺が座っている席から少し離れた場所に、少しオレンジっぽい赤い水溜まりがあった。
机や椅子に広がっているその水溜まりは…ゲル状なのかそんなに床下には広がっておらず、途中で膜のようになっている。
それ以上に謎なのは…その水溜まりの中にうちの学校の女子の制服が浸かっていた。
周りの人達は何故だか特に気にしてないようだけど…俺は気になるので近付いてみる事にした。
「……」
近付いてみてもよくわからなかったので、なんとなくちょんっと触ってみると…
「……ふにゅ〜……」
「うわあっ!?」
少しひんやりして弾力性があるなぁと思ったのも束の間、いきなりその水溜まりから声が聞こえてきた。
その声を聞いた俺がビックリして固まっていると……
「む〜…誰?」
「へっ?えっ?あ!」
「ん〜?同じ学校の男の子?」
赤い水溜まりが徐々に盛り上がっていき、机の上に人間の女の子の様な…しかもかなり可愛い部類の顔が形成された。
それと同時に水溜まりの中に浸かっていた制服も膨らんでいき…少々胸が大きめな女の子の身体の様になっていた。
あっという間にさっきの俺みたいに机に伏しているうちの学校の女子になった赤い水溜まり……俺は今まで全く接点が無いため知らなかったが、おそらく同じ学
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