「はぁ……はぁ……」
「くっそ……あいつどこ行ったんだ……」
現在11時ちょっと過ぎ。
私とスズは、ユウロを攫った私そっくりなアマゾネスの少女を走って追っていた。
やはり男が居ないからか、走っている途中で何度か魔物とすれ違ったが、軽く挨拶した程度でたいしてこちらに興味は無さそうであった。
その為私達はアマゾネスを追う事に専念できたが…なかなか追いつけそうもないどころか、ほぼ見失っていた。
「ユウロ…まだ無事だといいけど……」
「どうだろ……無理矢理組み敷かれてる可能性もあるからな……」
「だよね……」
アマゾネス…前にアメリちゃんから聞いた話では、生まれながらの戦士な種族であり女性優位な社会に生きる魔物らしく、男狩りというものを行い男を手に入れる事があるらしい…
つまり、ユウロは文字通り狩られてしまったわけだが…もしユウロがあのアマゾネスを倒す事が出来たなら無事かもしれないが、抵抗できなければそのまま連れ去られて旦那にされてしまうだろう。
「アメリちゃん追いつけるかな…」
「どうだろう…アメリはまだ見えるけど、あのサマリそっくりなアマゾネスの姿は見えないからなんとも…」
ちなみにアメリちゃんは走るより飛ぶほうが速く移動できるので、私達と離れて急いで追っている。
木々の合間を抜けながら飛ぶアメリちゃんはグングンと先に進み、今は指先程度の大きさしか見えない。
進む方向が結構ハッキリしているのでアメリちゃんはまだあのアマゾネスの少女が見えている可能性があるので、私達もアメリちゃんを見失わないように急いで走っている。
「というかサマリ…あのアマゾネス親戚か?」
「いやそれは無いと思うけど…お父さんもお母さんも一人っ子だったって聞いたし、私に兄弟姉妹はいないし…」
「とりあえず似ている理由はサッパリわからないって事か……」
「うん…あそこまで似てると単なる親戚とも思えないけど…」
しかし…本当になんであのアマゾネスの少女は私と似ているのだろうか……いくら考えても全くわからない。
今でこそワーシープになっているから髪の色は違うが、それ以外は本当に自分でもそっくりだと思えたし、髪だって魔物化する前の私とだったらそっくりだ。
「ま、それは一旦置いといて…まずはユウロを取り返さないと!」
「そうだね……」
考えてもわからない事は一旦置いておき、まずはユウロを取り戻す事に専念する事にした。
…………
………
……
…
「あ、サマリお姉ちゃん!スズお姉ちゃん!」
「はぁ……はぁ……やっと追いついた……」
「アメリちゃん……ユウロはどうなったの?」
ちょっとの間走り続けていると、アメリちゃんが飛ぶ事を止めて地面に立っていた。
「えーっと……あれ……」
「あれ?」
アメリちゃん自身もユウロ達に追いついたのかなと思ってユウロの事を聞いたら指差されたので、そっちのほうを見てみたら……
「はぁ……お、俺の勝ちでいいな……」
「くっ……私が負けるなんて……」
木刀を構えながら立っているユウロと、地面に伏しているアマゾネスが居た。
互いにさっきまで無かった痣がついているので、おそらく戦ってユウロが勝ったという事だろう。
「ユウロ!大丈夫だった?」
「おう、なんとかな」
とにかくユウロは無事だった。
これ以上絡まれると面倒なので、早々に立ち去る……べきなのだろうが……
「くっ……はぁ……はぁ……」
「……」
どうしても、この私そっくりなアマゾネスの事が気になる……
「ねえ…どうしてユウロを攫ったの?」
「どうしてって…それは……ん!?私!?」
「……やっぱり似てる……」
だから私は、アマゾネスに駆け寄って話をしてみる事にした。
「よいしょっと。これでいい?」
「ああ……」
とりあえず地面に伏したまま会話するのはどうかと思ったので、木の幹にもたれ掛るように座らせた。
「それで、どうしてユウロをいきなり攫ったの?」
「ユウロってのはこの男の事だよね?それは……強そうな男だったし、一応好みの部類ではあったから……」
「ま、だと思ってたけどね」
やはりユウロを攫った理由は、この森に棲む他の魔物と似たようなものであった。
「それにしてもお前達ってそっくりだよな…ワーシープかアマゾネスかっていう大きな違いはあるけど、それでもそっくりって言い切れるし……」
「だよね……声もそっくりだもん」
「なんでそんなに似てるんだ?」
皆が言うように、本当に私とこのアマゾネスの少女はそっくりだ。
おそらく年齢も近いだろうし、アメリちゃんが言う通り声も自分で似てると思える程度には似ている。
「それは私にもわからない……お前は何者だ?」
「私はサマリ。似ている理由は私もサッパリわからないけど
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